【シーメンスヘルスケア】必要なのは「熱量!」第一線で活躍する医療機器エンジニアが学生に伝えたいこと #お仕事図鑑
ヒット商品やサービスを手掛ける企業のキーマンにお話を伺う企画「#お仕事図鑑」。
今回は「シーメンスヘルスケア」でエンジニアとして活躍されている時安さんにインタビュー。CTやMRIなど大型医療機器の設置プロセスのリアルから、海外で働いた経験、海外エンジニアとの協働で感じたこと、情報系の学部から医療機器の世界に飛び込んだきっかけまで、詳しくお話を伺いました!

PROFILE
時安 竣一さん
・血管撮影装置(アンギオグラフィ)およびMRI(磁気共鳴画像)装置のInstallation(据付作業)エンジニア。
・新装置据え付けにおける第一人者。新しい製品が販売開始されたら技術情報などをドイツの製造元に問合せを行い、国内初号機の稼働に携わる。設置後のフィードバックを製造元へ行う。
・高品質なInstallation(据付作業)。医療従事者とその先にいる患者様の満足度向上に向け、高品質な据付作業を心掛けている。
大型医療機器を病院で使えるようにするための「初期セットアップ」を担当
ーーまずは自己紹介と、現在のお仕事内容について教えてください。
シーメンスヘルスケア株式会社の製品設置グループに所属している時安竣一と申します。2014年に新卒で入社し、今年で13年目です。入社以来製品設置グループに所属しており、CTやMRIといった画像診断機器、手術で使用する血管撮影装置(アンギオグラフィ)などの設置業務を担当しています。入社5年目からはチームリーダーとして後輩の育成にも携わっています。
「インストレーション」や「スタートアップ」と呼ばれる私たちの仕事は、分かりやすくいうと医療機器の「初期セットアップ」のようなものです。PCや家電を買った時にも初期セットアップがありますが、大型の医療機器の場合は高度な調整が必要です。製造元のドイツから機械を病院に運んだ後、装置が問題なく使えるよう約1週間病院の中で設置業務にあたります。
ーー1つのプロジェクトが完成するまでにどのくらいの期間や人数が関わるのでしょうか?
装置の種類によって異なりますが、大型の医療機器の場合、病院で使用できる状態になるまでに、搬入からおおよそ2〜3週間ぐらいかかります。装置を入れるための「部屋づくり」も重要です。床の耐久性や、手術室であればクリーンルームの基準を満たす必要があるなど、部屋の工事も含めると1〜2ヶ月かかるものもあります。打ち合わせから含めると1年ほどの長い期間が必要で、実際に関わる人は10数人から数十人規模のプロジェクトです。
ーー装置の種類によって設置の難易度も変わってくるのですか?
はい。たとえばX線を透過して体の内部を見るCTは比較的つくりがシンプルでサイズもコンパクトなため、どんな部屋にも入りやすく、工事もそれほど大掛かりにはなりません。一方、X線を使わず磁場で体の中を見るMRIは、磁場を生成するための電磁石が非常に大きく搬入時に壁を壊して入れなければならないこともあります。
グローバル企業ならではの魅力と、海外エンジニアと働いて感じた文化の違い
装置を扱うためのライセンスはドイツ本社が発行するグローバルなものなので、国内外を問わずエンジニア業務にあたることができるのはこの仕事の魅力のひとつです。実際に私も2019年と2023年に、フランスや台湾に約1ヶ月単位で出張して設置業務を行いました。
また、日本で初めて稼働する装置の設置や調整に携わることができる点も大きな魅力です。日本でまだ稼働していない「初号機」と呼ばれる装置の設置は、非常にやりがいがあります。
ーードイツの製造元とのやり取りや、海外のエンジニアと仕事をする中で感じる面白さや文化の違いについて教えてください。
意外にも、日本のエンジニアも海外のエンジニアも、それほど大きな違いはないと思っています。一緒に仕事をした人は皆、エンジニアとしてのプロ意識やプライドを持っていて、「自分はこう思う」という意見をしっかり持っています。時にはそれぞれの理論をぶつけ合いながらコミュニケーションを取り、そこから良い解決策を見出すこともありました。
よく「海外の人は自己主張が強い」「日本人はどちらかというと引き気味」と言われますが、実際にはそこまで強い印象はありません。意見は言いますが「絶対に通す」という感じではなく、こちらの意見にもきちんと耳を傾けてくれました。すごく仕事がしやすかったですね。
ただ、フランスとの文化の違いには驚きました。一番驚いたのはお昼休憩を2時間取ることです。1時間ぐらいで昼食を済ませた後、さらに1時間ほどチョコレートとエスプレッソでゆっくり過ごす時間がありました。
もちろんサボっているわけではなく、切り替えのための休息です。ミスなく効率よく仕事をするために休憩は大事だという考え方が根底にあります。頭をリフレッシュしたり、外の空気を吸うことで次のプランについてゆっくり考えたり、「これは正しいのか、正しくないのか」と振り返る時間にもなります。しっかり2時間休憩して、18時にはきっちり帰るというスタイルには、すごく感銘を受けました。
ーー作業中に予期せぬトラブルが発生した際、どのように製造元のドイツと連携を図っているのですか?
