【八丁味噌からたどる食の持続可能性とは?】なごやをぱくぱく! サステナブルな「食」って何だろう?
曽我ゼミ(チーム名:ぱくツーリズム)の概要
私たちは、ゼミの活動の中でESDやSDGsに関連する書籍や論文を読み、自分の意見を持ち、他者と意見交流をすることで持続可能な社会と教育環境についての知識や考えを深めています。ゼミでは他に、1年を通してひとつのテーマで調査・発表を行うプロジェクト活動があります。私たちはこの1年、「食」をテーマにしたプロジェクト活動を行ってきました。
今回は、私たちの通う名古屋市立大学滝子キャンパスのSDGs調査、岡崎の八丁味噌に関する調査、SDGs IDEA FORUM2022への参加という3つの活動をご紹介します。
トピックス(1) 滝子キャンパスのSDGs調査
滝子キャンパスには、学生が昼食をとることのできる食堂と生協があります。私たちは、普段利用する食堂や生協に、どのような持続不可能性があるのかについて調査しました。
その結果、ハラルやベジタリアン対応のメニューが提供されていないこと、食堂でのごみの分別が徹底されていない日があること、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などで生協における食品の売れ行きが不安定であり、食品ロスの多い日があること、メニューの栄養バランスに偏りがあること、混雑時の列の流れが悪いことなど、学生のキャンパスの持続可能性への意識が、あまり高くない状況であるということが明らかとなりました。
トピックス(2) 岡崎市の八丁味噌に関する調査
私たちは(1)の課題に対し、個別の解決策を考えましたが、それが持続可能性に向けての適切な対応であるかを疑問に感じていました。
そこで、どのような食を提案することがキャンパスの持続可能性を高めることに貢献しうるのかについて検討しました。その中で、食の文化に焦点をあて、学食利用者が食に関心を持ってもらえるようにすることが、まず優先されるべき課題ではないかと考えました。
そうしたときに、名鉄観光との協働で岡崎を調査する機会に恵まれました。調査の中で、愛知県の伝統料理として親しまれている「八丁味噌」に焦点をあて、受け継がれる食文化にどのような特徴があるのかを考察しました。
その結果、地域の特色を生かした自然の力に頼る製法や、人々の誇りとなる食文化として、地域に密着している原材料であるということが明らかとなりました。
この取り組みを、NCUサステナビリティ・ワークショップ2022「食から考える持続可能な都市 名古屋」で発表しました。
トピックス(3) なごやぱく博物館(なごやぱくぱくぶつかん)
(1)(2)の「食」に関するプロジェクト活動を経て、SDGs IDEA FORUM2022でこれまでの活動の成果を発表しよう!ということになりました。
そこで、私たちは「なごやぱく博物館(なごやぱくぱくぶつかん)」という名古屋の食文化を伝える生涯学習施設を提案しました。これは、私たちの普段のゼミ活動での学びに加え、岡崎の八丁味噌から学んだ地域に根付く食文化に隠れた多くの可能性、「食」をテーマとしたシンポジウムで新たに知った名古屋の伝統野菜に関する高校生の取り組みなど、私たちの1年間の学びを存分に生かしたアイデアです。
このアイデアは、「食」という生活に密接したテーマを通して、次の3つの効果が期待できます。それは、
総合的な学びができる生涯学習の拠点となること(ゴール4)
博物館を商店街の中に設置することで、地域の人と観光客をつなげあい、その地域が活性化すること(ゴール11)
教育・産業・行政が協働して持続可能な食の未来を描いていくこと(ゴール17)
です。
結果として、それぞれの商店街の発展や名古屋市の持続可能な観光都市としての発展に貢献することができると考えています。
私たちの思いが詰まったこのアイデアで、私たち「ぱくツーリズム」はSDGs IDEA FORUM2022の最優秀賞を受賞することができました。
今後は、SDGsやESDについて自らの興味分野に引き寄せて学び続けながら、なごやぱく博物館の実現に向けて活動していきます。
ゼミ・団体紹介
ぱくツーリズムとは
私たちぱくツーリズムは、名古屋市立大学人文社会学部心理教育学科曽我ゼミの3年生6人です。ゼミでSDGsやESDを専門的に学ぶ中で、持続可能な社会のための行動変容の大切さを学び、大学構内に限定したその実践の難しさや、さまざまな人・機関との連携の重要性を感じてきました。「ぱくツーリズム」という名前は、食べるときの「ぱくぱく」という擬音と、観光の促進を表す「ツーリズム」を掛け合わせたものです。
メンバー紹介
可児百葉
河内翠
早川実希
平野勇志
松井聡美
山中紗玖良