- 開催日時
- 2021年01月27日(水) 10:00〜17:30
- 開催場所
- ご参加いただける方にのみ1月22日(金)頃にZOOMミーティングURLを送付致します
- 募集人数
- 18名
- 申込締切
- 2021年01月27日(水) 10:00
有名奨学金制度「フルブライト」って一体どんな制度?
奨学金、その制度の在り方について日本でも近年議論が盛んです。奨学金、その制度といえば「フルブライト」が世界的に最も有名ですね。世界でも著名な人々がフルブライト奨学金制度を利用してきました。しかし、フルブライト奨学金制度について、名前は聞いたことがあってもくわしく知っている人は少ないのではないでしょうか? 今回は、フルブライト奨学金制度についてご紹介します。
■コミュニケーション不足が決定的な亀裂を生む!
給付型の奨学金を提供する奨学制度として有名な「フルブライト」は、 J・ ウィリアム・フルブライト上院議員の提唱した「フルブライト教育交流計画」が米国議会に承認され、1946年に発足したことに始まります。
フルブライト奨学金制度の根幹は、
・外国の若者がアメリカで学ぶ援助をすること
・アメリカの若者が外国で学ぶ援助をすること
です。いわばアメリカとの相互留学生のための資金援助を行っているわけで、ここが他の奨学制度と大きく異なっています。
これは、提唱者のフルブライト上院議員の信念から出ています。1946年は、第二次世界大戦が終結した直後。広島、長崎への原爆投下による災禍を知ったフルブライト上院議員は、国民間の相互理解こそが決定的な亀裂を防ぐのだ、という信念に思い至ったのです。
彼は、アルバート・アインシュタインが、原爆投下直後に言った以下の言葉を好んで引用したそうです。
「今や、全てが変わってしまった。われわれの思考方法を除いては。われわれは比較にならないほどの破局に向かって流されつつある。人類が生き残りたいのなら、本質的に全く新しい思考方法を必要とするだろう」(『もうひとつの日米関係』P.14より引用)
フルブライト上院議員は、国同士の交流関係よりも、国民同士の交流関係、その相互理解こそが「新しい思考方法」であると捉えたのでしょう。「フルブライト教育交流計画」は、「教育・文化交流という方法によるアメリカ国民と他国民との間の相互理解の増進」を高く掲げ、現在もその理念を貫いているのです。
■日本人フルブライターは6,400人を超える!
発足当時は、アメリカ政府の資金によって運営され、わずか数カ国との間で始まった国際教育交流奨学制度でしたが、現在ではアライアンスを結んでいるのは160カ国以上に達し、これまでに37万人もの奨学生を援助した実績を持っています。
さて日本です。1951年に日米政府間でこの教育交流計画を実地するための覚書が交わされ、1952年に米国政府資金によって在日合衆国教育委員会が日本に設立されました。
その後、1979年に日本政府は運営資金を米国政府と折半することを決定し、同事業を継承する形で同年12月24日に日米教育委員会が設立されました。 現在までに、フルブライト奨学生(フルブライターと呼びます)となった日本人は6,400人を超えます。
フルブライターの中には、ノーベル賞を受賞した利根川進博士や小柴昌俊博士、国連事務次長を務めた明石康さんなど世界でも注目される人物が多く、挙げ始めればきりがないほどです。フルブライト奨学金制度が有名で、フルブライターが優秀であるとされるのは、このような先人たちの活躍が世界中で知られているからです。
フルブライト上院議員がまいた種は日本でも大きく育ち、無数の花を咲かせながら今もその幹は成長し続けています。