世界三大「説教役者」って? サミュエル・L・ジャクソンらの名説教5選

がくまどエンタメ部
2019/11/10
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現在最も信頼できる映画評論家・町山智浩先生によれば、世界三大説教役者がいるそうです。この3人は必ずといっていいほど出演作で「説教」を披露するとか。たしかに説教シーン、演説シーンが思い当たる人たちではあります。そこで、世界三大説教役者の名説教についてご紹介します。

「世界三大説教役者」とは?

町山智浩先生によると世界三大説教役者(あるいは世界三大演説役者)は、

●サミュエル・L・ジャクソン
●アル・パチーノ
●丹波哲郎

だそうです。たしかに3人ともビッグな俳優ですし、出演作では「大物」を演じることが多いですから説教的なセリフもたくさんありそうです。

ちなみにサミュエル・L・ジャクソンは映画内で世界一「マザー○○○○ー」というダーティーワードを言った役者だそうです。また、その最多回数を誇る作品はクエインティン・タランティーノ監督の出世作『パルプ・フィクション』。作中で計26回言っているとか。

⇒参考:『YouTube』「Every Samuel L. Jackson "Motherf*cker"...Ever」

世界三大説教役者の「名説教」とは?

というわけで、サミュエル・L・ジャクソン、アル・パチーノ、丹波哲郎、三人の名優がどのような説教をしているのかを見てみましょう。

旧約聖書を引用した発砲前の説教


『パルプ・フィクション』(1994年)には、ヴィンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)という二人組の殺し屋が登場します。ヘンな二人なのですが、特にジュールスには人殺しの前に旧約聖書を暗誦するという妙な癖があるのです。

以下は、組織を裏切った若者からアタッシェケースを取り返すためにアパートの一室を訪れ、裏切り者に対して行ったジュールスの説教です。


「聖書の中に今の状況にぴったりな一節があるぞ
エゼキエル書25章17節

心正しき者の歩む道は、
心悪しき者の利己と暴虐で阻まれる

愛と善意の名において
暗黒の谷で弱きを導く者に祝福を!
彼こそ兄弟を守り迷い子を救うものなり

私は、怒りに満ちた懲罰をもって兄弟を滅ぼす者に復讐をなす
彼らに復讐をなす時、私が主であることを知るだろう」

(猛烈な銃撃)

実はこの引用は正確ではありません。本当の「エゼキエル書25章17節」は、

And I will execute great vengeance upon them with furious rebukes; and they shall know that I am the Lord, when I shall lay my vengeance upon them.

ですので、

私は激しい叱責で彼らに大いなる報復を実行するだろう
その復讐の時、彼らは私が主であることを知るであろう

と訳せるでしょうか。上記のジュールスの説教のうち最後の2行は確かに旧約聖書からの引用ですが、これは実はタランティーノ監督が『ボディーガード牙』という映画(アメリカ劇場公開版のオープニング)からもってきたものなのです。

「若者の未来」を守るための長い長い説教


『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992年)は、ボストンの全寮制名門ベア-ド高校に通う苦学生のチャーリー・シムズが、元軍人フランク・スレード中佐(アル・パチーノ)の世話をするアルバイトに就くところから始まります。スレード中佐は盲目で自暴自棄になっているのですが、やがてチャーリーとの間に友情が結ばれます。

しかし、チャーリーに危機が訪れます。トラスク校長の愛車にいたずらをした生徒を目撃したため、その名前を明らかにするようにと迫られるのです。校長から友達を売れ、そうすればハーバード大学へ推薦してやる、断れば退学処分と言われます。

休暇明けに全校生徒の見守る公開懲戒委員会にかけられ、校長から追及を受けるのですが……。スレード中佐はチャーリーの保護者として同席し、彼を守るため下のような猛烈な説教を校長に行います。

――何ですって?

