アフリカ×国際協力で未来を創る! 世界とつながりながら働くJICA職員を直撃

年齢中央値19.2歳と、未来への可能性を感じさせるアフリカ。実は日本とも関係が深く、約60年にわたって「共創」を進めてきました。そんなアフリカでは人々はどのように暮らしているのでしょうか。また、現地で国際協力に取り組む日本人の若者は、何を感じているのでしょう。あなたのキャリアや日本の未来にもつながる情報をご紹介します。
若い力や多様な文化が集うエネルギッシュな地域。アフリカってこんなところ
アフリカ地域は若者の人口が多く、2024年の年齢中央値は19.2歳。推定人口は15億人で、すでに世界の18.4%を占めています。

2050年頃には世界人口の約4人に1人がアフリカ人になるとの想定も。

また、2023年の総GDPは3兆355億ドルで、世界的に見ても注目に値する規模です。アフリカは若さと可能性に満ちあふれた地域だといえるでしょう。




撮影地:マラウイ 写真提供:久野真一/JICA

撮影地:マラウイ 写真提供:今村健志朗/JICA
街中では伝統衣装はもちろん、スーツに身を包んだ人の姿も。

撮影地:エチオピア 写真提供:久野武志/JICA
ダンスやサッカー、音楽、ストリートアートなどを楽しむ人々もおり、活気に満ちています。

撮影地:ガーナ 写真提供:久野武志/JICA

撮影地:エチオピア 写真提供:久野武志/JICA
市場やカフェも多数。日没後にマーケットが開かれる場所もあり、国籍や性別、年齢問わず多くの人々で賑わっています。
アフリカ地域は大きく5つに分けられ、それぞれに多彩な言語や文化が。詳細は以下の地図をご覧ください。
アフリカの「今」を知る
アフリカは「遠い場所」ではなく、今やグローバルカルチャーの発信地。特に音楽とファッションの分野では、若者文化を牽引する存在になっています。
♪音楽でつながるアフリカの若者たち
カメルーン発の音楽が西アフリカ全域で人気
伝統音楽「ビクシ」や「マコッサ」をベースに、ヒップホップやR&Bと融合したサウンドが若者の間で流行。ラッパーFRANKOの「Coller la petite」は2015年の大ヒット曲となり、性的な表現をめぐって一部地域で放送禁止になるほどの話題性を持ちました。
コートジボワールの「クープ・デカレ」
アビジャン発のダンスミュージックで、打ち込みと生演奏が融合した独特のリズムが特徴。DJ Arafatなどのスターが登場し、フランスやベルギー、さらにはガーナやナイジェリアにも広がっています。
世界が注目するアフリカン・ファッション
ファッション業界がアフリカに注目
グッチやディオールなどのハイブランドが、アフリカの伝統布やデザインを取り入れたコレクションを発表。アフリカンプリントやケンテ布が世界のランウェイを彩っています。
若者が主役のファッション革命
ナイジェリアや南アフリカでは、SNSを活用した若手デザイナーが台頭。「自分らしさ」を表現する手段として、ファッションが重要な役割を果たしています。
日本とアフリカの「共創」。
TICADとJICAの活動を振り返る

