「ほっとけない」才能がぶつかりあう! 『ほっとけない学生芸人GP2019』本選決勝レポート
2019年10月25日(金)、東京・渋谷にある東京カルチャーカルチャーにて、マイナビ学生の窓口が主催するお笑いコンテスト『ほっとけない学生芸人GP 2019』が開催されました。この日行われた決勝ライブには、全60組の中から予選を勝ち抜いた上位4組と各審査員推薦によるシード枠6組の学生芸人が登場。グランプリをかけて繰り広げられた熱き戦いの様子をレポートします。
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https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/55941
文:於ありさ
写真:学生の窓口編集部
編集:ほっとけない学生芸人GP運営
【INDEX】
1.技術は関係ない! 大事なのは「ほっとけなさ」
2.全員ほっとけない? 渾身のネタ披露
3.運命の結果発表。優勝は?
4.せきんにくんは、解散目前だった?
技術は関係ない! 大事なのは「ほっとけなさ」
「ほっとけない芸人GP」とは、2018年に第1回が開催された学生芸人対象のコンテスト。その審査方法は、「おもしろい!」や技術の高さなどではなく、「ほっとけない=推したい・応援したい」という独特の基準で行なわれ、グランプリに選ばれた学生芸人には賞金20万円とマイナビ学生の窓口芸人としての活動権が与えられます。
この日、MCを務めたのは早稲田大学お笑い工房LUDO出身のGパンパンダの一平さんと、慶應大学お笑い道場o-keis出身で昨年の本大会決勝に進出した経験を持つたまゆら学園のわたあめりなさんのお2人。
また、審査員には、アルコ&ピースの平子祐希さん、SKE48・須田亜香里さん、スーパーマラドーナ・田中一彦さん、ゆにばーす・川瀬名人さん、お笑いライブ・イベント制作会社K-PRO代表・児島気奈さん、マネジメント業やお笑いイベントを主催する株式会社スラッシュパイル代表の片山勝三さんの6名が登場しました。
そこに登場したのが、WEB審査を勝ち上がった10組の学生芸人たち。昨年以上に、見た目の時点で「ほっとけなさ」が目立つ学生芸人たちも多く、登場するやいなやMC、審査員、会場に集まった約60人の観客を沸かせている様子が印象的でした。
全員ほっとけない? 10組が渾身のネタを披露
この日のネタ順は、昨年の大会で優勝したヨシダin the sunが抽選で決めたもの。果たして学生芸人たちは、どんなネタを披露していくのでしょうか。
「テッテレー!」を仕込んでいた田中さん
1組目:オーフック
トップバッターを務めたのは、予選2位・松山大学落語研究部所属の「オーフック」。気になるネタは、どこか山手線を彷彿させるちょっと変わった産婦人科が舞台のもの。

聞き取りやすく、セリフひとつひとつにムダがないおもしろさでしたね!

「病院」×「電車」という1つの軸で、わかりやすいネタでした。いろいろなお客さんが楽しめるネタに仕上がっていたと思います。

つり革を持っていたときに、後ろの学生芸人たちもあいまって本当に電車に見えてきましたね。ただ、ほっとけないかどうかでいうと……ほっとけるかなと(笑)。


このネタの設定だと下ネタに走りそうなところ、そこをはずして「出産」のみで勝負したというのは偉いなあと感心しましたね。

僕、東京の電車詳しくないんで……勉強になりました!(笑)

安心して楽しくみさせてもらいました! 2人でネタを考えてるところを想像すると、すごいかわいいなって思いました。
2組目:僕とパパ
続いて登場したのは、スーパーマラドーナ田中さんの推薦を勝ち取った大学1年生の「僕とパパ」。少しおバカな高校生の卒業がかかった世界史のテストをがテーマ。

このイベントのテーマ「ほっとけない度」で言ったら120点だと思います。

ネタもそうですが、出てきた瞬間から人間的にも「ほっとけない感」が溢れていたのでよかったですね~。


最初、設定を説明した上で王道なコントが始まるかと思いきや、よくわからなくて、何を見せられてるのかなという気分になり……ほっとけないなと思いました。

予選では僕が選んだんですけど、予選よりかなりよくなった印象でした(笑)。

音源が、ラジオ音源をカセットテープで録ったのかというくらいな音質で……お前ほっとけねーな!(笑)

写真と全然印象が違ってびっくりしました! なんか、うん、すごい頑張ったな~って感じですね!(笑)
3組目:クレヨン
3組目に登場したのは、予選4位通過の「クレヨン」。制限時間を存分に使い、お2人らしいゆるーい雰囲気のショートコントが繰り広げらました。

ゆるい感じを演出するのって難しいのかなと思いながらも、雰囲気を醸し出していて毒っ気もあって、素晴らしいなと思いました。

僕も一緒にやりたいですし、パクりたい!

