「ご覧になられた」はNG! ついやってしまう敬語ミス、気をつけたいポイント3選
大学生のみなさんも、社会人の先輩と話すときや教授に話しかけるときなど、敬語を使うのではないでしょうか。
しかし、敬語というものはとてもやっかいです。
うろ覚えの知識で使ってしまうと敬っているつもりが、実は誤った表現だったり、おかしな表現になってしまうことがあります。
今回は、大学生でも使う機会が多い「ご覧になられた」という敬語表現が誤っている理由をスタートに、間違えがちな敬語について併せてご紹介します。
「ご覧になられた」は間違い!
あなたも教授や目上の人と話す際、うっかり「ご覧になられた」「ご覧になられましたか?」などと言ってしまっていませんか?
実は、「ご覧になられた」「ご覧になられる」という敬語表現は間違い!
「ご覧になる」は「ひととおり目を通す」という意味の「覧る」の尊敬語であるため、「なられた」にすると敬語と敬語が混ざり合った「二重敬語」表現になってしまうのです。
ただし、「覧る」はきちんとした意味があるものの常用漢字ではないということを覚えておかなければなりません。
通常「覧る」とすべき表現は、目でものをとらえることを意味する常用漢字の「見る」と表現されています。
「ご覧」がつく誤った敬語表現【正しい表記例つき】
「ご覧になられる/ご覧になられた」の正しい敬語表現は、「ご(お)~なる」の尊敬語表現の型を使った「ご覧になる」です。
この機会に、「ご覧」がつく誤った敬語表現をチェックして、使用を控えるようにすることをおすすめします。
×テレビはご覧になられますか? | ○テレビはご覧になりますか? |
×教授はあの展示をご覧になられましたか? | ○教授はあの展示をご覧になりましたか? |
×先生は動画をご覧になられましたか? | ○先生は動画をご覧になりましたか? |
「ご覧になる」は「覧る」の尊敬語
「ご覧になる」という表現は本来、ひととおり目を通すという意味の「覧る」の尊敬語表現。
尊敬語とは一般的に、動作をする人を話し手が尊敬・敬意を払い扱う気持ちを表す表現です。
特に、先生や教授・お客さんに対して使うことが多いため、大学生のキャンパスライフにて教授と話す時はもちろん、社会人になってからも頻出の表現だと言えます。
「ご覧になる」の正しい使い方 |
・林教授がご覧になる資料を準備する
・現代美術の巨匠である伊藤先生が絵画をご覧になる ・みなさん、配布した補足資料をご覧ください |
また、「ご覧ください」も「覧る」の尊敬表現となります。
プレゼンテーションや卒論発表にも役立つ表現なのではないでしょうか。
「見る」の謙譲語は?
敬語表現には、尊敬語の他に謙譲語と呼ばれる、話し手がへりくだる表現があります。
「覧る」の尊敬語が「ご覧になる」という表現になるのに対し、謙譲語では「拝見する」です。
・佐々木教授からいただいた資料を拝見する ・伊藤教授の論文を拝見しました |
つい使いがちな二重敬語って?
二重敬語とは、ひとつの語句に対して同じ種類の敬語表現を2回重ねて使われている敬語表現のことを指します。
前述の「ご覧になられる」以外にも、以下のような二重敬語表記は一般的に誤りとされます。
☓社長がご覧になられた。 | ◯社長がご覧になった。 |
☓先方の鈴木部長がおっしゃられていました。 | ◯先方の鈴木部長がおっしゃっていました。 |
☓5月1日に伺わせていただきます。 | ◯5月1日に伺います。 |
☓企画書を拝見させていただきました。 | ◯企画書を拝見しました。 |
2番目の例文「先方の鈴木部長がおっしゃられていました」の場合、「おっしゃる」がすでに尊敬語です。
尊敬語は「動詞 + れる・られる」という形でつくられる場合がありますが、この場合は二重敬語になっておかしい表現になってしまいます。
3番目の「5月1日に伺わせていただきます」も良く見かけますよね。
社会人になった後の電話やメールで使いそうな表現ですが、残念ながら「伺う」「いただく」は両方とも発生者がへりくだる謙譲語ですから、「伺わせていただく」はやはり二重敬語で、一般的には誤用となります。
4番目の「企画書を拝見させていただきました」も丁寧性に見えますが、「拝見する」も「させていただく」も謙譲語表現ですので、敬語としては誤りです。