日本がアフリカで本格的に国際協力を始めたのは約60年前。JICAが1979年にガーナで野口記念医学研究所を建設し、感染症対策を後押ししました。その後も行政と市民が連携して学校を運営する「みんなの学校」、米の生産量倍増をめざす「CARD」、国境を越えた貿易を円滑にするための「ワン・ストップ・ボーダー・ ポスト(OSBP)」、JICA海外協力隊の派遣、日本の高専生にアフリカの社会課題への理解を促す「高専オープンイノベーションチャレンジ」など、国内外でさまざまな活動に取り組んでいます。現在はアフリカ地域に23事務所8支所を構えているJICA。現地スタッフとJICA職員が協力して共創を進めています。
また、1993年には「Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)」、略称「TICAD」がスタート。日本政府が主導し、日本とアフリカ、そして国際社会の指導者が集い、アフリカでの共創のあり方を議論する国際フォーラムです。2013年以降は3年おきに開催されており、2025年は横浜にて9回目のTICADが開かれます。
「何ができるかを問い続けられる地」
若手JICA職員に聞くアフリカの魅力
実際にアフリカで働くJICA職員は、どのような日々を送っているのでしょうか。チュニジアで働いている若手JICA職員にお話を伺いました。
プロフィール
吉田 将さん
立命館大学文学部卒。2020年4月にJICAに入構。人事部開発業力人材室、ガバナンス・平和構築部STI・DX室を経て、2024年7月よりJICAチュニジア事務所で勤務。
「痛い目に遭ったからこそ、国際協力を志すようになった」
大学時代はサッカー部の活動に打ち込んでいたという吉田さん。国際協力に興味を持ったきっかけは、就活前に訪れたミャンマーでの体験でした。ミャンマーを選んだ理由は、「アジア最後のフロンティア」と呼ばれていた地だったから。実際に足を運んでみると、経済的に大きな発展を遂げている都市部の勢いを感じた一方、地方では最低限の教育や保健にアクセスできない子どもたちもいる状況に衝撃を受けたといいます。
「ヤンゴンでの最終日、15歳くらいの子どもたちにだまされてお金を盗られたんです。最初は怒りを感じていましたが、お金が無い為1時間かけて、歩いてホテルまで帰るなかで、罪を犯すことでしか生きていけない子どもたちがいるという現実を認識し、徐々に怒りの感情が社会への疑問に変わりました。この経験があったからこそ、世界で起きている社会課題への関心が高まり、自分は何かできるのかと真剣に考え始め、将来は海外と関わる仕事をしたい、となんとなく思っていた進路が、国際協力をしたい、と明確な思いに変わりました。」
そして吉田さんはJICAへの入構を志すように。活動地域や分野が多岐にわたることや、日本の国際協力を一元的に担っている組織であることが志望理由でした。
「面接では、『デジタル×国際協力』に関心があると話しました。都市の発展と地方の貧困といったギャップを解消するために、デジタル技術の活用は必須であると考えたからです。」
2020年の入構から約4年間は日本を拠点に働いていた吉田さん。2024年、チュニジア事務所での勤務が決まりました。

チュニジアの水道公社に供与機材の贈呈を行った際の写真
「正直まったく予想していなかった異動だったので、最初は驚きました。ただ、アフリカでの勤務は以前から希望していたので嬉しかったです。アフリカはいずれ人口が世界一になると予想されています。そんな将来性のある地域で何ができるか、現地に求められている国際協力を問い続けたいと思いました。」
JICAの代表的な国際協力の手法は、円借款や技術協力。しかし近年では、開発途上国への民間企業の参画も増える中、JICAに求められている国際協力の形も変わってきているといいます。
「チュニジアでは、デジタル技術の活用はもちろん、JICAが挑戦している『新しい国際協力』にも携われるとの期待があります。新しい国際協力の形を模索しています。」
ランチタイムも大切。チュニジア事務所での過ごし方
2024年7月に赴任したチュニジア。気温40度超えの日も珍しくなく、最初はあまりの暑さに衝撃を受けたそうです。
「私はまだ体験していませんが50度に達する日もあるそうで、今年の夏はどうなるのかハラハラしています。」
チュニジア事務所では総務と経理を中心に、事務所運営を担当している吉田さん。現地のチュニジア人スタッフとともに働いており、ときには文化の違いにおもしろさを感じることもあります。
「チュニジアはイスラム教の信者が99%ほどいる国で、勤務時間中にお祈りをする、ラマダン(断食)時期は8:00~14:00までしか働かない、などの習慣が根付いています。仕事中も、たとえば期限付きの仕事をお願いすると、『インシャアッラー(神が望めば)』と返ってきます。全力尽くすけど何があるか分からない、といったニュアンスなのですが、日本ではあまり見られないやりとりですよね。彼らの価値観をリスペクトしながら、一緒に働いています。」

午前中はメールチェックやチームでのミーティング。午後は銀行での送金作業、人材派遣会社との打ち合わせ、外回りなどをする日が多いといいます。また、現地スタッフとのランチタイムも吉田さんにとっては大切な時間。クスクスやシーフードなど、チュニジア料理を食べながらコミュニケーションをとっています。
「現地のスタッフとご飯を食べたり、文化を知ったりするのはとても重要だと思っています。なかには26年間チュニジア事務所に勤めている現地スタッフもいて、勉強になることが多いです。」
定時は16:30。仕事を終えたあとは買い物やジムでの運動などをするそうです。週に2回ほど、チュニジアで広く使われているフランス語のレッスンにも通っています。
「チュニジア勤務が決まってからフランス語を勉強し始めたので、現地でもレッスンを受けています。JICAでは海外勤務が決まってから、英語以外の言語を覚える人も多いです。」

