司法書士とは? 仕事内容や資格試験、気になる年収もチェック

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司法書士とは、身近な法律の専門家。メイン業務は「登記」ですが、それ以外にも企業の法律上の疑問を気軽に相談できる貴重な存在です。個人においても相続・遺言の法的手続きは知識がないと難しいため、司法書士は頼りになることでしょう。

今回は、この司法書士という職業をピックアップ。司法書士とはどんな仕事か、向いている人、試験の難しさは?そして気になる年収についても解説していきます。

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司法書士の仕事とは?

「書士」という言葉は、書類の作成を代行する仕事を意味します。同じ「書士」が付く「行政書士」と違うのは、取り扱う書類が「司法関連」のものだという点。

司法書士は、裁判所、法務局などに提出する書類の作成代理を行う仕事です。また当事者に代わって提出も行います。司法書士に依頼するのは個人のほか、企業や団体なども。

●例えば、こんな時が司法書士の出番!
・新しく土地を買った
・会社を立ち上げた

このような時に「登記」という手続きを司法書士に依頼することになります。一般の個人や企業は詳しい法律の知識がないため、面倒な法律上の手続きはやはり専門家である司法書士に…ということですね。土地や建物の売買の際には大きなお金が動くため、住宅ローンなどを組むケースが多く、司法書士は登記の手続きのために金融機関に出入りすることも多いです。

それから近年注目されている業務の一つに、「成年後見制度の代理業務」があります。これは認知症など判断能力が十分でない方に代わって、大切な契約などの判断を代理する制度のこと。高齢化社会にともなって、司法書士の活躍が期待されているのです。

司法書士に向いている人

・決まりをしっかりと守れる人
・強い責任感がある人

司法書士に向いている人は、一言でいうと「きっちりした人」。どちらかと言えばスピードよりも一つ一つを決まりどおりに行う正確性が求められます。司法書士が扱うのは、個人や企業の「権利」に関わる部分。常に100点満点!というとハードルが高すぎるかもしれませんが、やはり業務の重大性を考えると間違いは許されず、責任は大きいのです。

司法書士の就職先は?

司法書士の就職先や、就業スタイルについてご紹介します。

司法書士事務所へ就職 司法書士事務所や司法書士法人に就職する一番オーソドックスなスタイル。事務所に勤務することで、実務経験を積むことができる。
独立して自分の事務所を持つ 一人前の司法書士と言える位になったら独立開業する道も。個人で開業するほか、共同で開業する方法もある。
一般企業の法務スペシャリストになる 企業の文書・法務部といったセクションに就職するスタイル。厳密には司法書士としての業務というよりは、法律に詳しいスペシャリストとしての勤務となる。

大きな司法書士法人でも個人事務所であっても、特徴として他の専門家(士業)とタイアップしているケースが多いです。例えば行政書士・不動産鑑定士などですね。何故かというと、顧客が抱えるニーズや悩みに対して幅広く応えていこうとすると、様々な専門領域が必要になるからです。「それはうちでは扱えません」の一点張りだとやや不親切ですからね。

これは、1つの事務所内に複数の専門家が在籍し「合同事務所」となっていることもありますし、個人事務所同士が連携体制を取っていることもあります。また1人で複数の資格を所持してマルチに活躍しているケースもみられます。

認定司法書士になると訴訟代理人になれる

司法書士からさらに研修や考査を受けることで、より専門性の高い認定司法書士になることもできます。認定司法書士になるとできることは、ずばり「簡裁訴訟代理等関係業務」。ちょっと難しい言葉ですね。

これには細かな業務規定があるのですが代表的なものでいうと、簡易裁判所が扱う民事裁判で、訴訟代理人となることができます。ここが一般司法書士との大きな違いです。

訴訟代理人になると、当事者に代わって訴訟に関する書類を作成したり、実際に法廷に立って弁論することも。かなり弁護士に近い業務まで踏み込むことができる、と言えるでしょう。

ただし当然ながら認定司法書士は弁護士ではありませんので、訴訟代理人としての業務には制限が設けられています。具体的には「簡易裁判所」が扱う「訴額140万円までの民事訴訟」に限定されることになります。

●例えば、こんな時が認定司法書士の出番!
・借金の過払金返還請求
・交通事故の損害賠償請求 etc.

司法書士になるには? 司法書士試験に合格しよう!

