【コクヨ】大学では建築デザインを専攻!「人と関わりながら作る」空間設計の仕事とは? #お仕事図鑑
ヒット商品やサービスを手掛ける企業のキーマンにお話しを伺う企画「#お仕事図鑑」。
今回は「コクヨ株式会社」でデザイナーとして新オフィス立ち上げのプロジェクトで空間設計に携わった先輩社会人、田上綾乃さんにインタビュー。仕事のモチベーション維持の方法やコクヨの社風、今後の目標について詳しくお話を伺いました!!
PROFILE

田上 綾乃
オフィスを中心に、空間の設計を行う。家具のレイアウトから、壁や天井、床の設計、デザイン、サインやグラフィックなど、仕事内容は多岐に渡る。
▼新オフィスの空間設計に携わる
――簡単に自己紹介をお願いします。
現在、入社5年目の田上綾乃です。空間設計チームに所属し、オフィスの内装設計をメインに担当しています。大学では建築デザインを専攻しており、その経験を活かして現在の仕事に取り組んでいます。
――現在の仕事内容について教えてください。
わたしの主な業務は空間設計で、担当するプロジェクトの約8〜9割がオフィス関連です。具体的には、図面を作成し、お客様にデザインの提案を行うことが中心です。また、内装設計として、床・壁・天井のデザイン、家具の選定やレイアウトの調整など、多岐にわたる業務を担当しています。
――1日のスケジュールについて教えてください。
案件によって異なりますが、基本的な流れとしては、まずメールチェックから始まります。その後、日中はお客様のもとで打ち合わせを行ったり、プレゼンテーションの準備をしたりします。また、社内で図面を作成する作業も多く、プロジェクトの進行状況に応じて柔軟に対応しています。
――デザイナーになりたいと思ったきっかけを教えてください。
もともとアートやデザインに興味があり、大学も芸術系の専攻があるところを選びました。デザインにはさまざまな分野がありますが、わたしは「人と関わりながら作る」という点に魅力を感じ、空間設計の仕事を選びました。
わたしの学部にはプロダクトデザインやウェブデザインを学ぶ学生も多く、幅広い分野のデザインに興味を持つ人がいたので、いろいろな視点からデザインについて学ぶ機会があり、とても刺激的な環境でした。
――オフィス空間デザインの新プロジェクトに携わったとのことですが、プロジェクトに参加された経緯を教えてください。
当社では過去にも何度か自社オフィスの改修プロジェクトが行われており、社内でも注目度の高いプロジェクトとなっています。
もともとわたし自身も「ぜひ参加したい」と思っていましたし、定期的に「どんな案件を担当したいか」というヒアリングの場があるので、そこで希望を伝えてきていました。今回は、わたしのスケジュールとプロジェクトのタイミングがちょうど合いましたので、参加の機会をいただくことができました。
――新オフィスのプロジェクトはどのようなものなのでしょうか?
今回のプロジェクトは、品川にある当社のオフィス「THE CAMPUS」の拡張に伴い、隣の日新ビルに新たなオフィスを構築するというものです。
この新オフィスのテーマは「学びの場」。通常の研修にとどまらず、社員が自主的に学ぶことができる空間として設計しました。新オフィスは、2階建ての構造になっており、多様な学びのスタイルに対応できる環境を整えています。
――社員の方々は自主的に学ぶ意欲が高いのでしょうか?
社内では勉強会を開くことで、自分にとって必要な投資に使えるマイルが付与される制度もありますし、プライベートでさまざまな活動をされている方も多いです。その知識を社内で共有できる場を提供することで、学びの文化がより広がることを期待しています。
▼「信頼を積み重ねること」が最も大事
――新オフィスの設計では、自社完結ではなく他の企業と連携しながら進めたとのことですが、協業する中で心がけたことはありますか?
デザイナー同士の会話を大切にし、アイデアを広げる際にはメンバー内で分担を意識しました。またメンバー内で情報収集やアイデア出しを行い、客観的にデザインを検討することで、新しい発想が生まれやすくなりました。
今回の経験を経て、自分の考えにとらわれず、柔軟にアイデアを受け入れる姿勢が大事だと感じています。
――今回の新オフィスをデザインする中で、特に苦労した点はありますか?
今回に限らずですが、空間設計は考慮すべきことが多いです。空調や照明などの設備の調整、防災関連の法律の確認、関係者との調整など、さまざまな視点からの検討が求められます。
また、複数のデザイナーや関係者と連携しながら進めるため、役割分担やコミュニケーションの工夫も必要でした。その分、制約を活かしながらデザインを発展させていく面白さもありましたね。
――若手のうちから責任のある仕事を任せてもらうために、工夫していることはありますか?
「信頼を積み重ねること」が最も大事だと考えています。入社当初は誰もができないことが多いのは当然なので、わからない部分をどう質問するかが大切です。未知のことでも、自分なりに調べて想像し、論理的に考える姿勢を持つことが、柔軟な対応力につながると思います。
――新しい環境で分からないことを聞くのは勇気がいると思いますが、最初の一歩を踏み出すための工夫はありますか?