「聞こえただろ?
このクソな裁判はいったい何だ?」

――(前略)シムズ君、君に最後のチャンスをあげよう

「そんなもんは要らん!
ナニが『ベアード校の名誉を汚した』だ
それは何だ?
ベアード校のモットーって何だ?
『諸君、クラスメートを密告して身を守れ』なのか?
『従わなければお前たちを火あぶりにする』なのか?

さて紳士諸君
ケツに火がついたら
ある者は逃げ出すが、ある者は踏みとどまる

ここにいるチャーリーは炎に立ち向かい
あそこにいるジョージはパパのポケットに逃げ込んだ

それなのにお前は、
ジョージを褒めそやしてチャーリーを潰そうというのか?」

――話は終わりですか?

「いやいや、話はこれからだ
私はここのことを知らない

ウィリアム・ハワード・タフト
ウィリアム・ジェニングス・ブライアント
それとも
ウィリアム・テルだかなんだか知らんが
そいつらの精神はすでに死んでる

残っているかもしらんが、過去のものだ
お前たちはここをネズミの船に仕立てた、密告者どもの船だ
男らしさに反したつまらん奴らを世の中に送り出すつもりなら考え直せ
お前たちは注ぎ込むと約束した精神を踏みにじっているからだ

恥ずかしいと思わないのか

本日ここで行われているこの見世物はなんだ?
私の隣りにいるこの若者だけが汚れなき魂を持っていると言ってやる

買収などには応じなかったのだ。私はそれを知っている
ここにいる誰かが、誰かを明かすつもりはないが、買収しようとしたのだ
チャーリーだけが魂を売らなかった」

――やめなさい、あなたはイカれてる

「お前にイカれてるってのはどういうことか教えてやろう
(決然と立ち上がる)
お前はイカれてるってことが分かっちゃいない、トラスク校長
お前に見せてやりたいが私は年を取り過ぎた
疲れ果てているし、残念なことに目が見えない
もし5年前の私ならここを火炎放射器で焼き払っていたはずだ

イカれてるだと。いったい誰に向かって言っているんだ?
私はいろんな場所を巡ってきた。昔は見ることができた
そうだ私は見てきたのだ

この学校の生徒のような少年たちが、
この学校の生徒よりも若い少年たちが
腕を引きちぎられ、脚をもぎ取られた

だが、何より見るに耐えない光景は魂が踏みにじられることだ
魂に義足を付けることはできない!

お前は、この優れた兵士を失意のうちに故郷のオレゴンに追い返そうとしている
だが、私はお前に言ってやる
お前は彼の魂を殺そうとしているんだ!

なぜだ?
ベアード校の生徒にふさわしくないからだと?
それでこの少年を傷つけるだと?

お前たちはベアードの馬鹿野郎どもに成り下がった
お前たちのほとんどがだ

ハリー、ジミー、トレント
お前たちがそこからどこに出ようともクソどもだ」

――座ってください。スレードさん

「まだ終わってないぞ
ここに来たら、こんな言葉を聞いた
『リーダーシップのゆりかご』
枝が折れるときゆりかごも落ちる

ここでは、ゆりかごは落ちてしまったんだ
もうゆりかごは落ちてるんだ

『男』を育てる? リーダーを養成するだと?
お前たちはここでいったいどんなリーダーを生み出しているんだろうな

今日ここでチャーリーが沈黙を守っていることが、いいことなのか、悪いことなのか
それは分からない。私は判事でも陪審でもないからな
しかし、私はお前にこう言える

彼は、自分の将来を買うために誰も売らなかった!
そして、よく聞け友よ、それこそが『高潔』ということだ!
『勇気』と呼ばれるものだ!
そうだ、それこそがリーダーが備えなければならない資質なんだ

何度も人生の岐路に立ったが
私にはいつも正しい道が分かっていた、例外なくだ
だが私は決してそっちには行かなかった
なぜだか分かるか?

