川井田夏海・津田健次郎「いろんな考えや景色があることを知るために、とにかく見分、視野を広めていく」#学生の君に伝えたい3つのこと

編集部:あこ

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人生の先輩である著名人の方々から、まだまだ自由に使える時間が多い大学生のみなさんに、“学生のうちにやっておいたほうがいい3つのこと”をアドバイスしてもらおうという連載「学生の君に伝えたい3つのこと」。

今回は10月20日公開の映画『北極百貨店のコンシェルジュさん』に出演された、川井田夏海さんと津田健次郎さんが登場。今のお仕事にも繋がるおふたりが経験されたことから、学生へのアドバイスをくれました。

▼白濱亜嵐さん、小森隼さん、高橋文哉さん、もーりーしゅーとさんが登場!
学生の君に伝えたい3つのこと

川井田夏海、津田健次郎が<学生の君に伝えたい3つのこと>

1.いろんな考えや景色があることを知るために、とにかく見分、視野を広めていく

――学生のうちにやっておいたほうがいいと思うことを教えてください。

津田:いくつかあるんですけど、ひとつは自分が興味を持てること、もしくは興味がある仕事に関してとにかく食いついて体験して、一定期間でもいいんで全力投球してみる。それを片っ端からやってみるのはすごくいい気がします。僕の場合、職業の選択は随分前に決めていて、ただ自分の表現というものはすごく曖昧なので、舞台から映画から小説から絵画から、とにかく自分の好みは関係なく、アンテナに引っかかったものを浴びるようにインプットしていましたね。それはその後の自分の人生を支える、本当に糧となっています。今もインプットはし続けてはいますけど、もっと心が柔らかくてさまざまなことを知らないことが武器である若い頃にインプットしたものは、自分にとって未だにものすごく大きな影響がありますね。あとはまだ狭い世界しか知らない可能性があるので、世界はものすごく広いんだ、いろんな考えがあっていろんな景色があるということを知るために、とにかく見分、視野を広めていくこと。そうすると自分がどう生きたいかやどういう職業に就きたいか、さらには自分自身を深めていくことや生きる意味を見出すヒントにもなりそうな気がします。

2.自分の興味があることをやってみたらいい

川井田:私はありがたいことに、小さい頃から両親に習い事をいろいろさせてもらっていて、それがこの未来に繋がっていたと思っています。市がやっているミュージカルクラブみたいなところにも行っていましたし、バレエもジャズダンスも習っていて、そのおかげで『アニー』に出られたりして、表現することが楽しいと思えたのは習い事がきっかけだったと思うんです。大学生だったらバイトをして自分のやりたいことを習いに行けるんじゃないかなと思うので、もしできるなら興味あることをやってみたらいいんじゃないかなと思います。

3.文化圏や自然環境が全く違う国に行ってみる

――学生のうちに見て、聞いておいたほうがいいものはありますか?

津田文化圏や自然環境が全く違う国に行ってみるのは超オススメですね。まるで違うと、単純に「世界は広いぜ」と思えるんですよ。頭だけで分かっていてもしょうがないので、体験して感じるのが一番大事かもしれないですね。

――津田さんはどこに行かれたんですか?

津田:僕はエジプトです。一ヶ月くらい、バックパッカーをやっていたんですよ。

川井田:エジプト!?うらやましいです……! 私は舞台をたくさん観るといいと思います。もともとミュージカル俳優になりたいと思って、学校に通うために上京したんですけど、当時は一ヶ月に3本は絶対に観ると決めて、なるべくたくさん観るようにしていました。今も趣味で観劇は続けていて、普通に過ごしていたら体験できないことや見られないことを見せてくれるので刺激をもらいますし、人間力が上がったなという気分になれるんですよね。なので、すごくおすすめです。今はアンダー25チケットとか、若い人にも見てもらおうという売り方をしてくれているので、ぜひ検索してみてほしいです!

