投資する前に知りたい株主優待とは?具体的な仕組みや注意点を解説|学校では教えてくれない「お金の授業」
株式投資をする楽しみのひとつに「株主優待」があります。
自分が支持する企業の株式を保有することで、特典が受けられるので、ぜひとも利用したいですよね。
しかし、株主優待の仕組みや利用方法がわからないという人も多いでしょう。
特に、株式投資が初めての大学生や新社会人は戸惑うかもしれません。
そこで、今回は株主優待の仕組みや取得方法、具体的な特典内容、利用上の注意点などを詳しく解説します。
株主優待とは一体何?
株主優待とは、企業が株主に対して自社商品や割引券、サービスなどをプレゼント制度です。株式投資においては、「値上がり益」や「配当金」を得ることなどが思い浮かぶかもしれませんが、株主優待も株主にとって魅力的なサービスの一つです。
では、株主優待は具体的にどのようなものがもらえるのか気になりますよね。
一般的には、企業が自社製品のアピールをして支援してくれる投資家を募るために、自社製品やサービスに関する優待が提供されることが多いです。しかし、中にはギフトカードや図書カード、お米券、特産品などのアイテムをプレゼントしている企業もあります。
また、他企業との差別化を図るために、株主限定商品や株主限定イベントを提供するといった趣向を凝らしている企業もあります。
さらに、株数を多く保有している投資家や、長期保有をしてくれている投資家にはプラスαの優待プレゼントを提供し、株式の長期安定保有を促進する企業も増えています。
株主優待を獲得する方法
ご紹介したように、株主優待は投資家にとって大きな楽しみの一つですが、優待を受けるには条件があります。
ただ単に株主であるだけでは株主優待を受けることができませんので、しっかりチェックしておきましょう。
権利付最終日までに株式を保有する
まず、権利付最終日までに株式を保有していなければなりません。
「権利付最終日」とは、株主優待を受ける権利が発生する最終日のことで、この日までに株式を購入し、翌日まで保有している必要があります。
なお、同じような言葉に「権利確定日」がありますが、これは株主権利が得られる確定日のことです。
株主優待を受けるには、権利確定日に「株主名簿」に名前が載っている必要があります。そのため、権利が確定する日の2営業日前(権利付最終日)までに株式を購入しなければなりません。
権利落ち日を過ぎないように注意
「権利落ち日」とは、権利付最終日の翌日のことで、この日を過ぎてから株式を購入しても株主優待を受けることができません。
一般的に、権利付最終日に近づくにつれ、株主優待や配当金目当てで株式を購入する投資家が増えるため株価が上昇しますが、権利落ち日を過ぎると下降傾向になります。
そのため、「権利落ち日以降の株価の安いときに株式を購入すると得なのでは?」と思うかもしれませんが、株主優待を得るためには権利落ち日以降では遅いのです。
具体的な株主優待の種類
ではここで、大学生や新社会人などの若い世代におすすめの株主優待を厳選してご紹介します。
毎日の生活の中で活用できる株主優待を集めましたので参考にしてください。
学生でも獲得できる株主優待
企業名 | 割当基準月 | 株主優待内容 |
日本マクドナルドホールディングス | 12月、6月 | 保有株数に応じて1~5冊の食事優待券 |
吉野家ホールディングス | 2月、8月 | 保有株数に応じて3,000円~12,000円分の食事券または自社グループ商品詰め合わせセット |
ヤマダホールディングス | 3月、9月 | 保有株数に応じて1,000円~25,000円の優待券 |
オリエンタルランド | 3月、9月 | 「東京ディズニーランド」または「東京ディズニーシー」いずれかのパークの1デーパスポート |
シダックス | 3月 | 保有株数に応じて自社グループ商品2,500円~15,000円相当分 |
大学生はマクドナルドや吉野家といった外食チェーン店を利用する機会が多いと思いますので、食費が助かる系の株主優待はいかがでしょうか?
また、ディズニー好きな方には、オリエンタルランドの株主優待でパークの1デイパスポートがもらえるのも見逃せませんね。
社会人におすすめの株主優待
企業名 | 割当基準月 | 株主優待内容 |
すかいらーくホールディングス | 12月、6月 | 保有株数に応じて2,000円~17,000円分の自社グループレストラン優待カード |
イオン | 2月、8月 | 保有株数に応じて3%~7%キャッシュバック |
全国保証 | 3月 | 3,000円分のQUOカード |
ANAホールディングス | 3月、9月 | 株主優待割引運賃利用など |
コナカ | 3月、9月 | 20%割引券を保有株数に応じて3~10枚 |
新社会人になると、出張や旅行などで飛行機を利用することもあると思います。ANAホールディングスの株主優待はフライト料金が割引になるので活用できそうですね。
また、ビジネススーツを作る際にコナカの株主優待を利用すれば20%割引が使えてお得です。
株主優待をもらう際の注意点
株主優待をもらう際には注意しなくてはならないことがあります。
まず、株主優待は単に株主であるというだけではもらえない場合がありますので、もらうための条件を事前に確認することが大切です。
また、株主優待の内容だけに注目して株式を購入すると、株価の変動によっては損をする可能性もあります。
後悔することのないように、注意点について確認しておきましょう。
株主優待をもらうための条件を確認する
株主優待をもらうためには、先にもご紹介したように、権利付最終日までに株式を保有していることが基本条件ですが、企業によってさまざまな条件が付されていることがあります。
例えば、株主優待を受けるための「必要株数」が設定されている場合があります。企業によっては、100株あればもらえるところもありますし、1,000株以上必要なところもあります。
また、株式を保有している期間によっても株主優待の内容が異なることがあり、自分が望む株主優待をもらうためには、どのくらいの期間保有する必要があるのかを確認しておくことが必要です。
企業の財務状況が良いのか確かめる
購入する株式の銘柄を選ぶ際には、株主優待の内容だけでなく、企業の財務状況をしっかりと確認することが必要です。
チェックするポイントとしては、以下のような項目があります。
・企業理念やビジョン
・これまでの実績や売上高の推移
・取引先や提携先にはどのような企業があるか
・企業を利用した人の評判や口コミ など
魅力的な株主優待に惹かれてしまう気持ちはわかりますが、せっかく株式を保有するのですから、将来性のあるものを選びたいですね。
分散投資も頭に入れる
一般的に、株主優待は多くの株式を保有しているほど優待内容も豪華になります。そのため、多くの投資家は多くの株式を保有したいと思うところですが、一つの銘柄に集中して購入することは、おすすめできません。
というのも、もしもその銘柄が思わぬ事態に見舞われて株価が急落した場合、大きな損失を被る可能性があります。
さらに、特定の業界の株式に集中すると、その業界全体が不調になった場合には、ポートフォリオ全体が影響を受けやすくなります。
したがって、株式投資は「分散投資」が原則となります。異業種の株式や異なる値動きをする株式を組み合わせて購入することで、大きな値下がりリスクを回避する効果があります。
まとめ
株主優待を受けるためには、まず権利付最終日までに株式を取得する必要があります。ほかにも企業によって条件が設けられていることがありますので必ず確認しましょう。
また、購入する銘柄を選ぶ際は株主優待に目が行きがちですが、企業の財務状況などまで確かめてから購入するようにしましょう。
株主優待について理解できれば、魅力的な優待を思い切り受け取ることができますよ。
文:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。 以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP、住宅ローンアドバイザー、生命保険協会認定FP、損保プランナー 公式HP
制作:Media Beats
編集:マイナビ学生の窓口編集部
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