チュニジア北東部の地中海&城塞

エルジェムにあるコロッセオ
休日は地元の人とサッカーをする日もあれば、観光を楽しむ日もあるといいます。チュニジアは観光が主要産業であるため、ビーチ、サハラ砂漠、遺跡など、見どころは満載です。

サハラ砂漠
「とくに気に入っているのはサハラ砂漠です。景色も広大ですし、ラクダに2時間ほど乗って周遊するだけでもおもしろい。その一方で、毎日ラクダを引いて観光客を案内して生計を立てる人がいるのだと、チュニジアならではの暮らしに触れられます。現地の方々の生活を知るのはとても楽しいです。」
「どう関われば世界のためになるのだろう」深まる国際協力への問い
チュニジア勤務を始めて約1年が経過。現地での生活を通じて、より家族の大切さや、コミュニケーションの大切さを実感するようになりました。
「人生がいちばん大事で、仕事はその一部。みなさんが共通の価値観を持っています。とくに家族と過ごす時間を大切にしている印象を受けました。タイパやコスパではなく、ただ家族とゆっくり過ごす時間を楽しむ。そういう生き方もいいなあ、と思いました。 また、チュニジアでは組織内外の人と仕事をするうえで、コミュニケーションの質、量ともにとても大切です。文化や宗教が異なる相手とお互いの第二言語(チュニジア人の第一言語はアラビア語)でやり取りをすると誤解が生じることもあるためです。」
新しい価値観に触れた吉田さんは、「より良い世界のために、どのように国際協力と向き合えばよいか」と、思いを巡らせるように。国際協力で求められる内容は不変ではなく、社会とともに変わっていくのではないかと思うようになりました。
吉田さんは現在、自ら希望して現地企業調査にも参加しています。JICAは民間企業への投融資も行っており、たとえば隣国でアルジェリアの民間企業などの調整も行っています。
「調査をしていると、現地企業から技術力の高い日本企業との協働を期待する声を多く聞くことができます。とくに現在調査をしているのは、アルジェリアのエネルギー分野です。アルジェリアはGDPにおいてアフリカの中で大きな割合を占めており、日本企業からも注目されています。一方チュニジアは観光業を中心に栄えており、近年ではスタートアップ企業も育ってきています。デジタルなどの新しい分野で産業を興したいという意図を感じます。」
JICAは、これまで「未来のために取り組むべき社会課題」を浮き彫りにし、金銭的な利益に直結するかは分からないが、社会にとって意義のある事は何かを問い続け、行動に移してきました。アフリカでの国際協力も、日本や世界の未来につながる活動のひとつだと、吉田さんは語りました。
「アフリカと日本は遠く離れてはいますが、気候変動や感染症対策など、世界共通で向き合う必要がある社会課題も多くあります。また、アフリカへの日本企業の進出も増えていますし、アフリカからの輸入で日本が恩恵を受けていることも多々あります。ですからアフリカとのつながりは日本人にとっても大切ですし、その礎を築くためにこれからも国際協力の仕事に向き合っていきたいです」
最後に改めて、吉田さんが感じた「国際協力の魅力」を伺いました。
「国際協力を通してさまざまな文化に出会えるのはとても楽しいですし、人生が豊かになります。また、環境問題、格差問題など、世界で起こっている社会課題に対して、真正面から向き合い、解決するために行動を起こせることに魅力を感じています。大学生のみなさんも世界を見て、新たな出会いや気づきを得てほしいです。国際協力に限らず、自分の価値観を広げることで、やりたいことが見つかればいいなと思います。」
「そして今年2025年8月20日〜22日には、横浜で第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が開催されます。JICAによるものを含め、さまざまなイベントが予定されており、アフリカとのつながりを身近に感じられる絶好の機会です。ぜひこの機会に、アフリカや国際協力に関心を持つきっかけにしていただけたら嬉しいです。」
国際協力を仕事に。
自分と世界の未来を切り拓く
吉田さんのほかにも、アフリカでは日本の技術や人材が随所で活躍しています。現地の社会課題に向き合いながら、自分自身の成長も促せる地域だといえるでしょう。アフリカでの国際協力は、両国の未来を創る取組でもあるのです。

撮影地:タンザニア 写真提供:久野武志/JICA
国際協力に以前から関心がある人はもちろん、最近興味を持った人も、世界を舞台に働けるチャンスがあります。JICA職員やJICA海外協力隊、NGOやその他国際機関なども視野に入れ、就職活動を進めてみてはいかがでしょうか。
