正しい道はとても困難な道だからだ

今ここでチャーリーが岐路に立っている
彼は道を選んだ、正しい道だ、その道は信念の道だ
彼の旅を続けさせてやろう

委員会の諸君、この少年の未来はあなたたちの手の中にある
価値のある未来だ、私が保証する

壊さないでくれ
守ってやってくれ
抱擁してやってくれ

私は約束する、いつかあなた方がそうしたことを誇れる日がくると」

(拍手が巻き起こる)

「ダサかったか?」(と隣のチャーリーに聞く)

アル・パチーノ演じるスレード中佐の説教は6分超も続きますが、劇中の聴衆だけではなく視聴者の胸にも響くものです。この『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』の演技でアル・パチーノはアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。

「日本人を生き延びさせたい」という想いが生んだ名説教

『日本沈没』(1973年)は小松左京原作のベストセラーSF小説を実写化した映画。丹波哲郎先生は日本国の山本首相を演じています。本作では、日本列島が海に沈むという未曾有(みぞう)の国難に際して、日本人をできる限り生き延びさせたいと願う山本首相の迫真の説教・演説が見られます。

まずは、日本列島が沈む前兆としての地震が東京を襲い、360万人もの被害者が出た後のシーン。

――(前略)政治的には大問題ですよ

「そのためには内閣の大改造をやる
外務、通産、大蔵、経済企画庁は新顔にする
外国に名の通ったウケのいい連中だ
場合によっちゃ民間人を一人ぐらい起用してもいい」

――(前略)あの風変わりな学者の妄想、もしくは計算違いだったら一体どうなるんですか?

「日本人は平均的に見てみな賢くなりすぎた
誰かとんでもない大バカ者がいてだ
東京は地震で全滅するときちがいみたいになってわめきたてて
ジャーナリズムもそれに輪をかけて騒いでいてくれたら

金にはならんし選挙の票にもならんことだが
渋々どの政党にしたって政府にしたって
何らかの重点対策をね

その何らかができていれば、だ
少なくとも360万もの人間が死なずに済んだことだけは間違いがないんだ」

その後、日本列島が沈んでしまうことを内外に発表しなければならないことになります。山本首相は閣議で「発表は本日から2週間後に行う」と決断。下は、経済界・産業界の幹部たちとの昼食会に臨んだ山本首相の有無を言わせぬ演説です。

「2週間前にお知らせするのは
この間はフリーハンド、
つまりご自由に何でもおやりくださいという意味では決してありません
発表と同時に全国土に対して緊急事態を布告します

日本国土から1億1千万を退避させるということは
これはもう容易なことではありません

海外における一時的な退避地区の建設
国内においては貨物船、タンカーなどの輸送船への改造
港湾設備の拡充
期せず滑走路の延長、新しい飛行場ももっともっと造らないとならない
このためには、トタン板1枚、釘1本、石油の一滴にいたるまでも
厳重な政府の統制下に入るということをご了承願います」

さらに日本が海に沈むことを公式発表する山本首相の演説です。

「私は日本国政府の最高責任者として
今、我々の国が未曾有の危機に直面しているということを
お知らせしなくてはなりません

今朝方の外国のニュースで皆さんすでにご存じのとおり
ごく近い将来において
日本列島を中心にした大きな地殻変動が起こり
日本国土はそのために壊滅的な打撃と破壊を被るであろうということが
我が国の科学者、政府機関の調査によって確実になりました」

国土を失った国民の生存権がよその国で認められるかという点で、国連での日本人の救援が遅々として進まないと報告を受けた山本首相の説教。

「それと今度のことは本質的に問題は違うよ
太平洋か大西洋、いやどこでもいいんだ
もし人口10万の島国があってそれが沈んでしまうとしたらどうする
日本だって5,000人や一万人は引き受けるだろう
そして問題は直ちに解決だ
問題の本質はだ、1億1,000万……人間の……きみ! 人間の数だよきみ!」

(場面転換)

「こないだある動物学者からこんな話を聞いたんです

2億年前までは地球は爬虫(はちゅう)類の全盛だった
それが滅んでしまったのは適合条件
つまり生きていくためには他の動物を押しのけて
自分たちだけが都合のいい条件を作り出す
そのために数がどんどん増えてしまった、異常繁殖を起こしてしまった」

――総理は……人類には終わりが来るというんじゃな?

