「こたつ」に入ると眠くなるのはなぜ? 眠気を覚ます方法は? #もやもや解決ゼミ
日常に潜む「お悩み・ギモン」=「もやもや」を学術的に解決するもやもや解決ゼミ。
冬になると暖かい環境から離れられなくなりますね。朝布団から出られなかったり、ストーブの前から動けなかったり、エアコンのある部屋から出られなかったり……。何より一度入ったら出られないといえば、そう「こたつ」です。
こたつに入ると眠くなり、出るのがおっくうになりますよね。ついつい何時間もこたつで寝てしまうことも。それはなぜなのでしょうか?
東京女子医科大学病院 睡眠科に在籍し、「睡眠」についての専門医である鈴木真由美医師に教えてもらいました!
「こたつ」に入ると眠くなるのはなぜ?
睡眠と覚醒のリズムには、体温が関与しており、深部体温(体の内部、内臓や脳の温度)と抹消(手足)皮膚温が変化します。
人間の脳は起きているときには活発に動いていて深部体温も上昇していますが、睡眠時は下がるのです。
そもそも脳は高温に弱く、夜には昼間の活動で働いた脳をクールダウンして休ませているとも解釈できます。また、深部体温が下がる前に、手足の皮膚温が上昇し、その上昇と眠気が関係することが報告されています。
手足には、動静脈吻合(ふんごう)といって血液をプールする血管が多く存在します。その動静脈吻合が開いて血液量が増加し、抹消(手足)皮膚温が上昇。手足、指は体表面積が大きく、皮下脂肪層も薄いため、手足が温まり外気に熱を放散させることによって、深部体温が下がり眠りにつくという仕組みです。
逆に手足の冷たい人は寝つきにくいことも知られていて、逆に手足を温かくすると眠りやすくなります。
「こたつ」は外気より暖かい環境ですから、足をこたつに入れていると、皮膚温は上昇します。手足から熱が放散され、皮膚温と比べて相対的に深部体温が下がり、その結果、眠くなってしまうというわけです。
また、こたつでのんびり過ごすと、体がリラックスモードになり、副交感神経が優位となります。これも手足の動静脈吻合を開く作用があり、眠気を来すと考えられます。
ただし、ずっとこたつに入っていると深部体温も上昇していくことになり、眠りは浅くなります。また、こたつで眠ると風邪をひきやすいといわれるのは、体温の上昇を抑えるために汗をかくためです。
こたつから出られないときは、どうすればいい?
眠気を覚ますには、
・明るい光を浴びる
・カフェインを取る
・体を動かす
などが有効です。
上記のとおり眠くなりやすいため、こたつで昼寝をする人がいるかもしれませんが、長い昼寝は、認知症や寿命を縮めるリスクになることが知られています。昼寝をするなら、15時までに30分以内にしましょう。
また、こたつに入る前にコーヒーやお茶などのカフェインを取ると、30分くらいでカフェインが効いてきて、目が覚めやすくなります。
そこでこたつから出て、外に出て光を浴び体を動かすと、次の活動に移りやすくなるでしょう。
ただし、眠気も日内リズムがあり、2時、14時ごろが最も眠気が強いといわれていますので、短時間でこたつから出たい場合は、その時間を避けることも有効です。
こたつに入って眠くなるのは、手足の皮膚温が上がり、深部体温が下がるからとのこと。またこたつで風邪をひきやすいのも体温調節に理由があったのですね。
冬はとにかく暖かい環境にいたいものですが、今回ご紹介した方法を参考に、ぱっと起きるようにしたいものですね。
イラスト:小駒冬
文:高橋モータース@dcp
教えてくれた先生
東京女子医科大学病院 睡眠科 医師。日本睡眠学会睡眠専門医。睡眠薬適正使用ガイドライン作成WG班員(班長 三島和夫)。アメリカ睡眠学会員。
1984年、東京女子医科大学医学部を卒業。1989~1992年、米国スタンフォード大学に留学。 睡眠時無呼吸症候群と血圧日内リズムの研究を行い、医学博士号を取得。2010年、東京女子医科大学附属青山病院睡眠総合診療センターの開設時より睡眠医療を担当。青山病院の閉院に伴い、現在は同大学病院睡眠科にて睡眠覚醒概日リズム障害、睡眠関連運動障害(むずむず脚症候群など)、睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害など)、過眠症(ナルコレプシーなど)、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、不眠症など全ての睡眠障害の診断、治療、研究を行っている。
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