ドイツとは時差があるので、日本時間で午後3時〜5時頃から向こうのサポート体制が整い、連携が始まります。ただ、日本時間の遅い時間帯に合わせて仕事をすると体力も削られますし、体のサイクルも整わないので、短い時間の中でいかに適切なサポートを受けるかが重要です。
心がけていることは、起こっている現象を正確に伝えることと、締め切りを意識したタイムスケジュールをしっかり伝えることです。緊急性や重要度に応じた優先順位付けを行い、「ここは即座に対応してほしい」と明確に伝えることで、お客様に影響が出ないようにしています。
ーー海外で働くためには英語が必須だと思いますが、英語力について、入社後にどのように磨かれたのでしょうか?
実はそんなに英語は得意ではないので、英語で仕事をする上では、メールでも電話でもTeamsの会議でも、必ずログを取ることを心掛けています。その場で聞いた時はなんとなく単語を拾って理解したつもりでも、後から確認すると全く違うことを言っていたという経験もありました。そういったコミュニケーションエラーが起きないよう、不安なところがあれば必ず文章で確認を取るようにしています。
情報系学部から医療機器の世界へ
ーー大学では情報系の学部に在籍されていたとのことですが、医療業界のエンジニアに関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
正直なところ、大学入学時には明確に将来を決めていたわけではありませんでした。高校時代から「こういうことをやりたい」「この学部でこういう勉強をしたい」「こういう研究室がある大学を選ぶ」――そこまで選べている人はなかなかいないと思いますし、私もその一人でした。情報系の学部を選んだのも、「次はITだろう」という当時の漠然とした考えからです。正直、単位を取るために大学に行っていたような状態でした。
医療業界に進むきっかけは、『チーム・バチスタ』という医療ドラマ。MRIが登場するシーンがあり、「電磁石を使って体の中が見られるなんて、機械の構造として面白そうだな」と興味を持ちました。ちょうど研究室を選ぶ大学2〜3年生のタイミングだったので、情報系の中でも画像処理の分野を選びました。MRIやCTの画像を使った医療用画像診断に特化した研究室に配属されて、ようやく勉強に興味を持てるようになりましたね。就活でもMRIを扱える会社をベースに進めて、今に至ります。
ーー医療機器は人の命に直結する分野ですが、安全性を確保する上で最も重要だと感じていることは何ですか?
どの分野のエンジニアにも言えることだと思いますが、製造元が出しているマニュアルに忠実に作業を行うことが一番大事だと考えています。もちろんマニュアルも人が作ったものなので、完璧ではない部分もあります。だからこそ、作業しているエンジニアが「こちらの方がいいのではないか」という気づきをしっかりと製造元にフィードバックすることが重要です。基本はまずマニュアルに忠実に。そして小さな気づきもこぼさずにフィードバックを行う。それが安全に装置を稼働させるための鍵だと思っています。
ーーご自身の意見が製品に反映された具体的なエピソードはありますか?
はい。たとえば「こういう風に変わったらエンジニア目線で作業性が良くなる」とか、「実際に使用する医療従事者の目線でこうだったら嬉しいのではないか」といった要望を出すと、開発元は可能な限り実現してくれます。特に新装置が出回り始めた段階では情報が少ないので、最初に長期間装置に触れるエンジニアとして、私たちのグループが積極的にフィードバックするようにしています。
ーーどんな素養を持つ学生がこの仕事に向いていると思いますか?
実際の業務では電気や機械系の知識が多く求められます。もちろんベースに知識がある方が有利ではありますが、結局は入社してからの勉強の方が重要だと思っています。一番大切なのは「これに対して熱量を持ってやれるな」という興味関心です。どんな業界、どんな会社を選ぶにしても、その熱量は絶対に必要かなと思います。そういう熱量をうちに向けていただける方に、ぜひ受けていただきたいですね。
ーー最後に、大学生へメッセージをお願いします。
まずは英語を頑張ってください。私から言うのも変ですけど(笑)。
そして、卒業旅行でもいいので、できるなら海外に行ってください。海外に行って空気を吸って、実際に体験するということは、海外で働くモチベーションになると思っています。行ったことがないということもモチベーションになるかもしれませんが、実際に触れるのはまた違ってきます。
それから、就職すると学生時代の友達とゆっくり過ごす時間がなかなか取れなくなります。旅行でなくても構いません。必ず思い出を作ってください。
最後に、いろんな会社を受けてみてください。いろんな選択肢がそこからさらに増えていきます。この就活が最後というわけではないので、肩の力を抜いて、楽しく就活していただければと思います。本日はありがとうございました。
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取材:柴澤 実歩(ガクラボメンバー)
執筆:田中 妃音(ガクラボメンバー)
編集:学生の窓口編集部
取材協力:シーメンスヘルスケア株式会社
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