くじけずに解決策を見出しながら進んでいくところが秋乃の魅力

――おふたりが出演した『北極百貨店のコンシェルジュさん』についてもお話を伺わせてください。今作について、どういったところに魅力を感じられましたか?

川井田夢から始まって、また人の夢に繋がっていくところがすごく魅力的だなと。映画ならではの展開で魅力かなと思います。

津田:原作・映画含めてとにかくいろんな要素が詰まっていて、(川井田さん演じる)秋乃を通して様々なキャラクターが見落としがちな大切なものを見せてくれる、そういう部分が年齢問わず、国籍問わず伝わっていくいい作品なのではないかと思います。また原作の静止画のよさ、アニメーションとして動いていくよさ、これも別の世界観があって素敵だなと思います。

――川井田さんが演じた秋乃、津田さんが演じたウーリーはどんなキャラクターだと思われましたか?

川井田:秋乃は人のために、お客様のために何かをしたいという部分がとても素晴らしいなと思います。やっぱり人間って何か見返りを求めてしまいがちなところがあって、秋乃もないわけではないんですけど、とにかく「北極百貨店に来てよかったと思ってもらえるような仕事をコンシェルジュとしてしたい!」という気持ちが、すごくまっすぐに行動に現れているんです。うまくいかなくても「もうやめた、私には向いてなかったんだ」と思うんじゃなくて、くじけずに解決策を見出しながら進んでいくところが彼女の魅力かなと思っています。

津田:ウーリーはとてもいろんなことがあった人物で、絶望などを抱えながら、それでも自分の表現、作品に向き合っていて。心を閉じているんですけれども丁寧に丁寧に人と対峙していく、そういう弱さと強さをどっちも抱えた、とても奥深い、優しさに溢れたキャラクターだなと思います。

――終盤で秋乃とウーリーの印象的なシーンがありますが、その収録で印象的なことはありますか?

川井田:人間の秋乃がパタパタパタとフロアを駆け回るのと対照的に、ウーリーさんは体が大きいので、呼吸の仕方からもゆっくり生きている感じがして。それは私がスタジオの端っこで緊張で小さくなってちょこんと座っていた感じと(笑)、津田さんのどっしりと構えられた雰囲気や、多くは語らないけど人に影響を与える言葉をくださるところがすごくリンクして見えました。

津田:僕らのシーンは諸星すみれちゃんと高木渉さんとで収録したんですけども、他のシーンに関しても川井田さんはずっとスタジオにいて、入れ替わり立ち替わりやってくるのがほぼ全員、先輩なんですよね。先輩たちを迎え入れて、おそらくずっと緊張をされていたし、「主人公の私が崩れたらこの作品は崩れるんだ」というプレッシャーも抱えつつ、一生懸命にひとつひとつのシーンを演じていた姿がまさに秋乃そのもので。そういう意味では、この作品は半分ドキュメントだなと思います(笑)。秋乃にしても川井田さんにしても、その純度の高さといいますか、この仕事を一生懸命全うするんだという部分がすごくリンクしていました。

今やるべきことを忠実にやっていこうとしたら緊張は消えている気がする

――おふたりが好きなキャラクターやエピソードを教えてください!

川井田:私、本当にニホンオオカミさんが大好きで、奥さんになる方との関係性もそうですし、秋乃はコンシェルジュですけど、このエピソードではレストラン研修でチームでお客様と接することを学べたんですよね。声優もイチ個人ではあるんですけど、作品を作るという部分ではチームになるので、すごく通じるものを感じてあのお話は好きですね。ニホンオオカミさんが昔飼っていた犬に似ているというのもちょっとあるんですけど(笑)。

