地球は丸いけどなぜ地面は平らなの #もやもや解決ゼミ
日常に潜む「お悩み・ギモン」=「もやもや」を学術的に解決するもやもや解決ゼミ。
宇宙から地球を見るときれいな丸い形をしています。しかし、地球上で暮らしている私たちからすると地面は平らに見えますから、「地球は丸い」と感じることはありませんよね。では、なぜ地球は丸いのに地面は平らに見えるのでしょうか。
この素朴な疑問について、国立天文台水沢VLBI観測所所長である本間希樹先生に解説いただきました。
普段見えている領域が狭いため平らに感じる
ひと言でいえば、「地球の半径に対して私たちが見ている領域が狭い」ので、地面が平らに見えるということです。地球の半径は約6,400キロメートルですが、普段目にする範囲というのはせいぜい数キロ。遠くの山が見える場合でも数十キロです。地球の半径に対して微々たる数字ですから、地球が球体であると検知できないのです。
どれくらいの高さから丸さを感じられる?
地球の半径が6,300キロメートルですから、地上に住んでいる私たちが地球の丸さを実感するには、高度500キロメートルにある宇宙ステーションなど、相当な高さから地球を見ないといけません。例えば日本一高い富士山の頂上でも3,776メートルしかありません。飛行機の場合は高度1万メートル(10キロメートル)ですが、それでも残念ながら丸いと実感できないでしょう。私たちが普段暮らしている世界では、地球が丸いと感じるのは難しいのです。
「地球は丸いけどなぜ地面は平らなのか」の答えは、「見えている領域が狭すぎるから」です。地球の大きさに比べれば、われわれがいかに小さな存在なのかが改めて実感できるお話でした。現在は、地球の丸さが実感できる高さまで行くのはそう簡単ではありませんが、宇宙開発が進めば「地球展望」が気軽に楽しめるようになるかもしれませんね。
イラスト:小駒冬
文:高橋モータース@dcp
教えてくれた先生

本間希樹先生 Profile
国立天文台水沢VLBI観測所所長/教授。1971年アメリカ合衆国テキサス州生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了後、国立天文台COE研究員、国立天文台助手を経て、2015年より国立天文台水沢VLBI観測所所長、教授を務める