「周り道をしたっていい」神サイ・柳田周作がコロナ禍で見つけた「光」について #セルフライナーノーツ

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世の中全体がどんよりとした空気で、未来への「光」が見えにくい時代。2020年、新型コロナウイルスが蔓延した当初は、今以上に塞ぎ込んでいた人もいたのではないでしょうか。

そんな現代の中で、楽曲「夜永唄」が「Spotify国内バイラルチャート 2020年 年間チャート」トップ10入りを果たした福岡発の4人組ロックバンド「神はサイコロを振らない」。2021年3月17日には、待望のメジャー1stシングル『エーテルの正体』リリースし各チャートにチャートイン。5月からは全国ツアーも控えている彼らは、今まさに波に乗っている存在。

今回は、そんな“神サイ”のボーカル柳田周作さんに、暗闇の中、前向きに過ごすための秘訣をお伺いしました。

文:於ありさ
  写真:友野雄(YU TOMONO)
編集:学生の窓口編集部

1stシングル『エーテルの正体』には個性あふれる4曲が収録

――3月17日に待望のメジャー1stシングル『エーテルの正体』を発売されましたが、本作はどんな人に届けたいでしょうか?

柳田周作:まずは応援してくださっている方に届けたいですね。2020年はコロナ禍でライブができず、ファンの皆さんになかなか会えませんでした。その一方で、SNSを通して「僕らの音楽に救われてます」っていうメッセージをもらうことが多くて、そんな声を聞いて「見えないところでも、繋がっているんだな」と実感して、救われていたので。

『エーテルの正体』は、全4曲入りのシングルなのですが、悲しみ以上の虚無を歌ってるものもあれば、光を歌ってる曲もあり、1曲1曲が全く違う意味を持っているので、多くの人に共感していただけるんじゃないかなと思っています。

――『エーテルの正体』を最初に聞いた時に、収録されている4曲、すべてが表題曲でもおかしくない完成度で「これがシングルだなんて豪華だな」と思いました。

柳田周作:ありがとうございます。デジタルリリースや、配信はしているもののメジャーデビュー後のCDとしては今回が初めてなので、いろんな人に聞いてほしいなと思い、バラエティに富んだ1枚を作りました。

――例えば1曲目の「未来永劫」は爽やかな印象ですが、3曲目の「プラトニック・ラブ」は歌詞を含めて、とても切ない楽曲ですよね。それぞれの曲のポイントを教えてください。

柳田周作:「未来永劫」はアニメ「ワールドトリガー」のテーマを踏まえながら、中学高校で6年間一緒で、今でもずっと仲良くしている友人のことも思い浮かべながら書きました。彼らとはいまだに週に1回、電話するくらい仲が良くて、いつも応援してくれる存在なんです。それで「恋人は離れていっても、友人は離れていかない。友情って素敵だな」っていう思いを込めて作りました。

一方の「プラトニック・ラブ」は「夜永唄」のアフターソングのようなもの。昔の恋愛を思い出しながら、悲しみの先にある虚無を描きました。楽曲自体はジェットコースターぐらい波があるんですけど、ずっと一定で歌うことで、先に進めてない自分を表現しましたね。1番最後にレコーディングしたからかもしれませんが、単純な感情ではなく、虚無という表しづらいものを表現したのは初挑戦ということもあって、特に思い入れが強いです。

「届ける音楽」ではなく、「寄り添う音楽」でいいと確信した2020年

――普段から歌詞を書くときはご自身の経験を元にすることが多いんでしょうか?

柳田周作:そうですね。歌詞を書くときは、自分の過去の記憶にフルダイブして、記憶を辿って、とことん自分自身を掘り下げながら歌詞を書くことが多いです。だから、歌詞を書くときってかなりメンタルが削られて、精神的にもなかなかしんどいんですよね。書き終わった頃にはかなり疲れてます(笑)。

――そうなんですね!神サイの楽曲は聞いている人が共感するものが多い印象なので、架空の誰かを思い描いたり、届けたい人を決めて作っているのかと思っていたので、柳田さんご自身の経験とは少し意外でした。

柳田周作:たぶん本来なら何かを届けるために、そうするべきなんですけど、僕はあえて逆行しているんです。ただただ自分のことを書き連ねているだけ。だから、昨年たくさんの人に「夜永唄」を聞いていただけたのは、正直、驚いたんですよね。

――そうなんですか!?

柳田周作:ただ自分の過去の記憶を描いた楽曲に、こんなにをたくさんの人が共感してくれるなんてって。

でも、今ではそれでいいのかなっても思えています。大衆の方に向けて作って評価してもらうというよりも、柳田周作という1人の人間の人生感を信じてくれる人たちに、評価してもらえたらいいなって。これは完全に僕の主観なんですが、音楽って上手い下手よりも思いが大切で、その人自身を自由に表現することが許されてる場所だと思っているので、僕は、このやり方でいいかなって。

――柳田さんにしかわからないことを突き詰めていっているのに、結果的には大勢の人から共感されて、広がっていったと。それってなぜだと思いますか?

柳田周作:うーん…僕自身、「頑張れ」って言われると頑張れなくて、「頑張らなくてもいいんだよ」って言われると、頑張れちゃう性格なんですよ。だから、音楽においても曲を通して捉え方を強要したくはなくて、ふと誰かに寄り添う存在でありたいんですよね。100人いたら100人全員が違う感じ方をしてくれたらいいなって。だから、いろんな人のいろんな想いに重なるんでしょうかね。

でも「届ける音楽」ではなく、「寄り添う音楽」でいいんだなって思えたのは、2020年コロナ禍があったからこそだなって思うんです。

――どういうことでしょう?

