はあちゅうさん×霜田明寛さんが語る「自分探し」より「自分なくし」が大事なワケ 『一度死んでみた』公開記念SPインタビュー
「自分が本当にやりたいことって何だろう」「自分の長所って何だろう」考えれば考えるほど、悩んでしまうときもありますよね。
3月20日に公開される映画『一度死んでみた』は、広瀬すずさん演じる女子大生・七瀬が、「2日間だけ死んじゃう薬」をめぐる事件に巻き込まれながら「自分が本当にやりたいこと」や「自分の長所」について気づいていく、ハートフルコメディ。
将来について悩んでいる方に、まさにドンピシャの内容になっているんです!
今回は、公開記念として学生時代からバリバリ夢を叶え、今も独自の道を歩むはあちゅうさん(実は『一度死んでみた』に少しだけ出演しているそう!)と霜田明寛さんにインタビューを実施。読者の大学生のみなさんから寄せられたお悩みに答えてもらいました!
インタビュアーに、マイナビ学生の窓口で「イツカの王子さま」を連載していた22歳の漫画家itoさんを迎え、おふたりが考えるほんとうの自分探しについて聞いてきました。
INDEX
Q 1.映画『一度死んでみた』のみどころ
Q 2.やりたい仕事を見つけるにはどうすればいい?
Q 3.自分だけの長所を見つけるには?
Q 4.おふたりの学生時代の夢は?
Q 5.今、学生時代の自分に声をかけるとしたら?
Q 6.学びにつながった失敗体験は?
★インタビュー後記
まず、今回の映画『一度死んでみた』のみどころを、大学生にひとことで伝えるならなんと言いますか?
「笑いと感動のハートフルS・F(死んだ・ふり)コメディ」ということで、SF要素もあり現実を忘れて楽しめる映画だと思いました。でも、登場人物が持っている悩みはけっこうリアルなんですよね。
冒頭の広瀬すずさんが就活の面接で自己PRするシーン、内容がけっこうぶっとんでたんですけど、あれくらいのほうが僕はいいと思っていて。
「人と違うところはみんな特技」って映画で七瀬の父親の計(堤真一)が松岡(吉沢亮)に言ってましたよね。ぼくも就活生の指導をするときに、人と違うところを書き出させたりするので、大賛成ですね。
これを観た人にも、自分が長所だと思ってなかったところが実は長所だと気づいてくれたらいいなぁと思いました。
そういったメッセージもありつつ飽きさせない展開になっているところが、さすがCMを作ってる方の映画だなと思いました。
ありがとうございます! たしかに、コメディなのにグッとくるメッセージも詰まっていておもしろかったですよね。
では続いて、マイナビ学生の窓口読者のみなさんから寄せられた、将来や就活に関するお悩みに回答していただければと思います!
自分が心からやりたい仕事がわかりません。どうしたら見つかりますか?
それでいうと、わたしもまだ見つかってません。「やりたいことは見つからないって思ったほうが楽になるんじゃないか」ってわたしは思ってます。
やりたいことが見つからない時は漠然とした、あこがれを就職先に選んでもいいと思う。
わたしもなんとなく広告業界ってかっこいいなって思ってたのと、あこがれていた林真理子先生が最初コピーライターをされていたので、そこから受ける企業を決めていきました。
一社目の会社に骨をうずめなくてもいいし、とりあえずやってみたらいいんじゃないかって思います。
自分探しをして自分が見つかることってなかなかないので、ぼくは「自分なくし」をしたほうがいいと思ってるんです。
やってみて「違うな」って思ったらすぐ撤退して、宝探しの地図に×を付けていくイメージ。そうすると、やりたくないことがわかってくるので、おぼろげながらやりたいことが絞られてくるイメージです。
わたしは就職してからもいろんなことに挑戦していて、会社員をしながら週末作家をしていましたし、霜田さんもそうですよね。入る会社が自分の100%になってしまうと思って探さなくてもいいのかなって思います。
他の人と違う、自分の長所や魅力を見つけることができません。これからの就活に対して自信が持てず、不安があります。おふたりはどのように自己分析をしましたか?
