若者に読んでほしい、往年の名作ラノベ7選「ロードス島戦記」「スレイヤーズ」
今の30代が楽しんだ1980年代後半、また1990年代のライトノベルには今読んでも面白い、いわゆる「往年の名作」が数多くあります。昨今のライトノベルに登場する要素なども、初めて登場したのはこの時代だったりします。そこで今回は、今の若い世代が読んでも面白いという、往年の名作をピックアップしてみました。
●『ロードス島戦記』著者:水野良
1988年に角川スニーカー文庫で刊行された冒険ファンタジー小説。ロードス島にある小さな村に住む若者が、周辺に出没する妖魔を退治するために冒険に出るところから始まり、次第に島全体を巻き込む大きな戦いに身を投じることになります。人気テーブルトークRPGを小説化したものでしたが、読み応えのある壮大なストーリーと個性的な登場人物、また緻(ち)密な設定などが評価されさらに大ヒット。「ファンタジー小説の中ではこれが一番」と挙げる人も少なくありません。ちなみにエルフの「長い耳」を定着させたのもこの作品だったりします。
●『フォーチュン・クエスト』著者:深沢美潮
1989年に角川スニーカー文庫から刊行されたファンタジー小説です。詩人兼マッパー(地図を作る人)の駆け出し冒険者パステルが、仲間たちとパーティーを組み、剣と魔法の世界を冒険していく姿が描かれています。パステルたちが少しずつ成長する様も見どころではありますが、この作品の魅力として「世界観」が挙げられます。作中の世界には冒険の保険会社や支援団体、初心者救済などもあり、一般的なファンタジー世界にはない手厚いバックアップが受けられます。こうしたファンタジーでありながらもリアルな世界観があることも面白いポイントです。
●『宇宙一の無責任男』著者:吉岡平
富士見ファンタジア文庫から1989年に刊行が始まったSF小説です。楽がしたいからという理由で宇宙軍に入ったジャスティ・ウエキ・タイラー二等兵が、偶然と強運によって次々に出世。ついには宇宙艦の艦長にまで上り詰め、宇宙を大きな騒動に巻き込んでいきます。いわゆるスペースオペラですが、コメディー要素も強く、タイラーの強運っぷりは笑ってしまうほどです。特に、タイラーのせいで貧乏くじを引きまくっている副官のヤマモトの不幸ぶりについ笑ってしまいます。
●『スレイヤーズ』著者:神坂一
1990年に富士見ファンタジア文庫から刊行されたファンタジー小説です。「ドラゴンもまたいで通る」とまで言われる強力な魔法の使い手リナ・インバースが、人間界と異世界を巻き込む騒動に立ち向かうストーリー。最強クラスの主人公が軽快に敵を倒す、個性的な仲間の登場、格好良い魔法、そして異次元世界の存在など、ファンタジーライトノベルの面白要素をこれでもかと内包しています。その濃さは読めば必ず厨二病になるほどでした。魔法の詠唱文もつい覚えてしまうでしょう。
●『ブギーポップは笑わない』著者:上遠野浩平
1998年に電撃文庫から刊行された学園小説。「世界の敵」と戦う「ブギーポップ」というヒーロー的存在を、異なる人間の視点で見た物語が描かれています。物語はあくまで「目撃者」「傍観者」の視点で書かれているため、作中で起こった出来事に対する説明は詳しくなされていません。いろんな視点の物語を読むことで、読者はブギーポップや世界の敵について考察するのです。この独特の描写が中高生に受け、知る人ぞ知る作品としてヒットしました。
●『魔術士オーフェンはぐれ旅』著者:秋田禎信
富士見ファンタジア文庫から1994年に刊行されたファンタジー小説。強力な力を持つ黒魔術士のオーフェンが、各地を転々としながら依頼や騒動を解決していく物語です。蒸気機関やガス灯、さらには銃火器があるなど、一般的なファンタジー世界とは異なる高度な発達を遂げた世界が舞台となっているのが特徴です。その独自の世界観の下、展開される壮大な物語は、今読んでも引き込まれること間違いなしです。ギャグ要素の強い短編読み切りの『魔術士オーフェン・無謀編』もお薦めです。
●『十二国記』著者:小野不由美
1991年に講談社から刊行されたファンタジー小説。古代中国を思わせる異世界へ飛ばされた女子高生が、その世界でさまざまな人物と出会い、そして壮大な運命に翻弄(ほんろう)されていく物語です。重厚な世界観と、ごく平凡な女子高生が過酷な運命に負けず成長していく様は読み応え抜群。現在も出版社を新潮社に移してシリーズは続いています。
今読んでも面白い往年の名作ラノベをピックアップしてみました。他にも『爆れつハンター』や『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』『フルメタル・パニック!』あたりも、往年の名作とされているライトノベル。「古いのはちょっと」と敬遠している人も、ぜひ読んでみてください。あっという間に全巻読破してしまうかもしれませんよ?
(中田ボンベ@dcp)