司法書士は国家資格であり、法務省が管轄しています。『司法書士法』では、司法書士の資格を得ることができる者を以下のように定めています。

====================

第四条 次の各号のいずれかに該当する者は、司法書士となる資格を有する。
一 司法書士試験に合格した者
二 裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して十年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であつて、法務大臣が前条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの

▶︎引用:e-Gov法令検索「司法書士法」

====================

第2項は、「裁判所事務官」「裁判所書記官」などの実務経験10年以上の人や、それと同等以上の知識や実務経験があって法務大臣が特別に認めた人のこと。いわば専門のキャリアを積んだ特別なケースと言っていいでしょう。ですから一般的には、第1項に定めるとおり「司法書士試験」を受験して合格しなければなりません

晴れて試験に合格!この時点では「司法書士となる資格」を得たにすぎません。その後で日本司法書士会連合会の名簿に登録する手続きが必要。名簿に登録されることではじめて司法書士と名乗ることができ、司法書士としての業務スタートとなります。

司法書士試験の受験資格は特に設けられていません。特に法律関係の学部で勉強していなくても、また専門学校で教育を受けていなくても試験を受けることができます。

ですから、司法書士になるルートというのは人によってずいぶん違います。たとえば、弁護士事務所に事務員として雇用され、仕事をするうちに法律関係の仕事をしたくなり、一念発起して勉強。司法書士試験に合格して司法書士となった、なんて人もいます。また、企業に勤務しながら夜間の専門学校に通って勉強し、司法書士試験に合格するという人も少なくありません。

司法書士試験内容は?

司法書士試験は年に1回。筆記試験と口述試験が行われます。筆記試験に合格しないと口述試験を受けることはできません。筆記試験に合格したけど口述試験で落ちた! という人は次回受験時に(申請することにより)筆記試験を免除されます。ちなみに直近に行われる2021年スケジュールは次のようになっています。

2021年(令和3年)度の司法書士試験スケジュール

【筆記試験】令和3年7月4日(日曜日)
試験内容
1.憲法、民法、商法(会社法その他の商法分野に関する法令を含む。)及び刑法に関する知識
2.不動産登記及び商業(法人)登記に関する知識(登記申請書の作成に関するものを含む。)
3.供託並びに民事訴訟、民事執行及び民事保全に関する知識
4.その他司法書士法第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力

【口述試験】令和3年10月25日(月曜日)
試験内容
筆記試験での2、及び4について。

上記のとおり、出題範囲は非常に広く、しかも深い知識が求められますから司法書士試験は非常に難関です。次は、試験の結果についてのデータをご紹介します。

司法書士試験は難関!気になる試験結果

最近の司法書士試験の結果について、表にまとめました。

2018(平成30)年 2019(平成31)年 2020(令和2)年
受験者数 14,387人 13,683人 11,494人
最終合格者数 621人 601人 595人
合格率 4.3% 4.4% 5.2%
合格者平均年齢 38.77歳 40.08歳 40.02歳

ここでの合格率は、受験者数を合格者数で割って算出しました。ただし出願だけして受験しなかった人もいますので、出願者数から算出すると合格率はもっと低い数字に!司法書士の試験は数ある資格の中でもかなりの難関レベルと言えますね。

ちなみに合格者の男女比ですが、直近の2020(令和2)年で見ると「男性437人(73.4%)」「女性158人(26.6%)」となっています。司法書士は法律の専門職であり、能力があれば男女問わず活躍できるフィールド。独立開業すれば時間の融通が効きやすくなるためワークライフバランスが取りやすいのも魅力。今後はさらに女性の活躍も期待されますね。

▶︎引用:法務省「司法書士試験」

認定司法書士になるには?

前述で登場した「認定司法書士」ですが、こちらは司法書士からさらに研修や考査を受けることが必要になります。

STEP1:法務大臣が指定する「特別研修」を受講する
STEP2:「簡裁訴訟代理等能力認定考査」を受験→認定を受ける

この研修や考査については「司法書士会」が窓口となっています。研修は講義だけでなく、ゼミナール(演習)や実務研修・模擬裁判など、法廷での実務に踏み込んだ内容。キャリアの幅を広げるため、多くの司法書士は認定を受けているようです。

司法書士の年収はどのくらい?

司法書士とは「勤務型」だけでなく「独立型」もあることから、その仕事スタイル・仕事量により年収はさまざま。参考として、少し古いデータにはなりますが日本司法書士会連合会「司法書士白書 2017年版」から引用してご紹介します。

こうしてみると200 万円〜499 万円がボリュームゾーン。1,000万円以上の人もいますし、反対に0円の人も。まさにピンキリであると言えるでしょう。

▶︎データ引用:日本司法書士会連合会「司法書士白書 2017年版」

まとめ:信頼できる地域の司法書士になろう

司法書士とはどんな仕事か、なるにはどうすればいいのかについてご紹介しました。最後に今回の要点をまとめておきます。

・司法書士は裁判所、法務局などに提出する書類の作成代理を行う
・身近な法律の専門家という役割も担う
・試験は難関!合格率は4〜5%
・さらに研修や考査を受けることで「認定司法書士」になれる
・まずは司法書士事務所に勤務して実務を積むのが一般的
・その後タイミングを見て独立開業するパターンが多い

ただし、開業したからといって順風満帆とは限りません。これまでの顧客から得られる信頼や、地道な営業活動、そして人脈も必要です。司法書士の試験は超難関ではありますが、まさに合格してからが本当のスタート。自分のキャリアパスをしっかり見据えて得意分野を極め、基盤を固めていけばきっと地域に愛される司法書士になっていくことでしょう。

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