先週の土曜日、舌を噛んだ。21年間生きてきて、一番噛んだ。六本木のウェンディーズで......|エッセイ企画「#Z世代の目線から」キーワード:夏のある日
エッセイキーワード:夏のある日
エッセイタイトル:『熟成博多明太子パスタにしていたら』/著者:カリン さん
1010文字/3分くらいで読み終わります。
先週の土曜日、舌を噛んだ。21年間生きてきて、一番噛んだ。六本木のウェンディーズで駿河湾産釜揚げしらすと生ハムのレモンクリームパスタを食べていたら、急に噛んだ。そういうわけで、この日から今日まで何をしても脳内に「舌痛い」がよぎる。感動的な映画を見た後も、舌痛い。考え事の結論は、舌痛い。じりじり暑い中歩くみんなの脳内は暑いが一人勝ちなんだろうけど、私だけは僅差で舌の痛みが優勝だ。
日曜日。現代美術館に行き、近くのカフェで食事をした。この時はさほど痛くなかったとき。近くにいた苦手な犬を横目に旨辛塩こうじなんちゃか定食を食べていたとき。
月曜日。あまり覚えていない。
火曜日、痛い。慕っている先輩が歴代映画ランキングで1位をつけた映画を見た。思わず涙が出たが、自分がなぜ泣いたのか分からなかった。悲しいでも嬉しいでもない。舌が痛い、でもない。多分。舌が痛い。
水曜日。もっと痛い。この日から私は舌に優しい食べ物研究を始めた。朝ごはんのお米から学んだのは、よく噛む系、固い系は共演NGということだ。その結果、お昼はサンマルクカフェのわらびもち、痛い、クリームパフェ。お昼の時間帯にパフェを食べている人は他にはいない。こんなに楽しくなさそうにおいしいパフェを食べる人もなかなかいないだろう。食べ進めると強敵、コーンフレーク。やらかした。さっき誘惑に負けて選ばなかった、コーヒーゼリーパフェを思い出す。痛い。帰りに駅前のドラッグストアで口内炎に効く飲み薬を購入。初めてドラッグストアで帰り際に「お大事にしてください。」と言われた。痛い。なぜ私が口内炎に困っていることが分かったのだ。よっぽど舌痛いが表情に出てしまっていたか、滑舌が悪すぎたかのどちらかということにする。ハンバーガーにかぶりつきたい。欲望に従いたい。痛い。
木曜日。舌に敏感になっている。実は舌に優しかったコーンフレークのパッケージにいるマイクと勝手に命名したキャラクター、へびのぬいぐるみ、おばけのグッズ、アインシュタインのイラスト。どうしてみんなそんなに舌痛くないアピールをしてくるのだ。腹いせにマイクの舌に口内炎を書き足してあげた。ごめんねマイク。とうとう、歯医者に助けを求めた。予約3週間待ち大人気院長によると、薬を塗れば最短1日で治るらしい。なーんだ。急に明日が楽しみになってくる私。そういえばレモンクリームパスタのシラスにはエビが一匹まじってたっけ。
著者:カリン さん |
学校・学年:中央大学 4年 |
著者コメント:あまりにも舌が痛かったので、書きました。 |
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