家や学校での“日常のストレス”を放置するのは要注意!重なるとトラウマの原因に?『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』#Z世代pickブック

こんにちは! Z世代ブックピッカーのひっき(出版甲子園実行委員会所属)です。
誰しもが感じたことがある「ストレス」は身近なものですが、実は家でも学校・会社でも油断できないリスクもあるようです。
今回は前の記事に引き続き「ストレスの原因」について、公認心理師・みき いちたろう氏の著書『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)よりお届けします。
日常生活における持続的なストレスはトラウマの原因となり得る
日常に目を移してみると、実は想像以上に脆弱性の変数(要素、要因)を満たす場面が多いということに気がつきます。例えば、会社や学校などで起こるいじめやハラスメントは、ストレスを受けても感情表出や発散が制限されます。
気まぐれに襲う嫌がらせなどから予測可能性、コントロール可能性を奪われます。相手の顔色をうかがうことなどは、理不尽に対して予測可能性を回復させようとする必死の工夫です。ハラスメントが激しくなり、逃げ場やソーシャルサポートも失われると、自ら命を絶つということも生じます。
「日常のストレスなど大したことない」というバイアス
私も含めて人間は自分がとても弱いにもかかわらずそのことを忘れ、自己の努力や忍耐を過大評価し、他者の痛みや困難を些細なものと過小評価してしまう傾向があるようです。
ストレス学の権威であるアメリカの心理学者リチャード S.ラザルス(Richard S.Lazarus)は以下のように指摘しています。「重大なライフイベントだけでストレスを定義づけてしまうやり方は、ストレス対処の方法を解明するうえで適切なストラテジー(方略)ではない」「日常的混乱とは、モラール、社会的機能、そして健康をも害するような、外見的にはささいにみえても、ときに非常にわずらわしさを感じさせる、日常のいらだちのことを言う。そして、驚くべきことに我々は、この日常的混乱のほうが重大なライフイベントよりも、健康障害にとって重要な要因であることを見いだしたのである」(『ストレスと情動の心理学─ナラティブ研究の視点から』実務教育出版)。
「日常のストレスなど大したことない」というのは、私たちが持つ強いバイアスの一つです。
家の中は安全?
そして、関連するバイアスとして「家の中は安全」というものもあります。家の中は決して安全な場とはいえません。まだ街中のほうが公的環境としての規範意識が働き、他者の目が光っています、トラブルがあれば警察なども介入できます。
しかし、核家族化が進んだ現代の家庭は社会から目隠しされています。様々なしがらみから理不尽さがまかりとおり、しかも、法律に触れなければ社会の介入も容易ではありません。
家庭とは、機能すれば私たちを守る安全基地となりますが、機能不全に陥るとたちまち脆弱性の変数を満たすトラウマティックな環境になり得るのです。特に生殺与奪の権を親が握っている子どもにとっての影響は甚大です。
学校や会社におけるトラウマのリスク
学校や会社も同様です。例えば、日本では2020年度でわかっているだけで、小中高校からの報告では415人が自殺しています(文部科学省「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。自殺に至らずにトラウマを負う人の数は当然ながら何倍にもなると考えられます。
会社でのパワハラ、モラハラの被害はどうでしょうか? 厚生労働省の調べでは、各都道府県に寄せられる職場でのいじめや嫌がらせの相談件数は年々増加しており、2021年度で86,034件にものぼります(厚生労働省「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」)。被害者にとっては存在を危機にさらされる、まさに地獄の苦しみです。
このように見ると日常の持続的なストレスも、トラウマの原因として見逃すことはできません。戦争や災害や犯罪のストレスによって起こるPTSDも認められるまでに長い年月が必要でしたが、これからは日常生活で被るストレスもトラウマとなり得ると広く認知される必要があるようです。
Z世代ブックピッカーのレビューコメント
日常生活の中、さらには家の中でもトラウマの原因となるストレスを感じることがあるということを改めて実感しました。日常のストレスが重なり、そのストレスに対するコントロールができなくなるという事態が一番危険だと思います。「日常のストレスなど大したことない」というバイアスを改め、トラウマに繋がる要素を増やさない心構えをしておくこたが大事だと思いました。トラウマの原因がどこにでもあるということを認知しておくことで、原因を作らないようにしたいです。
『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』
著者:みき いちたろう 発売:2023年2月17日 定価:1,320円 (税込み)
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
詳細ページ:https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2934-4
書籍レビュー:
読み終わる頃には、今までうまく言語化できなかった不安な感情が何だったのか気付けるようになると思います。「自分を大切にすること」は当たり前にすべきことなのに、意外とできていなかったことに気付かされました。また、人を尊重するためには、その人のことを受け入れることから始めますが、自分の想像の及ばない人に出会ったとき、「何かしらの生きづらさを感じているのではないか」と想像を働かせ、受け入れ、尊重できるようになれたら良いなと思いました。



