わたしは、短所をたくさん挙げて強みに言い換えてましたね。例えば「ネガティブ」というのもひっくり返したら「物事を慎重に考える」って言い換えることができますよね。
ぼくはいわゆる「自己分析」はあまりやってなくて、エントリーシートの自己PR欄には、人に言われたことを書いてました。
自分自身のことだとなかなか客観的になれないので、意外に人の言うことのほうが当たっていたりします。
なるほど。信頼できる人を見極めるコツはありますか?
親とか親友とか、関係性の近い人、自分のことをよく見てくれている人の意見を参考にしたほうがいいと思います。
学生時代に裏切られる経験を積んでおくと見る目が養われるかなと思います、結果論であってオススメはできませんが(笑)。
わたしはけっこう人のこと信じすぎて失敗しちゃうんですよね、いまだに……。
人間関係は失敗の中で学んでいくので、学生のうちにいっぱい失敗しておくと社会に出てきてから楽かもしれません。
おふたりの学生時代の夢は何ですか? また、それを実現するために学生時代にしたことがあれば教えてください。
わたしは大学時代に書いていたブログが本になったんですが、そのあとも本を出し続ける人生を送りたいと思って、本に書けるネタがある会社に行こうと思い電通に就職しました。
ぼくはずっとジャニーズJr.になりたくて、大学1年生の夏にオーディションを受けました。
それに落ちた後もどうにかジャニーズに近づく方法はないかと思い、大学2年生のときに男闘呼組の岡本健一さんが出演する、ジャニーズJr.と早稲田大学が提携した演劇のプロジェクトに参加して、岡本さんに直訴したんです。
そこでジャニーズがいかに努力を積んできた人なのかという気づきをもらって、「この衝撃をどこかでまとめたい」という気持ちが、「ジャニーズは努力が9割」という本を書くきっかけになりました。
就活でも、「就職という選択肢の中で一番ジャニーズに近づけるものはなにか?」と考えてアナウンサ―職をはじめ、マスコミを受けてましたね。
なりたい自分に近づくためには、職業を決め切らないほうがいいんでしょうか?
決めすぎると、予想外の自分には出会えなくなりますよね。
20代で考えたことは経験を経て変わっていくって中居くんも言ってました(笑)。
会社員になってもその会社で何をするかによって、全然やることが違いますしね。最終的に行き着く場所に行き着くような気がします。
昔漫画で「夢は具体的であればあるほうがいい」と読んで、わたしはそれを信じきってたんですけど……そういう考え方はあまりよくないんでしょうか?
若いうちは努力の糧になるからいいと思います。でもそうして夢を狭めていると、その夢が叶わなかった時点で自分の人生は失敗だって思ってしまう。
違和感をおぼえたときに、夢に固執せず柔軟に変化させていくのがいいと思います。
書籍に書いたジャニーズの話になってしまうんですが、亀梨くんも手越くんも最初はスポーツ選手になりたかった人だけど、今はアイドルになってスポーツ番組に出ています。
そうやって間接的に夢を叶える方法もあるので、頑張って走り続けていると、最初の夢とは違っても同じくらい高い山に登ってることもあるんじゃないでしょうか。
今、学生時代の自分に声をかけるとしたら何と声を掛けますか?
やりきったので、わたしはあまり後悔がないですね。
何か伝えるとすれば、意外と「将来つぶしがきく」とか「役に立つ」と思っていることって、そんなに社会に出て役に立たないから、好きなことやりなって言ってあげたいです。
そうなんですね。わたしのまわりには、時間を無駄にすることが怖い、好きなことより役に立つことを優先したいという感覚を持っている友人も多くて……。
「コスパ主義」の子が最近は多いのかなって感じます。
わたしも当時スーパー意識高い大学生だったからわかります!(笑)
ぼくも、それを意識高いというかはわかりませんが、大学時代は、自分の人生をどうにかしなきゃという思いは強くて、岡田(准一)くんは毎日映画を3本見て、本を1冊読んでるのにぼくがこんなダラダラしてたら一生岡田くんに追いつけない……って急に焦ってデートの途中で帰ったことがあります(笑)。
意識高すぎたけど、がんばってよかったとは思ってますね。学生のうちはムダをいっぱい経験しないと自分の好きなもの・嫌いなものが見えてこない。
あとは友達を作っていくといいです! 無駄な時間を一緒に過ごせる人ってすごく大事だし、意外なところで縁がつながることもあるので。
ぼくは「10年経ったら笑い話になるよ」って言ってあげたいですかね。就活はほんとうに苦しかったですが、その経験にユーモアを加えてまとめたら23歳のときに1冊目の就活本を出すことができて、今につながっています。
大学生の膨大な時間の中でジャニーズを見ていたことも今に生きていて、そういう他人からすると一見、無駄に思えるような時間を過ごすからこそできることがあると思います。
学びにつながったと思う失敗経験はありますか?
