【世界に羽ばたくファッションデザイナーの発掘!】東京都が主催する国内最大級の2つのファッションクール「NFDT/SFDA」。そのワークショップを覗いてきた

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世界のファッション拠点といえば、パリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンの4都市。これらの都市では、主に春・夏、秋・冬と年に2回、各ブランドが次のシーズンの新作コレクションを発表するファッションウィークが開催され、それが業界のトレンドとなり、ファッション界をけん引しています。特に「パリコレ」という言葉は、ファッションにあまり興味にない人でも聞いたことあるのではないでしょうか?

東京都は、「東京を世界の4大都市と肩を並べるファッションの拠点にしたい」という想いのもと、ファッション・アパレル業界の振興に力を入れています。さまざまな取り組みを通じて、業界の活性化を目指しているのです。

その一環として2022年に創設したのが、2つのファッションコンクール「Next Fashion Designer of Tokyo(NFDT)」と「Sustainable Fashion Design Award(SFDA)」。 どちらも、世界に羽ばたくファッションデザイナーの発掘と育成がコンセプトになっています。

最終審査で東京都知事賞の大賞と優秀賞、特別選抜賞を決定(画像は昨年度の大賞作品)

「NFDT」と「SFDA」について

「NFDT」は、東京から未来を担う若手デザイナーを生み出し、世界で活躍できる人材に育てていくことを目的とした、都内在住または在学の学生を対象にしたコンクールで、テーマが自由の「フリー部門」と障害のある方の着用を前提としたデザインを募集する「インクルーシブデザイン部門」に分かれています。

NFDT「インクルーシブデザイン部門」昨年度の東京都知事賞 大賞作品

「SFDA」は、日本の伝統である「着物文化」に着目したコンクールで、「ウエア部門」と「ファッショングッズ部門」に分かれています。

SFDA「ファッショングッズ部門」昨年度の東京都知事賞 大賞作品

今年度「NFDT/SFDA 2026」はすでにエントリーを終えて、一次審査通過者が決まっているとのこと。総数約2,000件の応募があり、その中から「NFDT」の「フリー部門」が15組、「インクルーシブデザイン部門」が14組(1組辞退)。「SFDA」の「ウエア部門」が15組、「ファッショングッズ部門」が15組、合わせて59組が選ばれました。

応募数が2,000件、東京だけだと考えると、それだけ注目度の高さがうかがえます。
作品はどれも個性あふれる優美なものだったそうですから、レベルも年々上がっているようです。

と、概要はこのような感じですが、このコンクールの最大の特徴は、何といっても、世界で活躍できる人材の「育成面」を追求していることにあります。表彰して終わりではないところが他にはない価値ではないでしょうか。

例えば、一次審査通過者には世界で活躍するデザイナーや業界のプロのワークショップの実施。また、二次審査通過者には、マーチャンダイザー等による商品化体験に加え、プロモーション体験の機会を用意するなど、将来に向けたビジネス体験の場の提供。さらには、受賞者にはブランディング支援やパリファッションウィークでの作品の発表の支援まで受けられると至れり尽くせり。
ここまで充実したプログラムに、東京都の本気を感じます。

今回は、その中から一次通過者向けのワークショップを覗いてきました。

一次通過者向けのワークショップ

この日の講師は、テキスタイルデザイナーの須藤玲子さん。
テーマは「着物の生地等について学ぶ」でした。

須藤玲子さん

須藤さんは、株式会社布のデザインディレクターとして、日本の伝統的な染織技術から現代の先端技術までを駆使して新しいテキスタイルづくりをおこなっています。

2008年より良品計画、山形県鶴岡織物工業協同組合、株式会社アズ他のテキスタイルデザインアドバイスを手がけ、2016年からは株式会社良品計画のアドバイザリーボードも務めています。その作品の中には、ニューヨーク近代美術館やロサンゼルス州立美術館、ビクトリア&アルバート博物館に永久保存されているものもあります。また、今年度「SFDA 2026」の特別アドバイザーでもあります。

須藤さんは講演の冒頭で、「着物は、着物そのものが持っている機能だけでなく、着物文化を通していろいろな仕組みが出来上がっています。実はその仕組みがすごく素晴らしい」と話されていました。

そのひとつとしてあげられていたのが、日本の着物はほどくと1枚の布(反物)になるということ。
日本では昔から着古して汚れたり色褪せたりした着物は、一度ほどいて反物の状態に戻して水洗いや糊付けを行っていました。こうすることによって、生地が蘇り風合いも取り戻せるだけでなく、寸法やイメージを変える仕立て直しができるようになります。これは「洗い張り」といわれています。
他にも、「かけつぎ(かけはぎ)」という修復技法や「黄変直し」といった染め直しの技法もあって…それこそ孫の代まで、本当に着物を大事に使っていたことがわかります。
この仕組みと文化。まさに今でいうサスティナブル(持続可能)ですよね!

ちなみに、こうしたことを行う人たちを「悉皆屋(しっかいや)」といって、いまでもしっかり残っているそうです。

講演では、ほかにも日本ならではテキスタイル技術について実例をもとにいくつか紹介されていました。そのどれもが温故知新で、新たな生地の魅力と可能性を感じさせられました。

そして、須藤さんの「布」に対しての強い思いを感じました。

須藤さんは最後に、「私たちはものが余っている時代に生きてきました。簡単にものが買える、そういう時代にいるからこそ、『着物文化』が培ってきた中にいろいろな教えや学びがあるんです。そのことをもう一度、みなさんの新しい目で見直してもらったら、きっとものすごく面白いものができると思っています。ぜひ、いろんなことにチャレンジしてみてください。期待しています!」という言葉で講演をしめくくりました。

ワークショップの参加者の声


「布も生き物なので、服をこれからも大事にしようと思います」

「日本人の技術がすごいというのは聞いたことがありましたが、具体的にはいまひとつわかっていませんでした。それがわかってよかった」

「着物って伝統的なものというイメージだったのですが、MUJIとかのコラボの話を聞いて、現代の日常生活にも溶け込むものなんだなと思った」

「職人さんの技術がすごいと思うところがたくさんあった。ただ、一方でCGとかの技術も進んでいるので、それらとの共存も必要。これからはそうなっていくのだろうと思いました」

「実際に生地を触れてみて、デザインに使ってみたいものがありました」

「地元の生地(久留米がすり)の話が出て刺激を受けました」

「プロの方の話を聞くことは少ないので刺激になりました」


といった言葉が聞かれました。

今回、イベントを覗いてみて

直接聞くことはできませんでしたが、障害の有無に関わらずファッションを楽しむ「インクルーシブファッション」。そして、日本が誇る素晴らしいコンテンツである「着物」。これらに着目した点に、日本を代表する都市「東京」としての意義を感じました。
そして、何よりも、真剣な眼差しで講演を聞いている一次審査通過者の中から世界へ発信されていくデザインが生まれるかもしれないと思うと、想像するだけでワクワクしてきました。

取材・文:加藤佳悟
編集:マイナビ学生の窓口編集部
取材協力:Sustainable Fashion Design Award https://sfda.metro.tokyo.lg.jp/

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