全員学生ながら組織は法人! 3万5,000部発行の『東京大学新聞社』 編集長に話を聞いてみた
「新聞部」あるいは「新聞サークル」がある大学は多いでしょう。東京大学新聞の発行母体は『公益財団法人 東京大学新聞社』となぜか法人になっているのをご存じでしょうか。これは東京大学生による編集部員で構成された、「東京大学新聞」を発行する新聞社です。今回は、この東京大学新聞社編集部の編集長に取材しました。
■東京大学新聞は3万5,000部発行!
まず、東京大学新聞がどんな新聞かといいますと……。
週刊(年42回)発行
毎号4ページが基本
公称発行部数:約3万5,000部
となっています。3万5,000部も発行している大学新聞というのも相当珍しいですが、面白いのは、「編集部員は東大生(+大学院生)」ですが、「広告などに携わる業務部員は東京大学新聞社が外部の人を雇用していること」です。
恐らくこのようなシステムで運営されている大学新聞は東京大学だけではないでしょうか。東京大学新聞社はたいへんユニークな存在なのです。
■東大に関する情報を心掛ける!
『公益財団法人 東京大学新聞社』編集部の竹内暉英編集長(文科一類2年)にお話を伺いました。
――東京大学新聞ではどんな紙面作りを行っていますか?
竹内編集長 「ニュース」「学術」「文化」の3つを扱っています。東京大学に関するニュース、東京大学の学術論文や研究、東京大学のカルチャーといった、東京大学の学生や東京大学に関わる人が興味を持つことを記事にします。
――編集方針を教えてください。
竹内編集長 「学生目線」であることでしょうか。東京大学新聞の読者の約6割は東京大学生(大学院生含む)ですので、やはり学生目線で面白いと思う記事であること、学生にとって有意義な記事であることが大事です。
■なぜ法人になっているのか!?
――東京大学新聞社は非常に古い歴史があるとのことですが、いつからあるのでしょうか?
竹内編集長 1920年(大正9年)からです。この年に『帝國大学新聞』が創刊され、何度かの改称を経て現在に至ります。
――すると、もう95年の歴史があることになりますね。なぜ、東京大学新聞の発行母体は独立した法人になっているのでしょうか?
竹内編集長 沿革によれば1946年に「財団法人帝国大学新聞社設立」となっているのですが、その理由までは私は知りません。
――それは残念です。
■いろんなところへ取材に行けるのが面白い!
――編集長業務について教えてください。編集長に任期はあるのですか?
竹内編集長 現在では2年の7月から3年の6月までの1年間を任期とすることが多いです。
――その期間が終わったら活動を「卒業」ということでしょうか?
竹内編集長 いえ、その後も活動を続けるかどうかは本人次第です。編集長ではなく編集部員として活動することになりますが。
――編集長をやってみて難しい点、つらいと思う点はどんなことですか。
竹内編集長 やはり毎週きちんと刊行することでしょうか。毎週1回編集会議をして、編集部員と相談するのですが、ネタが出なかったり、誰もその企画をやりたがらなかったりといったことも起こり得ます。
僕は自分で書くのも好きなのでその場合には自ら動くことが多いですが、本当は編集長はみんなに役割をうまく割り振って、その後の進行や下版は副編集長に任せるのが理想だと思っています。一番いいのは編集長が何もしなくても新聞がきちんと刊行されることでしょう。そのために現在1年生の編集部員を育てるのも重要なことですね。
――新聞を作っていて面白いことは?
竹内編集長 新しい発見が多く体験できることはさまざまですが、一番はいろんな人に会えることですね。例えば、東京大学の総長にインタビューして「これからどんな東大を作っていくのか」「東大をどのようにしていくのか」といったことを直に聞けるとか。そういった経験ができるのも新聞を作っているからだと思います。めったに会えない人に会えるというのは大きな魅力ですね。
――ありがとうございました
竹内編集長の言葉にもありましたが、メディアを継続していくというのはとても大事で、しかも大変なことです。さらに週刊でとなるとその苦労もひとしおでしょう。ずっと続く東京大学新聞。2015年12月までの通巻号数は2,744号にもなるそうです。編集長から編集長へと、これからもバトンは渡されていくのです。ともあれ、昨今の出版不況の中、3万5,000部というのはスゴイ数字です!
⇒『東京大学新聞社』公式サイト
http://www.todaishimbun.org/company/
⇒『東大新聞オンライン』
http://www.todaishimbun.org/
(高橋モータース@dcp)