「先生、D2の計画の基本を考え出した三人の学者は偉いと思います
『何もせん方がええ』そこまで考えてこそ1から第3案までができた
私も人類に終わりが来ると考えたればこそ、
人間の復活、いやどう生き延びさせるかが考え出されたんじゃないかと思います

国連とか外務省の出先とか、特使に任せるんではなくて
来週から私自身が外国に出向こうと思います
その国の首脳や国民に10万人が不可能だったら1万人だっていい
1万人が駄目だったら1,000人でもいい、1,000人が駄目だったら100人でもいい
いや1人(ひとり)だっていい

爬虫類の血は冷たかったが……
人間の血は温(あった)かい
これを信じる以外には
私はもう何(なんに)もありません」

『日本沈没』は、山本首相を演じる丹波哲郎先生の気迫によって支えられているかのような映画です。特に1人でも多く日本人を生き延びさせたいという山本首相の演説には胸を打たれることでしょう。

伊藤博文に日露開戦を決意させた説教

『二百三高地』(1980年)は日露戦争の旅順要塞攻略戦を描いた映画ですが、丹波哲郎先生は、陸軍参謀総長の児玉源太郎役で登場します。伊藤博文(森繁久彌)が児玉源太郎と料亭で会い、日露戦争について相談するシーン。なんとか戦争を避けようとしていた伊藤博文を児玉源太郎が説き伏せます。その「説教」は以下のようなものです。

――いったい、我が国はこの戦争に勝てるんか? 国運を左右する重大な時期じゃ。掛け値のない返事を聞かせてくれんかのぉ

「勝算はありません
恐らく五分五分
死力を尽くして……六分四分か」

――六分四分か。あなたが言うのじゃけぇ間違いはあるまいのぉ

「しかし、しかし閣下
もしこのまま両三年の間現状に甘んじて推移するとすれば
シベリアの鉄道は複線化されて
ヨーロッパにあるロシアの正規軍100万が
たちどころに満州、朝鮮に殺到することになりますぞ
そうなってはもはや戦争にも勝負にもなりますまい
やるなら今です」

――今?

「今を除いて他日はありますまい」

――しかし勝算のない戦を……

「われわれとてモスクワに乗り込んで
城下の誓いをなさしめるほどの
完全な勝利は夢見てはおりません

ある限りの国力で最大の効果を生む
敵地に踏み込んで引き分けに持ち込む

そうすれば世界の列強は我が国の実力を認め
国際政治の圧力で
ロシアの侵略に掣肘(せいちゅう)を加えることができます

これだけが我が国の勝利の道であり
それだけが我々ができる唯一の戦争の仕方です」

――児玉くん!

「閣下、開戦が一日遅れればそれだけ我が軍は不利になり
その分だけ我が将兵がよぶんに血を流すことになりますぞ

閣下!
(二人の間にあった机を脇にやる)
今がご決断のときです!

不肖、この児玉も一兵卒として血を流す覚悟です
場合によりましては
陛下御自ら帯刀戦場に進めて指揮を仰がなければなりますまい

閣下も死んでいただきます
それでも
それでも、今立たなければ
国軍は二度と立つときはないと断言できますぞ
閣下! なにとぞ……なにとぞ……」

このシーンは、おじいさん二人が感極まって手を取り合っているという、滑稽に見えてもおかしくはないものですが、胸に迫る見せ場となっています。丹波先生の説教力とそれを受け止める森繁先生の包容力、二人の名優のなせる技でしょう。

世界三大説教役者の名説教を取り上げてみましたが、いかがだったでしょうか。サミュエル・L・ジャクソン、アル・パチーノ、丹波哲郎の説教、演説は他にもたくさんあります。もし3人の説教・演説が気になったら出演作を確認してみてください。「いよっ! 待ってました!」と声を掛けたくなるかもしれません。

(高橋モータース@dcp)

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