球速100キロ、投げるのはペットボトルキャップ?! 京大キャップ投げ倶楽部って?
マイナビ学生の窓口をご覧のみなさま、はじめまして。
ライターのニシキドアヤト(@art_0214)と申します。
みなさん、大学ではサークルには入っていますか?
僕は入ってませんでした。
「入ってませんでした」というより、「入れませんでした」といったほうが正しいですね。
だって僕、高卒だし......。
そんな高卒の僕は、大学に通って授業を受け、バイトをしながら気の合う仲間とサークルで楽しい時間を過ごす......といったキャンパスライフに憧れていました。
そんな折、『マイナビ学生の窓口』編集部から「全国にある大学から、ちょっと変わったサークルを取材してきてください」という依頼があり、引き受けることに。
やってきたのは京都にある、京都大学。
全く勉強をやってこなかった高卒の僕が、こうしてめちゃくちゃ頭の良い学生さんたちが通う京大に足を踏み入れることになるとは......。
なにもしてないのに不審者みたいにオロオロしてしまいます。
なんでも、こちらに一風変わった活動をしているサークルがあるのだとか。
気持ちの良い挨拶と共に現れたのは、「京大キャップ投げ倶楽部」のみなさんです。
こんにちは! 今日はよろしくお願いします!
こちらこそよろしくお願いします。キャプテンのわっきゃいです。
早速で申し訳ないんですけど、僕あんまりキャップ投げについて知らなくて。「キャップ投げ倶楽部」のみなさんって、普段どのような活動をされてるんですか?
それだけ?
「......?」
多分、実際に見てもらったほうが早いと思うので、ちょっと移動しましょうか。
そうしてやってきたのはとある会議室。
こちらで実際にキャップ投げを披露してくれるとのこと。
わっきゃいさんが手にしてるのは、一見ただのペットボトルのキャップ。
これを投げる......?
ギュオン......!!!
ギュアン......!!!
「すっげ......」
目の前を超高速で飛ぶペットボトルのキャップ。
ちょっと訳がわからなすぎて、「すっげ」しか言えませんでした。
え、めっちゃくちゃすごいですね。なんでキャップがそんな勢いで飛ぶの......?
スローで撮ったのがこちら。キャップが並行にブレなく飛んでいる。
めっちゃ早いですよね。どれくらいのスピードで飛んでるんですか?
この前スピードガンで測ったら、100km/h以上出てましたね。
なにそれ。
なにそれ。
こちらがわっきゃいさんの球種動画。
11球種ってどういうこと? パワプロのサクセス選手?
キャップ投げを教えてもらおう
その後、しばらくキャップ投げ倶楽部の練習風景を眺めていたんですが......
めちゃくちゃ楽しそうなので、キャップ投げのやり方を教えてもらうことに。
副キャプテンの今村さんが教えてくれました。
親指と中指で、こんな感じに持ちます。
ポイントとしては、親指の先とキャップ、中指の第一、第二関節を並行にすることです。そしてこの状態で、腕を真っ直ぐに突き出しながら、中指でキャップをはじくように投げます。
ポロッ......
真っ直ぐ思いっきり腕を伸ばし切って、中指ではじくよりも、爪の表面で滑らせて押し出すイメージでやってみてください。
「ほっ」
腕も真っ直ぐでキャップもブレなく飛んでました! センスありますよ。
めっちゃ褒めてくれるじゃん。でもこれ、1回コツ掴んだらすごい楽しいですね......!
キャップ投げの方法について詳しく知りたい方は、わっきゃいさんがYouTubeに上げている動画があるので、そちらをご覧ください。
そしてこの投げたキャップを専用のバットで打つ、という野球のようなゲームをしているらしいです。
実際に打席に立ち、わっきゃいさんのキャップ投げを体感してみたんですが......。
めっちゃ曲がるし。
めっちゃ早い。
そもそも100km/h以上の速度で飛んでくるキャップってなんだ。
キャプテンのわっきゃいさんはどんな人物なのか。
キャップ投げの魅力を理解したところで、練習は終了。
京大のキャンパスにて、「キャップ投げ」というジャンルを生み出したわっきゃいさんに、色々とお話を聞いてみました。
そもそも、キャップ投げを始めたきっかけというのは、なんだったんですか?
僕、生まれは日本で、1歳から17歳まではアメリカに住んでたんです。
はい。それで、12歳くらいの時に教室でペットボトルのキャップを捨てるためにゴミ箱へ飛ばしてみたんですけど、すごい飛んで気持ちよく入って。「これは楽しいぞ」と。
家でもずっと練習してて、そのころから僕が投げて、他の人が打つ。という形はできていましたね。
なるほど......。日本には大学のために帰ってきたんですか?
そうです。アメリカの高校は6月に卒業なので、そこから東京で予備校生活をしながら受験に備えてました。今は一人暮らしです。
一人で日本に来て、大変じゃなかったですか?
