大学生で職人!? 東京大学にある「東大襖クラブ」の実態とは!?
全国的に有名な大学サークルはたくさんありますが、『東大襖(ふすま)クラブ』はその中でも特に有名ではないでしょうか。名前を聞いたことのある人は多いと思われますが、実際にどんな活動を行っているのかご存じでしょうか!?
『東大襖クラブ』の現会長・東京大学理科一類2年生の佐々木悠さん、東京大学理学系研究科修士1年生の武藤圭史朗さんのお二人にお話を伺いました。武藤さんは『東大襖クラブ』で一番襖の張り替えが上手とのこと。ということは恐らく東大一襖の張り替えがうまい人なのです!
↑左が佐々木会長。右が東大一の腕を持つ武藤さんです。
■『東大襖クラブ』ってこんなサークルです!
――『東大襖クラブ』ではどんな活動を行っているのですか?
佐々木さん 基本的には、一般の方々から「襖の張り替え」の依頼を受けて、その作業を行いお代を頂くという活動です。
――ということは町の建具屋さんのようなことをされている!?
佐々木さん はい。依頼を受けたら、現地に見積もりにうかがって、どんな紙を使用するかなどを話し合い見積もりを出します。そして張り替えの作業を行い、料金を頂くという流れです。
――仕事を受けたら皆さんで行くのですか?
佐々木さん ふすまが多い場合には複数で動きますが、基本的には見積もりから張り替え作業まで一人で行います。新入生を見習いで連れて行くことはありますが(後述)。
――では、サークルに属している人がそれぞれ職人なわけですね。
佐々木さん そういうことになりますね。
■もともとは学生のアルバイトのためにできた!
――『東大襖クラブ』はずいぶん有名ですが、どのくらい歴史があるのでしょうか?
佐々木さん 今年(2015年)で設立61年目です。
――襖の張り替えを行うというのは非常に珍しいサークルだと思うのですが、そもそもなぜ設立されたのでしょうか。
武藤さん もともとは戦後すぐで仕事もない時代に、大学生のアルバイトになるように設立されたそうです。ですので、もともとはサークルでなくてアルバイトをあっせんする教務課に属していたと伝え聞いています。
――なるほど。
武藤さん 昔は東京大学だけでなく、早稲田大学や千葉大学にも「襖クラブ」があったそうです。
――他の大学にもあったんですね!
武藤さん と聞いています。恐らく東京大学と同じように、大学生のアルバイト的な意味で設立されたのではないでしょうか。今は他大学でどうなっているかはちょっと分かりませんが。
■入部した新入生はまず練習! 腕を磨いて合格を目指す!
――入部した1年生は襖の張り替えの練習をするのですか?
武藤さん 実際にお宅に伺って襖の張り替えを行い、お代を頂きますので、きちんとそれに値する仕事ができないといけません。ですから、新入生は先輩に見てもらって「合格」するまでは「部員」と認められません。
佐々木さん 新入生は自分の空いている時間に部室に来て、襖の張り替えを行い、それを置いておきます。先輩部員も自分の空いている時間に来て、新入生の張った襖を見て評価します。新入生はそれを見て合格を目指すのです。
――なるほど。
↑部室にあった練習中の襖。先輩からの評価が書かれています。
↑先輩からの細かいアドバイスが書かれています。
――どれぐらいやればうまくなるものですか?
武藤さん そうですねえ、15枚も張ればある程度の腕になると思います。合格したら、最初は先輩と一緒に現場に行って仕事の流れを覚えます。それで自分でもできるようになったら今度は一人で動くようになるのです。
――本当に職人を育てているみたいですね。
■年末は書き入れ時! とっても忙しい!
――年間どのくらい襖の張り替えの依頼があるのでしょうか?
佐々木さん 年間100件ぐらいでしょうか。
――それは多いですね!
武藤さん うちは襖だけでなく障子(しょうじ)の張り替えもやっているのですが、年末は特にご依頼をたくさん頂きます(笑)。
――『東大襖クラブ』の魅力とは何でしょうか?
武藤さん 私は5年同クラブに在籍していますが、実際にお客さまの所に行って作業して、襖が新しくなったときに「明るくなった」「張り替えて良かった」などと言ってもらえることでしょうか。感謝されるとやって良かったなあと思います。
佐々木さん 同じですね。やっぱりお客さまに喜んでもらえることがうれしいですね。
――ありがとうございました。
お二人の話によると、最近では襖を張り替えることができることを知らない人も多いとのこと。『東大襖クラブ』さんに依頼すると、通常の工賃より割安に襖の張り替えができるとのこと。あなたも襖の張り替えを依頼してみませんか?
⇒『東大襖クラブ』公式サイト
http://fusumaclub.webcrow.jp/
(高橋モータース@dcp)