京大「サークルクラッシュ同好会」に聞いた! サークルクラッシャーは「女子校出身者」「承認欲求の強い人」に多い!
京都大学に「サークルクラッシュ同好会」というあまり聞き慣れない名前のサークルがあります。ホームページを見ると、「集団における人間関係」について研究しているサークルとのことですが、ではどんな活動をしているのでしょうか。今回は、謎の「サークルクラッシュ同好会」の代表であるホリィ・セン(ハンドルネーム)さんにお話を伺いました。
■恋愛関係のもつれにより起こるサークルクラッシュ
――まず、「サークルクラッシュ」とはどういったものなのでしょうか?
ホリィ・センさん サークルクラッシュは、あまり恋愛経験のない男女が多いサークルなどで、異性をめぐる恋愛問題が起こり、それがきっかけで人間関係が崩壊してしまうことです。サークルが崩壊するのでサークルクラッシュといいます。
――サークルクラッシュ同好会ではどういった活動をされていますか?
ホリィ・センさん このサークルは「ネタ」「メタ」「ベタ」の3つの側面があります。ネタはそのまま、ネタ的な面白いことをしようというもの。メタは恋愛関係のもつれで起こるサークルクラッシュをメタ視点で観察し、自分たちのコミュニケーションを見直そうというもの。そしてベタは「新歓」や「飲み会」などの学生のサークルらしいベタな行動、ということです。
――その中では特にどういった活動に重点を置かれていますか?
ホリィ・センさん 毎月の例会があり、そこでサークルクラッシュの理論や事例研究などの話し合いを行っています。そうした研究結果は年に1-2回の頻度で会誌としてまとめています。会誌ではサークルクラッシュの研究結果だけでなく、ジェンダー問題など幅広い研究を掲載し、小説や漫画、また実際にサークルクラッシュに遭遇した人のインタビューも掲載しています。
――現在のサークルの規模はどれくらいなのでしょうか?
ホリィ・センさん 他大学の学生もおり、総人数は100名くらいではないでしょうか。そのうち、実働は30人、例会に参加しているのは15人ほどです。
■クラッシャー側が一概に悪いわけではない!?
――先ほど「経験者のインタビュー」とありましたが、同好会にサークルクラッシュの相談や問い合わせなどは頻繁に来るのでしょうか?
ホリィ・センさん 相談などはたまにメールが来る程度ですね。他には人間関係の悩みや、クラッシュしてほしいというもの、クラッシュする側になりたいというメールもありますね。
――こうしたサークルクラッシュというのはどういった例がありますか?
ホリィ・センさん やはり恋愛経験の乏しい男性のグループに女性が入り、男性たちがその女性をめぐって争う、というケースです。こうした例では女性、つまりクラッシャーが悪いとされることが多いのですが、一概にそうとは言えないのです。もちろん男性たちを手玉に取ろうという魂胆で意図的にクラッシュさせる女性もいますが、中には気弱なことが災いしてクラッシャーになってしまうかわいそうなケースもあります。
――意図せずにクラッシャーになってしまうのはどういったタイプの人が多いのですか?
ホリィ・センさん 例えばですが、女子校出身者はクラッシャーになりやすいようです。これは男性との距離感がわからない人が多く、近付き過ぎることが多く見られます。そのせいで恋愛経験の少ない男性たちが勘違いしてしまい、人間関係が崩れると……。あとは承認欲求の高い人もそうなりやすいといえます。
――たしかに男は勘違いしやすい生き物ですから、近くまで接近する女性に対して意識してしまいますね……。
ホリィ・センさん ただ、中には同性同士でのこじれでサークルクラッシュが起こる例もありますし、男同士で協力して女性を排除する動きも見られます。
■サークルクラッシュは社会問題ではないか
――このサークルクラッシュ同好会を作られたきっかけは何だったのでしょうか?
ホリィ・センさん 一つは自分が目立ちたがり屋ということです。せっかく大学に入ったので何かをやりたいと思いましたし、また京都大学は変わったサークルを作ってもいいという風潮があるのもサークルを作った要因です。それに何よりもサークルクラッシュという事象が面白いと思ったからですね。
――サークルクラッシュが起こる過程が面白いということですか?
ホリィ・センさん 最初は過程というよりも心理面。サークルクラッシュに巻き込まれる人たちの心の動きに興味が沸きました。しかし現在私は大学で社会学を学んでいまして、このサークルクラッシュは原因をたどると、個人の問題ではなくむしろ社会問題につながるのではないかと考えています。
――現代社会が生み出した問題であると。
ホリィ・センさん そうです。現代は恋愛弱者、コミュニケーション弱者が増えていますが、これは既存の集団が緩くなったせいかもしれません。現代は昔と比べると大家族も減り、核家族化が進み、そのせいで地域における集団性も薄くなりました。そのためコミュニケーション能力を培う場が少なくなっています。
――たしかにいろんな人と触れ合う機会が失われつつあります。
ホリィ・センさん 学校もまとまりがないのですが、高校まではある程度集団で動くのでそこまで問題にはならないかもしれません。しかし卒業すると人間関係が一気に自由になり、自分で人間関係を選択しないといけません。そうするとコミュニケーション弱者はうまく集団に入ることができず、排除されてしまうケースが増えてしまいます。
――とはいっても、コミュニティーから隔絶して生きるのは難しいでしょう。
ホリィ・センさん そうなんです。そこで例えばネットのオフ会や、自分と同じ問題を抱える人たちで集まることになり、そうした場は最もサークルクラッシュが起こりやすいのです。そこで排除されてしまうと、「二重の排除」になってしまいます。
――大きな社会問題の末端がサークルクラッシュである、ということなのですね。
ホリィ・センさん 今後はこうした部分に注目して研究していきたいと思っています。他にも、今シェアハウスの代表をやっていまして、こうした居場所づくりを積極的に行い、人と人をつなげる手助けができればと思いますね。
――ありがとうございました。
筆者も大学時代にサークルクラッシュに遭遇したことがありましたが、まさかそれが社会問題に端を発しているとは思いもよりませんでした。一見するとイロモノなサークルに思ってしまいますが、その根底にはしっかりとしたコンセプトがあります。ホームページでは体験報告のフォームなどもあるので、経験者は自分の体験を送ってみるのもいいかもしれませんね。
サークルクラッシュ同好会のHP
⇒http://circlecrash.jimdo.com/
(中田ボンベ@dcp)