進む人材不足、わたしたちの未来はどうなる?#もやもや解決ゼミ
日常に潜む「お悩み・ギモン」=「もやもや」を学術的に解決するもやもや解決ゼミ。
ファミレスやコンビニの一部で24時間営業を廃止するという動きが出ています。いわゆる「時短営業」ですが、この背景には慢性的な人手不足があるとのこと。
このままいくとファミレス・コンビニなどの24時間営業店はなくなってしまうかもしれません。
将来の日本社会がどのようになってしまうのか不安に思う人がいるかもしれませんね。
「人材不足が進む今、わたしたちの未来はどうなるのか」について、嘉悦大学 大学院ビジネス創造研究科 経営経済学部・ビジネス創造学部 高橋洋一教授に回答してもらいました!
「労働時間が短くなる」のはいいこと!
時短営業が広がっていますが、これはいいことですよ。長く働かなくてもいいわけですからね。
日本は少子化傾向が続いていますから、これから労働人口は減っていきます。しかし、それを補うための技術がどんどん進化しています。AIやロボットなどですね。また、ネット通販を利用する人は増加の一途をたどっていますし、無人店舗の試みも始まっています。本当に必要な小売店しか残らない状況はこれからも続くでしょう。
このような時代の変革によってなくなる仕事はあるものなのです。これまでもそうだったし、それがこれからも続くというだけの話です。例えば、今「タバコ屋」さんは街にありますか? 昔はたくさんあったのにもうほとんどないでしょう?
長いスパンで見れば職業、仕事も変化していくのです。
一部の企業では「週休3日制」が試験的に取り入れられ、仕事の効率が上がったといった結果も出ています。人間の労働時間は短くなる傾向にあり、これは止まらないでしょう。
長い時間働かないといけない仕事は、どんどんAIやロボットに代替されていくと思いますよ。人間は少ない時間で働く、人間にしかできない仕事をする、そのような時代に変わっていくのです。これは「より人間的な社会になる」といってもいいのではないでしょうか。
だから不安を感じる必要はないと思います。
次世代に必要なスキルを学びましょう!
社会がそのように変わっていきますから、現在大学生のみなさんは「人間が必要とされる職業」「人間しかできない職業」で必要なスキルを磨くことが大事になるでしょう。
例えばAIですが、これは誰かがプログラミングしたものです。現在、小学校でプログラミング学習を必須科目にしようとしていますが、小学生ができることが「できない」のでは、将来困ることになるかもしれません。大学生のみなさんはプログラムに精通するなど、AIを管理する側の仕事に就くのもいいでしょう。
またコンピュターについての知識、プログラミングなど、次世代に必要となるスキルを自分のものにするのもおすすめです。本当は「英語のスキルも必須」と言いたいのですが、これは自動翻訳の技術が発達してきたので、なくてもなんとかなるかもしれません。ただ、つど機械を通さないといけないというのも困りものですから、あったほうがいいですよね。
とにかく次世代でも生きていける、食べていけるスキルを大学生の間に身に付けてください。そのための時間が大学生のみなさんにはあるのですから。
高橋先生の回答にあるとおり、たしかに「時短は人間にとっていいこと」と捉えることもできますね。わたしたちは、大きな社会的な変革の時代に生きているのかもしれません。
大学生読者のみなさんは、今のうちに次世代でも食べていけるスキルを自分のものにするように努力してください。
イラスト:小駒冬
文:高橋モータース@dcp
教えてくれた先生
嘉悦大学 大学院ビジネス創造研究科 経営経済学部・ビジネス創造学部 教授。(株)政策工房会長。
1955年、東京都出身。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任し、郵政民営化、政策金融改革を企画立案。その後、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問等を経て現職。