問題や事故が起こるよりは、なんでも早めに聞いたほうがいいと思っています。メールやチャットなどのツールを活用すれば、忙しい先輩にも質問しやすくなりますし、質問のタイミングが難しい場合は、定期的にお話しができる時間を設けてもらうなどの工夫をすることで、聞きやすい環境を作ることができます。
――過去に、分からないことをそのままにして失敗した経験はありますか?
ありますね(笑)。細かいことが多いので、具体的には挙げにくいのですが、図面の細かい部分を理解せずに進めてしまった結果、設計がうまく収まらなかったこともあります。些細なことでも放置せずに確認することが大事だと学びました。
――仕事をやり切ることが大切とのことですが、途中でモチベーションが下がったときはどう乗り越えましたか?
わたしは、一度に多くのタスクが重なるとパンクしやすいので、やるべきことをリスト化して、とにかく機械的にこなす方法が自分には合っていると思います。そうすることで、モチベーションに左右されずに作業を進められるのがポイントです。
また、「どうせやるなら楽しもう」と思って、工夫を取り入れることもあります。例えば、予算があまりない案件でも、自分が得意なグラフィックデザインの要素を盛り込んでみたり、自分が楽しめるポイントを見つけることで、前向きに取り組めるようになります。あとは、気分転換に音楽を聴いたりもしますね。
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▼自分でやりたいことを発信し、挑戦できる環境
――コクヨで働いている方はどのような方が多いのでしょうか?
当社は大きな会社なので、部門によって雰囲気は異なりますが、全体的に真面目な方が多い印象です。質問すればきちんと答えてくれる方ばかりなので、働きやすい環境だと思いますし、自分から積極的に関わろうと思えば、他の事業部とも十分に交流できる環境です。
――田上さんが感じるコクヨの魅力について教えてください。
当社は、文具やオフィス家具、空間デザインが主な事業ですが、「やりたいことがあれば挑戦できる環境」が整っているのが魅力です。自分でやりたいことを発信し、行動を起こせる方であれば、分野を超えて色々なことに挑戦できます。
――現在デザイナーとして活躍されていますが、他に考えていた職業はありましたか?
基本的にはデザイン関係の仕事を考えていました。建築系の仕事も視野にはありましたが、建築は規模が大きく、プロジェクトの単位も大きくなりますよね。
一方で、空間デザインはよりヒューマンスケールに近く、人が直接触れる部分に関わることができます。グラフィックデザインなど、より小さなデザイン要素にも携わりたいという思いがあったので、空間設計の方が自分には合っていると感じました。
――コクヨでデザイナーとして働いている方は、もともと専門的な知識がある方が多いのでしょうか?
基本的には建築系や美術大学出身の方が多いですが、必ずしもそうではありません。建築設計とは異なり、資格が必須というわけではないので、グラフィックデザインを学んでいた方などもいます。入社後に学びながら成長することも十分可能です。
――1〜2年目で特に苦労したことはありますか?
わたしは「コロナ入社」だったので、在宅勤務やフレックス制度の影響で、すぐに質問できる環境が整っていなかったことが大変でした。聞きたいことがあっても、相手がどこにいるのかわからず、直接話せないことも多かったですね。また現場に行く機会が少なかったので、実際の空間を見ながら設計を進めることも難しかったです。
ただ、チャットや電話を活用することで、徐々に対応できるようになりました。とはいえ、最初のうちは誰に何を聞けばいいのかがわからず、関係者の把握に苦労しました。
――実際に現場を見られないことで、苦労したことはありましたか?
例えば、壁の構造や天井の内部がどうなっているかなど、図面だけでは把握しづらい部分があります。現場で実際に見ることで、「ここはこうなっていたな」と想像しながら図面を描けるようになるので、やはり最初のうちに現場を見ておくのは大事だと感じます。
――普段からデザインのインプットのために行っていることはありますか?
気になるデザインを見に行ったり、建築を見学したりすることが多いです。また、わたしが主催して、グループのメンバーと一緒に展覧会に行くイベントなども企画しています。
――コクヨのフレックス制や福利厚生について、魅力に感じる点はありますか?
コアタイムがなく、働く場所も比較的自由に選べるので、裁量の大きさを感じます。もちろん現場に行く必要がある場合もありますが、基本的には自分のスタイルに合わせて働ける環境です。また、有給休暇も事前に相談すれば取りやすいので、休みやすい環境だと思います。
――今回のプロジェクトで得た学びを活かして、今後挑戦してみたいことはありますか?
今回、外部のパートナーやアーティストとのコラボレーションを経験できたので、今後も色々な方々と協力しながら、オフィスに面白い要素を取り入れていきたいと思っています。
――最後に大学生に向けたメッセージをいただけますか?
就職活動は大変ですが、自分のやりたいことと向き合える貴重な機会です。進んだ先で新たな道が見つかることもあるので、さまざまな人に会い、多くの場所を訪れ、新しいスタートを切るための糧にしていただけたらと思います。
取材:柴澤 実歩(ガクラボメンバー)
執筆:田中 妃音(ガクラボメンバー)
編集:学生の窓口編集部
取材協力:コクヨ