毛や爪が伸びるのはなぜ? 何でできているの? #もやもや解決ゼミ

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髪の毛や爪は、切らずにそのままにしておくとどんどん伸びてしまいますね。では、この「髪や爪が伸びる仕組み」はどのようになっているのかご存じでしょうか? また、そもそも何からできているのかも謎です。

今回は、毛や爪が伸びる仕組みを、杏林大学医学部皮膚科学教室の大山学教授に解説してもらいました。

そもそも毛は何のためにある?

「毛」を持つのは、ほ乳類一般の特徴です。毛は外界からの有害な刺激(紫外線、外傷など)から身体を守り、体温の調節や、触覚などの知覚を担うなど大切な役割を持っています。またヒトは頭部など限られたところだけにしっかりした毛が生えますが、頭部を守るだけでなく、外観に大きな影響を与えるなどの役割も果たしているのです。  

このように毛は大切な役割を持っていますから、定期的に新しいものに入れ替わることは、動物の個体を維持していく上でとても重要なことであると考えられます。ヒトの場合、定期的に髪の毛を切るので、あたかも髪の毛は伸び続けているように思えてしまいます。しかし、洗髪する、あるいはくしを通せば毛が何本か抜けるのを目にするはずです。髪の毛はある一定期間伸びると伸びるのをやめ、抜けて新しい毛がとって変わります。  

一本の髪の毛が伸びる期間(成長期)は約2~8年。その後、伸びるのをやめるための準備期間が数週間、伸びるのをやめて抜けるまでの期間が約3カ月といわれています。この抜けては伸びるサイクルを「毛周期」といいます。髪の毛の一本一本はこのサイクルを生涯にわたり繰り返します。成長期にある髪の毛は全体の9割くらいになりますから、私たちには髪の毛は伸び続けるように思えるのです。 

毛が生える仕組みは? 

髪の毛は、皮膚に埋まっている細胞にできた小さなチューブのような毛包で作られます。このチューブの根元には「毛乳頭」と呼ばれる「滴(しずく)のような形をした細胞の塊」があり、この塊の上を毛を作り出す主役の「毛母細胞」という細胞の一団が覆っています。

毛乳頭からのシグナルを受けると毛母細胞が分裂し、増えた細胞は「チューブ」の中に重なります。このように分裂した細胞が重なり続け、次第に体の外側の方向に伸びていくのです。 

分裂した細胞は、外に伸びていく途中で大きな変化を起こします。細胞自体は次第に死滅していきますが、それと同時に細胞の中が「ハードケラチン」という特殊な硬いタンパク質で満たされていきます。これを「角化」といいます。これが髪の毛になります。髪の毛やひげは一日に0.3~0.5mm伸びるといわれています。 

爪と毛は親戚のような関係 

普段、意識することはありませんが、爪は手先に力を入れやすくする、あるいは傷つきやすい指先を保護するなど重要な役割を持っています。また美容的修飾(マニキュア、ネイルアートなど)を加えることで、外観をよくするための身体パーツでもあります。

また動物にとっては、爪は樹上で体を支える、あるいは、巣作りや餌を捕るための穴を掘る、獲物をしっかり捕まえるなど、ヒト以上に重要な役割を持っています。爪を失うと、生きていくために必要な行為が難しくなるので、常に爪を作り出す仕組みが進化の過程でできてきたのであろうと考えられます。  

私たちが「爪」と呼んでいる板状の構造物は、医学的には「爪甲(そうこう)」と呼びます。爪甲の根元の部分は「後爪郭(こうそうかく)」と呼ばれ、この後爪郭を覆っている皮膚の下、ちょうど爪甲が始まる部分に、毛母細胞と同じような高い分裂能力を持った「爪母細胞」が存在します。  

この爪母細胞が分裂し、分裂した細胞が毛と同じように前に押し出されつつ、その過程で板状に角化していきます。これが爪が伸びる仕組みです。爪は硬いケラチンからできています(牛の角や亀の甲羅も硬いケラチンでできています。何となくイメージが湧きませんか?)。成分は完全に同じではありませんが、爪は毛の親戚のようなものです。爪は一日に約0.1mm伸びるとされています。つまり、爪が完全に生え替わるのは約半年から1年もかかるわけです。

髪の毛も爪も、根本で細胞が分裂し、分裂した細胞が積み重なることで外側に伸びていくとのこと。伸びる長さは髪が一日に0.3~0.5mm、爪が一日に約0.1mmとわずかですが、1カ月もすると目に見えて「伸びたなあ」と思えるようになるのは面白いですね。こうした仕組みを知ると、毛や爪の見方も変わるかもしれません。

イラスト:ここま まこ
文:高橋モータース@dcp

教えてくれた先生

大山学 Profile

杏林大学医学部皮膚科学教室教授(教室主任)。同付属病院皮膚科診療科長。毛髪科学研究会代表世話人。皮膚科指導医・専門医、再生医療認定医。1993年、慶應義塾大学医学部卒。同皮膚科学教室、米国NIH、NCI皮膚科での研鑽の後、慶應義塾大学准教授を経て2015年に杏林大学医学部皮膚科学教室教授に就任。2016年4月より教室主任・診療科長。専門は毛髪疾患、自己免疫性疾患、再生医学、幹細胞生物学。

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