津田エルルが最後に飛ぶシーンはこの作品の一番大きなカタルシスの部分になっていると思っていて、オープニングで秋乃に踏まれてお尻を押されて床を滑ったりと、エルルはずっと地べたにいるんですよね。そんな空を飛べないエルルが空を飛ぶという、あの構造にすごくグッとくるものがあって。それぞれがすごく素敵なエピソードで、人間と動物、動物同士の触れ合いの話をずっとしているんですけども、エルルが入ってくることによって「生き物とは何か」「絶滅した種とは何か」「地球とは何か」というところに拡大するんです。そして絶滅した種が訪れるこの北極百貨店は「停止してはならない」というところに、何かを失ってしまった地球がそれでも諦めずに前に進まなくてはならない、同じ過ちを繰り返してはならないという大きなメッセージや、この物語の凄みを感じるといいますか。滅びの運命を辿っているのかもしれない、だからエルルは飛べない。でもその矛盾を超えて「ちょっと飛んでみようじゃないか」みたいな思いも感じるので、好きなシーンです。

――秋乃が新人コンシェルジュとして先輩からアドバイスをもらったり、その背中を見て学んだりという姿も印象的でしたが、川井田さんから先輩の津田さんに聞いてみたいことはありますか?

津田:なんでもどうぞ。

川井田:緊張はされますか?

津田:あんまりしないかもですね。もちろん緊張するシーンはあるんですよ。あるんですけど、以前緊張の原因を探ったことがあって、やっぱり「いい結果を残したい」「よく見せたい」とか、余計なこと考えていることが多い気がして。そういうことはすべて邪念で、それよりもやるべきことがあるので、そういったことを考えていればあまり緊張はしないかもしれないですね。人それぞれだとは思いますけど。

川井田:うらやましいです。私は自分の手の震えで台本が見えなくなるので、そろそろ右手の震えを止めたいです。

津田:震えるのは震えるんですよ、誰でも。でもその震えと戦おうとしないで「緊張してるな」で置いておいて、それよりも今やるべきことをやる。例えば「このシーンのこのキャラクターは今何を思っているのか」と考えて、そこに対して忠実にやっていこうとしたら緊張はきっと消えている気がします。

川井田夏海さん、津田健次郎さんから学生のみなさんに手書きのメッセージ!

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PROFILE

川井田夏海

2月18日生まれ、愛知県出身。主な出演作品に「放課後ていぼう日誌」(帆高夏海役)、「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」(結城あさみ役)、「RPG不動産」(ルフリア役)などがある。今作で劇場アニメーション映画初主演を務める。

PROFILE

津田健次郎

6月11日生まれ、大阪府出身。主な出演作品に「チェンソーマン」(岸辺役)、「呪術廻戦」(七海建人役)、「極主夫道」(龍役)、「ゴールデンカムイ」(尾形百之助役)、などがある。声優だけでなく、俳優、ナレーター、映像監督、作品プロデュースなど幅広く活動している。。

映画『北極百貨店のコンシェルジュさん』
10月20日(金)全国ロードショー

新人コンシェルジュとして秋乃が働き始めた「北極百貨店」は、来店されるお客様が全て動物という不思議な百貨店。一人前のコンシェルジュとなるべく、フロアマネージャーや先輩コンシェルジュに見守られながら日々奮闘する秋乃の前には、あらゆるお悩みを抱えたお客様が現れます。中でも<絶滅種>である“V.I.A”(ベリー・インポータント・アニマル)のお客様は一癖も二癖もある個性派ぞろい。
長年連れ添う妻を喜ばせたいワライフクロウ、父親に贈るプレゼントを探すウミベミンク、恋人へのプロポーズに思い悩むニホンオオカミ・・・
自分のため、誰かのため、様々な理由で「北極百貨店」を訪れるお客様の想いに寄り添うために、秋乃は今日も元気に店内を駆け回ります。
https://hokkyoku-dept.com/


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取材・文/東海林その子
撮影/三橋優美子

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食べることと寝ることが大好き。休みの日は家にこもって、ひたすら映画やドラマを見たり、漫画や雑誌を読むのが幸せ。

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