これはわたしからの質問なんですが、失敗から学んだ経験があれば教えてください。
アナウンサー試験ですね。さっき言った、「ジャニーズになりたい」という一番の夢が破れたあとの消去法でたどり着いた進路だったので、最終面接ではさすがにその邪心が見破られて落ちるんですけど(笑)。
OBOG訪問や選考の中で「自分の話したいことを話せる職業じゃないんだ」って気づきがあったり、結果、本を出すことに繋がったりと就活自体は失敗だったけど、学びが一番多かった失敗ですね。
「失敗を恐れていたことが失敗」だと思ってます。大学生のときは「将来につながることしたい病」で、有益なものばかりを求めていました。
そのせいで、社会人になってから話のネタがないことがコンプレックスになってしまって、もっと人がやらない、SNSに書けないようなこともしておけばよかったと感じます。
膨大な無駄の中にきらめくダイアモンドが落ちてるから、みなさんにはそのダイアモンドをもっとつかめるように、無駄なことをいっぱいしてほしいです。
ありがとうございました!
まとめ
「自分探し」よりも「自分なくし」をしてみよう!
・夢は絞らず、柔軟に変化させていこう。
間接的に夢をかなえる方法はたくさんある!
・膨大な無駄のなかにきらめくダイアモンドが落ちている。
無駄なことをたくさんやろう!
インタビュー後記
はじめてのインタビューだったのですが、勇者の冒険談を聞いてるようで本当に楽しかったです! 活躍されているお二人から、「無駄なこといっぱいしよう」「10年経ったら笑い話になる」とお聞きできたのは心強く感じました。
わたし自身、夢に向かってできるだけ近道を行きたいと思っていたんですが、そもそも近道なんてないのかもしれません。
今回のインタビューで、もっと気軽にいろんなことに挑戦してみていいのかも、と思えました!
▼itoさんが当日持参した手作りの名刺
『一度死んでみた』あらすじ
父親のことが大嫌い、いまだ反抗期を引きずっている女子大生の七瀬(広瀬すず)。売れないデスメタルバンドでボーカルをしている彼女は、ライブで「一度死んでくれ!」と父・計(堤真一)への不満をシャウトするのが日常だった。そんなある日、計が本当に死んでしまったとの知らせが。実は計が経営する製薬会社で偶然発明された「2日だけ死んじゃう薬」を飲んだためで、計は仮死状態にあるのだった。ところが、計を亡き者にしようとするライバル会社の陰謀で、計は本当に火葬されてしまいそうに…!大嫌いだったはずの父の、絶体絶命のピンチに直面した七瀬は、存在感が無さすぎて“ゴースト”と呼ばれている計の部下・松岡(吉沢亮)とともに、父を救うため立ち上がることを決意する。火葬までのタイムリミットは2日間。はたして七瀬は無事、計を生き返らせることができるのか――!?
映画『一度死んでみた』3月20日(金・祝)全国ロードショー
出演:広瀬すず 吉沢亮 堤真一
リリー・フランキー 小澤征悦 嶋田久作 木村多江 松田翔太
加藤諒 でんでん / 柄本時生 前野朋哉 清水伸 西野七瀬
城田優 原日出子 真壁刀義 本間朋晃 / 野口聡一(JAXA宇宙飛行士)
佐藤健 / 池田エライザ 志尊淳 / 古田新太 大友康平 竹中直人 妻夫木聡
配給:松竹
©2020 松竹 フジテレビジョン
文:学生の窓口編集部:いとり