事実は小説よりも奇なり! 実際にあった事件をもとにした名作映画
「事実は小説よりも奇なり」という言葉がありますが、フィクションよりも実際に起きた事件のほうが、大きな印象を残すことはないでしょうか? 今回は、実在した事件をモチーフにした映画をご紹介します。
韓国の未解決殺人事件 『殺人の追憶』(2003年)
韓国の三大未解決事件の一つ「華城(ファソン)連続殺人事件」をもとにした映画です。「華城連続殺人事件」は、1986年から1991年の間に、農村地帯の華城市周辺で、計10人の女性が次々と殺された、韓国史上最初の連続殺人です。
本作では“捜査は足でするもの”と信じる、地元の「叩き上げタイプ」の刑事と、ソウル市警の「若手インテリ」刑事の対立を軸に、2人が徐々に犯人に肉薄していく様子を描いています。
軍政下の韓国を舞台に、2匹の猟犬が最後にたどりついた「男」は果たして本当の犯人なのか!? 緊迫感あふれるシーンの連続が、見る者を圧倒する傑作です。
アメリカ カリフォルニア州の未解決殺人事件 『ゾディアック』(2007年)
1968年から1974年にかけて、サンフランシスコを中心とするカリフォルニア州で、少なくとも5名の男女(自称37人)が殺された「ゾディアック事件」をもとにした映画です。
この連続殺人鬼は、新聞社に暗号の文書を送りつけ「私はゾディアックだ(This is the Zodiac speaking.)」と名乗り、大きな話題となりました。
本作では、捜査に当たる刑事たちと、地元新聞社「サンフランシスコ・クロニクル」で風刺漫画を描いていたロバート・グレイスミスが、「ゾディアック」の正体を探る姿が描かれています。ロバートは事件にのめり込むあまり、妻と不仲になるなど人生を狂わされるのですが……。
『セブン』や『ファイト・クラブ』の大ヒットでも知られる、完璧主義者デビッド・フィンチャー監督の隠れた名作です。
アメリカ オハイオ州の暴走列車 『アンストッパブル』(2010年)
本作は「発火性の強い有毒化学物質(溶融フェノール)を大量に搭載し、無人のままフルパワーで走りだした貨物列車。このままでは市街地に突っ込んでしまい大惨事は間違いないが、どうしたらこの暴走列車を止められるのか?」というストーリーで、これは2001年に実際にオハイオ州で起こった「CSX 8888号暴走事故」(CSX 8888 incident)をもとにしています。
映画の中で、暴走列車を止めるために行われた作戦は、実際に立案されたものをもとにアレンジ。事件の発生から、爽快感あふれるラストまで、ノンストップで走り抜ける、目が離せない作品に仕上がっています。
本当にあったうそみたいな米中央情報局(CIA)の作戦 『アルゴ』(2012年)
1979年2月にイラン革命が起こり、反米デモ隊によりアメリカ大使館は占拠されてしまいます。52人のアメリカ人外交官が人質に取られる中、大使館員6人がなんとかカナダ大使館に逃げ込むことに成功。この6人を脱出させるために米中央情報局(CIA)は大胆な作戦を立案します。
それは、架空のSF映画『アルゴ』を撮影するという名目で、イランに工作員が潜入。大使館員6人を、カナダ人の映画スタッフと偽り国外に脱出させようというのです。
本作は、CIAによって実行された実際の作戦を、ドラマチックに描いた大作映画です。
ウサーマ・ビン・ラーディンを追い続けたチーム 『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012年)
2001年9月11日にアメリカ合衆国内で発生した、同時多発テロ事件。この映画は、その10年後となる2011年5月2日に実行された、同時多発テロの首謀者にして、テロ組織アルカイダの指導者「ウサーマ・ビン・ラーディン」の殺害計画をもとに作られました。
本作では、CIAの女性分析官を主人公に、小さな情報の断片を継ぎ合わせながら執拗(しつよう)に「ウサーマ・ビン・ラーディン」の居場所を追う姿が描かれます。
ドキュメンタリー・タッチのリアルな映像や、本物さながらのアクションシーンなど、臨場感あふれる映像も見どころです!
今回ご紹介した映画では、「事実は小説よりも奇なり」ということわざ通り、実際にあったとは思えないような驚きの事件が多かったのではないでしょうか?
作品の中では、現実に起きた実際のできごとをモチーフに多少のアレンジを加えることで、新たな解釈を提案したり、ドラマチックな展開も見せてくれています。
映画を見終わった後、「現実にはどんな事件だったのか」「映画とはどこが違うのか」など、比較してみるのも面白いでしょう。
(高橋モータース@dcp)