みんな違って素晴らしい。AIの人生を変えた、多様性を讃える音楽との出会い #19才のプレイリスト

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人生はきっかけの連続だ。だからこそ、自分のやりたいことをどう選べばいいのかわからない。今何をするべきなのか迷ってしまうという大学生のために、「音楽」という道を選んだアーティストに直撃し、19才の頃に聴いていた楽曲を元に人生観を語っていただく連載『#19才のプレイリスト』。

第3回目となる今回は、デビュー20周年を迎えたAIさんが登場。歌手を目指すきっかけとなったゴスペルとの出会いやデビュー当時の心境について、改めて振り返っていただきました。ターニングポイントとともにあった「一人じゃない」という実感とは。

文:蜂須賀ちなみ
編集:学生の窓口編集部

音楽が多様な人生を昇華してくれる。12才、ゴスペルとの出会い

――7月8日にリリースされた『IT’S ALL ME – Vol.1』は、「みんなそれぞれ違っている」「だからこそ素晴らしい」という、ゴスペルに根差したメッセージを持った作品だと感じました。まずは初めに、AIさんとゴスペルとの出会いについて聞かせてください。

わたしは、日本に住んでいた12才の頃、親戚のおばさんに連れて行ってもらったロサンゼルスの教会で初めてゴスペルを体感しました。

12才って、一人でやらなきゃいけないことが少しずつ増えてくる時期じゃないですか。今までは親がなんでもやってくれていたけど、だんだんそうではなくなっていく。学校ではボスみたいな人がいて、その人に従わなきゃいけない空気がある。わたしは勉強も好きじゃなかったので、「学校に行くの嫌だなぁ」「なんで毎日こんなことをしないといけないんだろう」と思っていました。

LAの教会に行くのはそのときが初めてだったわけではないんですけど、悲しいこと、苦しいことを経験し始めるようになった時期だったから、感じ方が変わったんでしょうね。

人が一斉に唄ったときの声のパワーや、「あなたは一人じゃないから」「あなたのことを見てくれている人がきっといるから」という歌詞のメッセージを聴いて、鳥肌がたち、涙が出てきました。

それで「わたしもあそこで一緒に唄いたい」と思ったんです。

そのあと、おばさんが牧師さんに伝えてくれて、実際にクワイア(聖歌隊)に入ることになりました。

――孤独感を知り始めた時期だったからこそ、音楽を通じて人が感情を解放させているところを見て感動したのでしょうか。

そうだと思います。その教会では、自分の問題を一人ずつ言っていくんですよ。

たとえば、ある人が「わたしは先月までドラッグにハマっていました。でも今月は1回も手を出していません」と言う。そしたらみんながうわーって拍手する。

次の人が「うちのお父さんはずっとジャイル(刑務所)に入っているうえに、この前、お母さんまでいなくなってしまいました。どうしてわたしだけこんな人生なんだろう? ……と思っていたんですけど、この前プロポーズされました!」という話をする。

すると、話が終わったら「よかったね~!」ってみんなでその人をハグしに行くのね。

そうやって5人ぐらい順番に自分の話をして、それが終わったら、みんなで唄うんですよ。その歌がね、いろいろな人の人生を全部よくしてくれる感じがあって。

子どもながらに伝わってくることがあったんですよね。

そこには、今までに出会ったことのない感動がありました。

チャレンジする前に諦めたくない。19才、決意の日本デビュー

――15才でLAの芸術学校に留学。卒業後デビューのため日本に帰国していますが、アメリカでのデビューを選択しなかったのはなぜですか。

LAではガールズグループに所属していたんですけど、メンバーの子たちから「アメリカでブレイクしてから日本に行くのは簡単」「だけど日本からアメリカに来て、ブレイクするのは絶対に無理」と言われたんですよ。それが一番の理由ですね。

誰かから「絶対に無理」って言われるのが昔からあまり好きじゃなかったんです。実際にやってみてダメだったらしょうがないと思えるけど、まだやってもいないのに、そんなふうに言われても……って思っちゃうんですよね。

――実際に試してもいない人から「無理」と言われても説得力がないということですか?

そうです。それに、あなたとわたしは違う人だから、あなたには無理だとしてもわたしならできるかもしれない。逆に、わたしにはできなくても、あなたにはできることだってあるかもしれない。いろいろな人がいて、全部が違う。それでいいと思うんですよ。

そう感じるからこそ、自分でチャレンジするまでは諦めたくないんです。だから「絶対に無理」と言われたときに、「たしかにそうだよね」「じゃあアメリカでデビューします」とはならなかったんです。それで、日本でのデビューを選択しました。

――2000年11月、『Cry, just Cry』でデビューしたときは19才。芸術学校在籍時から歌唱力の高さを評価されていたそうですし、正直自信があったのでは?