柳田周作:僕らって、実はライブありきの曲ではなく、イヤホンで聞いて成立させる楽曲を作り続けてきたんですよ。自分の学生時代を振り返ると、ライブに行って音楽を聞くことってほとんどなくて、電車に乗ってるときや、夜寝る前、考え事をしている時、どこにいてもイヤホンで音楽を聴くことが、ほとんどだったなって。だから、ロックバンドでありながらも、バラードが多い。その結果、ライブハウスでは「どう盛りあがったらいいのかわからない」と思われることも多くて、正直ちょっと浮いてたんですよ。お世話になっている方にも「神サイはどうなりたいの?」って言われることも多くて。

そんなときに緊急事態宣言が出て、家から出られなくなっちゃった人たちが、ひっそりと僕らの楽曲を聞いてくれて、すごく共感してくれたんです。だから、自分たちを貫き通して、そういう作り方をしてきてよかったなって思えました。もちろんライブは今後もガッツリやっていくので、来て欲しいですけどね(笑)。

いつからだってやり直せるから、時には自分を貫いてもいい

――この記事を読んでいる学生の中には、親や友人たちからの意見と、自分を貫くことの間で悩んでいる人も多いと思います。どうしたら柳田さんみたいに自分を貫けるんでしょう?

柳田周作:たしかに愛ゆえの反対を受けることってあると思います。でも、人生っていつでもやり直しがきくし、何歳になっても遅すぎることはなくて、巻き返せると思うんですよ。それにやりたいことがあるって当たり前のことじゃなくて、奇跡的なことなんですよ。だから、それが強い思いだとしたら、強引にでも貫き通した方が良いと思いますね。

たしかに安定した未来とか、お金とかは得られなくても、僕は大好きな音楽を仕事にできて、自分の作った音楽で「この曲に救われました」って言ってもらえて、僕が死んだとしても作品が残るだなんて、これ以上の幸せはないと思っています。

――柳田さん自身、自分を貫いた経験はありますか?

柳田周作:実は「バンドをやるから」って大学を辞めたときに、親父から大反対されたんですよ。「お前はもう息子じゃない」ぐらいまで言われて。でも、そこから1年後、テレビで神サイのミュージックビデオが流れたのを、親父がたまたま見かけて「ちゃんとやっとったんだな」って連絡くれました。そこからは、一番応援してくれる人になってくれたんですよね。だから、周り道をしても、最後には良い結果に落ち着くことってあると思います。

悩みの種とは別のことに興味を持つことで、前向きに

――このご時世「明るい未来を描けない」とすべてに対してネガティブになっている人も多いと思います。そういうモードに入ってしまった時って、どうやって乗り越えたらいいと思いますか?

柳田周作:2020年以降、みんながすごくネガティブになっていますよね。そういうのをみて、僕は反骨精神なのかわからないんですけど、ちょっとポジティブ男計画を実行しているんです。

殺伐としたSNSの中で「空が綺麗だ」とか「散歩した」とか小さなことでいいから、ポジティブなことを見つける。犬の可愛い動画を見るだけでも幸せになれます。そうやって、小さなことがきっかけでもいいから、笑っていたら、きっと大丈夫になるんじゃないかなって思いますね。

――なるほど。学生の中には、描いていた大学生活とのギャップに悩んでいる人もいます。そういう人たちは、どういうことの中にポジティブな出来事を見つけたらいいんでしょうか?

柳田周作:悩みの種とは別のことに興味を持つのがいいと思います。

僕の場合、大好きな音楽を仕事にしたものの、一応、責任感を持って仕事としてやっているので、その中でポジティブなことを探すのは少し難しいのが本音です。だから、サウナに行くという、全然違う趣味を持つようにしました。うちのギターもラーメンが好きすぎて、家系ラーメンをスープから作れるようになりましたし。

あえて悩みの種から目を逸らすことは大切かもしれません。そうすることで、すげえ嫌なことがあっても、幸せな気分で満たされて「また明日頑張ればいいか」って気持ちが軽くなるので。

――素敵なお話をありがとうございます。最後に、読者にメッセージをお願いします。

柳田周作:さっきもいったんですけど、やりたいことを見つけるって、それ自体がすごいことなんですね。僕自身は、20歳のときにやりたいことを見つけられたので、わりと早かったんですけど。

きっと大学時代って、「自分は何をしたいんだろうな」って悩む人も多いと思います。でも、「やりたいこと」って、必ずしも若いときに見つけなきゃいけないものでもないなって思うんです。

ちなみに、僕の親父は、60になって初めてフルマラソンという趣味を見つけたんですよ。僕が武道館や大きなアリーナでライブをすることになったときに見に行けるまで、長生きをしたいって理由で。その姿を見たときに、年齢って関係ないなって思えたんですよ。

だから、趣味でも、仕事でも、無理に自分のやりたいことを焦って探さなくても大丈夫。いつかやってくる日まで、とりあえず前に向かって歩いていたら、それでいいんです。

◆Live Tour 2021「エーテルの正体」

5月14日(金)【福岡】 Zepp Fukuoka
5月21日(金)【愛知】 Nagoya DIAMOND HALL
5月28日(金)【大阪】 Namba Hatch
5月30日(日)【東京】 Zepp Tokyo
6月6日(日)【宮城】 Sendai PIT

チケット料金 3,500円(税込・ドリンク代別途)
チケット一般発売:4月24日(土)

編集部:ゆう

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学生に「一歩踏み出す勇気」を持っていただけるような記事を届けたいです。

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