【花粉症がつらい!】知っておきたい!「アレルギー検査」で何が分かるの? #もやもや解決ゼミ
日常に潜む「お悩み・ギモン」=「もやもや」を学術的に解決するもやもや解決ゼミ。
今回のギモンは「アレルギー検査で何が分かりますか?」です。
春先から花粉が飛ぶシーズンになると花粉症に悩む人も多いですが、症状が本当にスギ花粉によるものなのかどうかは、検査してみないと確実ではありません。アレルギー症状に悩まされる人は増加傾向にあって、自分がどんな物質(アレルゲン)に症状を起こすのか知っておくことは大事です。
そこで今回は、アレルギー検査について『MYメディカルクリニック』の笹倉渉医師に回答いだだきました。

スギ花粉や卵、ハウスダストなど、なんらかの物質にアレルギーを持つ人は右肩上がりで増加しており、最も有名なのは「花粉症」でしょう。
アレルギー検査というのは、アレルギーの原因物質「アレルゲン」に反応する「IgE」の量を調べるものです。特定の物質に反応してIgEの量が多ければ、その物質に対するアレルギー反応を生じる可能性が高いと判断できます。
アレルギー検査は現在では「血液検査」だけで、その人がどんなアレルゲンに反応するのかを簡単に調べることができるようになっています。
例えば、最もポピュラーな検査は検査会社が提供している以下のようなものです。39種類のアレルゲンについて調べることができます。
●例「View アレルギー 39」
・吸入系抗原
ヤケヒョウヒダニ
ハウスダスト1
ネコ皮屑
イヌ皮屑
ゴキブリ
ガ
すぎ
ヒノキ
はんのき(属)
しらかんば(属)
かもがや
おおあわがえり
ぶたくさ
よもぎ
アルテルナリア
アスペルギルス
カンジダ
マセラチラ(属)
ラテックス
・食餌系抗原
卵白
オブムコイド
ミルク
小麦
大豆
そば
ピーナッツ
米
ごま
エビ
カニ
キウイ
リンゴ
バナナ
鶏肉
牛肉
まぐろ
さけ
サバ
バナナやキウイがあったりして大学生読者の皆さんも驚くかもしれませんが、実は食べ物にアレルギーが見つかるのは珍しくありません。
注意していただきたいのは、IgEの量が多くても、必ずしもアレルギー症状が出るとは限らないことです。ネコ皮屑に対するIgEの量が多くても、実際にネコを触っても症状が出ないという人はいらっしゃいます。
ただ、IgEの量が多いということは、体がその物質を「異物」と認識していて、その物質が侵入すると体に負荷がかかることを意味しています。また、現在はひどいアレルギー症状が出なくても、将来的にも大丈夫だとは限りません。
現在では、血液検査で多くのアレルゲンを調べることができますが、血液検査では金属アレルギーについては調べられません。
もし自分がどんな金属にアレルギー反応を起こすのかを知りたい場合には、皮膚科に行ってパッチテストを行う必要があります。
パッチテストというのは、アレルギー反応の原因と疑われるアレルゲンを背中もしくは上腕に貼付して反応を見るテストのことです。
実際にじんましんなどのアレルギー反応が出る前に、大学生の皆さんも一度アレルギー検査を行っておくといいかもしれません。
血液検査を行うときに、「アレルギー検査」についても実施するよう依頼すればいいでしょう。保険が効きますので、アレルギー検査を行っても費用負担は5,000円ぐらいで済みます。

◇けつろん!
現在では血液検査で簡単に自分のアレルゲンが何なのかを簡単に調べることができます。検査してみると、意外な物質がアレルゲンだと分かって驚くこともあります。筆者の友人にも、子供の頃からネコと一緒に暮らしてきたのに、ネコ皮屑がアレルゲンだったことが分かった――という人がいます。
大学生読者の皆さんも一度アレルギー検査を受けてみるといいでしょう。
◇答えてくれた先生
笹倉渉
Profile
医師。『株式会社海医』代表取締役。現在複数の企業の産業医、医療法人顧問を務める。
2006年藤田保健衛生大学医学部卒業。『公立昭和病院』で初期臨床研修修了後、『東京慈恵会医科大学附属病院』で麻酔・救急医療に従事。「健康を支える手立ては第一次医療である健康管理にあるのではないか」と考え、2016年開院した渋谷『MYメディカルクリニック』院長に就任。大手町、横浜みなとみらい、田町三田、新宿、せんげん台と働く人が多い街に医院を展開。現在は経営から退き、再び現場で「医療現場と一般社会の常識の齟齬をなくす活動」に従事している。
https://mymc.jp/outpatientconsultation/allergy/
文:高橋モータース@dcp
編集:学生の窓口編集部
※この記事は、以前掲載された連載「#もやもや解決ゼミ」の中から人気記事を再編集して掲載しています。