「まぁ実質、大谷翔平というか」
いや、アメリカと日本のキャップって、もう全ッ然違うんですよ。全てにおいて違う感じですね。まぁ。「キャップとしての機能」という観点で見ればさほど変わらないんですけど。
メジャーに移籍するピッチャーも、海外のボールに対応できずに変化球が投げられなくなったりするじゃないですか。指のかかり方が全然違うので。同じく僕も、そのキャップの違いに適応できずに苦労しましたね。
海外から日本に戻ってきて、キャップの違いに苦しむ人間なんて、わっきゃいさんくらいだろうなぁ。
まぁ、それで京大に入学しまして、入学と同時にキャップ投げ倶楽部を作りました。
副キャプテンの今村さんは、キャップ投げ倶楽部の最初のメンバー。
今村さんは、なんでキャップ投げ倶楽部に入ろうと思ったんですか?
僕、野球がしたかったんですけど、野球未経験者だったんです。どうしようかな、と思ってた時に、わっきゃいがキャップでストレートとかスライダーとかフォークを投げてるのを見てびっくりして。すごいな、と。それで興味を持ったので、創立と同時に加入しました。
たしかに目の前にキャップで変化球とか剛速球投げまくる人がいたら、めちゃくちゃ興味持っちゃうな。
最初は3人くらいしかメンバーがいなくて、場所は図書館の隣にある会議室を借りて練習していました。窓が曇りガラスなので、図書館で自習してる人達からは「なにをやってるんだ......?」と、特異な目で見られてましたね。
世界初のプロキャッパー
去年の4月に3人で始まって、今は何人くらいメンバーがいるんですか?
今は50人くらいですね。
元々キャップ投げの動画をTwitterやYouTubeでアップしていたものがバズっていて、そこからテレビやメディアの取材を受けることがとても多くなり、自然とメンバーも増えていきましたね。
今年はコカ・コーラさんのCMにも出演させていただきましたね。
なんの役にも立たない僕の唯一の特技
キャップ投げ pic.twitter.com/Hu0ZStOX0t
— わっきゃい (@wildkumada) 2016年4月8日
こちらがそのCM。
そして今ではありがたいことに、僕の活動に旅行会社の最大手、日本旅行さんなどがスポンサーについてくださってまして。
え、スポンサーまでついてたら、もうプロじゃないですか。プロキャッパー......?
これからキャップ投げとどう付き合っていくか
わっきゃいさん個人としては、今後のキャップ投げのビジョンみたいなものはあるんですか?
そうですね、一応キャップ投げ倶楽部代表という立場もありますし、競技を確立させた第一人者として、キャップ投げの一般化、定着を目指しています。
キャップ投げをどこまで1つの遊びとして、スポーツとして広く社会に浸透させられるかをテーマに取り組んでいるので、いくら動画がバズったりメディアに取り上げられたりして流行しても、定着しないと意味がないんです。
その上で競技人口を増やしながら、参加者がこのスポーツに打ち込めるプラットフォームを作れたらなって思っています。
それと今、個人的に一番の目標としていることがあって。「MLBネットワーク」というアメリカのテレビ番組があるんですが、そこのスタジオがちっちゃい野球場なんですよ。キャップ投げにちょうどいいぐらいの大きさで、あそこでキャップ投げやりたいんですよね。
こうやって口に出していたら、本当にいつかきっと叶うと思います。わっきゃいさん、キャップ投げ倶楽部のみなさん、今日は本当にありがとうございました!
最後に
▲取材終わり、わっきゃいさんと。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
「キャップ投げとはなんぞや?」という感じだった僕も、取材が終わってみればすっかりキャップ投げの虜に。
帰って早速キャップ投げの練習に勤しんでおりました。
▲少し前に加入した佐古さんは、珍しいアンダースローの使い手
取材中、練習をするメンバーを間近で見ていたんですが、もうめっちゃくちゃ楽しそうなんですよね。そして真剣。
どうすればもっと早く、もっとキレのあるキャップを投げられるのか。
その場にいる全員が真剣にキャップ投げという競技に取り組んでいたのが本当に印象的でした。
今やテレビにメディアに引っ張りだこのわっきゃいさんですが、なんと10月の19~25日にイタリアで開催される「ジャパンウィーク」に出演予定なんだとか。
さまざまな日本の伝統文化に交じり、キャップ投げを披露するとのこと。すごい......。
これからまだまだ続くであろう、わっきゃいさんとキャップ投げの快進撃に期待は膨らむばかりです。
みなさんもぜひ一度、お手元にあるキャップを投げてみては......?
キャップ投げの未来を担うのは、もしかしたらこの記事を読んでいるあなたかもしれません。
それでは今回はこのへんで。
ニシキドアヤト(@art_0214)でした。
▲ちなみに、家に帰っても練習しまくった結果、肩と腕が完全に死にました。練習はほどほどに。
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