自信もりもりでした。周りも「これはすぐ売れるよ」みたいなことを言ってくれて。そうなると、さらに調子に乗ってしまいますよね。サングラスかけて、偉そうにして……今思うと当時は本当にどうしようもなかったです。

だけど、自信はだんだん打ち砕かれていきました。CDを出しても自分の曲がテレビから流れてくることはないし、ライブをしても、誰もわたしのことを見ていないし……。自分の期待も、周りの期待も裏切ることになって、崖から思いっきり突き落とされた感じ。

当時はそのときヒットしていた他のアーティストの曲を聴いて「どうしてこの曲が売れているのに、わたしの歌は全然聴かれないんだろう」と思っていました。

19才のプレイリスト

――挫折を経験した19才の頃、よく聴いていた曲を紹介していただけますか。

R&Bだと、Joeの「I Wanna Know」Boyz II Menの「Song for Mama」が好きでした。


当時は家族と離れて生活していたので、特に「Song for Mama」の歌詞にはグッときていましたね。

ゴスペルだと、Kirk Franklin(カーク・フランクリン)の「My life is in your hands」ですね。You don’t have to worry and don’t you be afraid~♪っていうスタートで、それは「心配しなくていい、怖がらなくていい」という意味なんですけど。わたしは毎日心配だったから、そういう曲を聴いていると自然と涙が出てきたんですよね。

「歓び(よろこび)は朝にやってくる、トラブルはそんなに長続きしないから」「ジーザスっていう友達がいるよ、あなたの涙を拭ってくれる人がいるからね」「あなたの心がもし壊れていたら、手を挙げて言ってみて」というふうに続くんですけど、そのあとのサビは、語り掛けられている「あなた」側の言葉になっているんですよ。

「わたしは絶対乗り越えられる。辿り着ける。立ち上がれる」って。そういうメッセージを聴いて、当時のわたしはスッキリして、また生きていけるなぁという感覚になっていました。

――音楽を聴くことによって「明日からまた頑張ろう」という気持ちになれていたと。

そうですね。やっぱり音楽にはすごく支えられていました。当時のわたしは本当にどうしようもなかったんですけど、失敗して、うまくいかなくて、傷ついて……という時代があってこその今なのかなと思えています。

もしもそういう経験をしていなかったら、どうしようもないやつのままだったかもしれない(笑)。だから、経験ってすごく大事だと思うんですよね。さらに大事なのは、たとえどんな経験をしても、元気で健康に生きていくこと。

そこさえ守れれば、どんな経験をしても絶対に大丈夫。もし当時の落ち込んでいる自分に会えるとしたら、そう伝えたいです。

――自信をなくした状態からどう立ち直ったのでしょうか。

経験を重ねていくと、かつての自分が「微妙だ」と判断していたもののよさがだんだんわかってくるものなんですよね。「この曲はこういうところがいいんだな」「わたしにはこういうところが足りなかったんだな」と考えられるようになっていって、そこから勉強したりして、ちょっとずつ変わっていった感じです。

つらいのは自分だけじゃない。あなたは独りぼっちじゃない

――『IT’S ALL ME – Vol.1』の収録曲「GOOD AS GOLD」で〈裸の自分を愛せる未来を〉と唄っているように、そう思えたらきっと素晴らしいです。とはいえ生きていると、自分を嫌いになってしまう瞬間も山ほどありますよね。

わかります。わたしも昔、自分のことが大嫌いでした。小さい頃からいつもママが「You are beautiful!」って言ってくれていたんですけど、それに対して当時は「はぁ?」って思っていたし、反発していたんです。

だから、自分を好きになれないっていう気持ちもすごくわかる。わたしもママが言ってくれた言葉が信じられなくて、暴れて物を壊したり、自分のことを傷つけたりしていた時期がありました。顔も身体も髪も、自分の全部が嫌いだったし、誰のことも信頼できなかった。

だけどある日、昨日までは「You are beautiful!」と言ってくれていたママが、いきなり真顔でこう言ったんですよ。「あんた、いつまでヒロインぶっているの?」って。

それを聞いたときにハッとしたんですよね。やっぱり人って、外から見えている部分だけがすべてじゃないんですよ。わたしにしかわからない問題がわたしのなかにあるように、他の人にもそれぞれの問題がある。いろいろな人がいて、いろいろなことを経験しながら、それぞれの人生を生きている。

だからつらいのはわたしだけじゃないし、わたしは独りぼっちじゃない。わたしの場合は、ママにそう言われたことで気づくことができましたね。あの言葉にすべてが詰まっていました。

みなさんにも、これからきっといろいろなことが起きると思います。つらいことももちろんあるだろうけど、楽しいこともいっぱいあるはず。そのなかで、自分のことを信じて、自分の判断をして、自分がハッピーになれることをぜひ見つけてみてほしいですね。

それは「これをやっているときは楽しい」と思える趣味かもしれないし、「この人と一緒にいると楽しい」と思えるほど大切な人かもしれないし、逆に一人でいることかもしれない。今はまだわからないかもしれないけど、それを見つけることができたら、きっと自分のことを好きになれると思います。

あと、つらい経験ほど、いい経験はないですよ。そういうものも全部将来に繋がっているのだと、振り返ったときにきっと思えるはず。

わたしの知り合いがよく「ピンチはチャンスだ」って言っているんですけど、本当にその通りだと思っていて。みなさんもぜひ、ピンチをチャンスに変えていきながら、元気に生きていてほしいなぁと思います。

◆AI INFORMATION

20th Anniversary Mini Album『IT’S ALL ME – Vol. 1』:https://smarturl.it/AIIAM1

AI - 「ギフト」Music Video:https://youtu.be/icbmIDeRroo

AI Official Site:http://AImusic.tv/

AI Official Instagram:@officialai

AI Official Twitter:@micaholic1981

AI(アイ)公式TikTok:@aiofficialtiktok https://vt.tiktok.com/6m3m3A/

AI Official LINE:http://line.me/ti/p/%40aiofficial

AI Official Facebook:http://www.facebook.com/AI

UNIVERSAL MUSIC AI Official Site:http://www.universal-music.co.jp/ai/

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