2人とも見た感じボキャブラ世代だよね(笑)。あと、右側の渡井くんがゴー☆ジャスのパーカーを着ているのが気になったんですけど、ショートコントでなんとなくスベらせといても、技巧派で持って行く感じとかゴー☆ジャスに似てて、よかったですね。


途中で「ネタ忘れちゃった」みたいになったとき、「頑張って~」って思ったので、結果(ネタの一部で)ドッキリだったのでムカつきました!(笑)

お2人の雰囲気にあったネタを、よくぞここまで見つけたなと思いました! おもしろかったです!

めっちゃゆるい中で、こいつら性格悪いだろうなって(笑)。こんなに尖ったネタなのに、ショートコント選んでくるあたり含めてね。でも、普通におもしろくて「ほっとけない」感はなかったので、ぜひ本格的な賞レースにも出てほしいですね!
4組目:まんかいんど
渡辺さんとマークさんによる、ゆるく独特なしゃべり口調が特徴のコンビ「まんかいんど」。アルコ&ピース平子さんの推薦で進出したお2人は、ファッションに関するネタを披露しました。

ネタ中に立体的な動きをなかなか見ることがないので、すごい発想だなと思いました。

前のめりのCOWCOWさんって感じでおもしろかったです。ただ袖にはける演出は巨人師匠だったら減点すると思うんで、巨人師匠の前では気をつけてください(笑)。


ネタ中に「ほんとおしゃれだな~」と言ってるのに、2人とも全然おしゃれじゃないのがよかったです(笑)。あと、出る直前まで緊張した顔していたのに、出てきた瞬間にスイッチ入ったのがグッときました。

僕のネタでピースを逆にして、3Dスーピーっていうのがあるんですけど似てるな~って思ってうれしかったです。

(前の3組がコントで)今日初めての漫才だったので、3組に比べて収まって見えるのかなと思ったところを、壊していったのでよかったなと思いました。

予選の段階からセリフ1つ1つの言い回しが独特な一方、渡辺くんのテンションがすべてを0にしていくのがすごく愛おしくて、魅力的に思っていました。このファッションでファッションの漫才ってできちゃうんですね(笑)。
5組目:せきんにくん
ゆにばーす川瀬名人の推薦で登場したのは「せきんにくん」。席替えしたのに目の前に木がある席をチョイスしてしまった学生と、その木をどけるために突如やって来るアメフト部で行なわれるコント。

わかりやすくて、すごい楽しかったです! セットも大変だったでしょうね。

親御さんはなんておっしゃってるんですか?(笑)なんか死ぬほど悩んでいる人に見せたらどうなるんだろう、希望を見せてくれそう、と。見方を変えると泣きそうになるコントで感動しました!

バカバカしいんですけど意外と考えられているネタですよね。キングオブコントでも通用するんじゃないですかね?


最初の設定で、もうトリコになりました! なおかつ最後は幸せな気分になりました!

ネタという概念を通り越して、アトラクションやなと思いました!

元気になったというか、お笑いって人を楽しくさせるんやなって、改めて勉強させていただきました。ありがとうございます。
6組目:スレッジハンマー安藤
後半戦1組目を務めたのは、SKE48須田亜香里さんの推薦で2年連続の決勝進出となった「スレッジハンマー安藤」。中学生から高校生へと成長し、卒業していくさまを音楽とフリップでほぼサイレントで披露していました。

大まじめにやっているというのが、去年からわかっていたので選んだんですけど……いや、ネタ中に一切しゃべらないとか、とんでもないやつを選んじまったな~と思いました(笑)。

フリップネタでやっていくのかなと思いつつも、ミュージカルのようになったのがおもしろいなと思いました。ただ途中、走り回りながらもフリップを踏まないようにしているところをみて、ほっとけなさを感じましたね。


楽しかったと思います。なんかきっといい人なんだろうなって思いながら見ましたね。

全然わからなかったです。わからない中でもわからないなって思いましたね~(笑)。

まずはお疲れ様でした。アメリカの高校生の陰と陽を描いていたと思うのですが、もっと陰に踏み込んでほしかったので、2本目が見たいですね~。

顔もシュッとしてる感じとか、プロフィール写真の感じとか、できる感じとか……全部鼻につきますよね~。ほっとけない感でいくと、お笑いやりすぎた兄さんたちにいじられそうやなと思いましたね~!
7組目:回黙天
7組目は、スラッシュパイル片山さんの推薦で選ばれた男女コンビ「回黙天」。普段、演劇サークルで活躍している2人が展開した漫才は、お寿司をテーマにしたちょっぴりブラックなネタ。

仕上がっていない点はありながらも、既存の漫才の概念にとらわれないような感じにすごく魅力を感じて選びましたね。

kiroroがマッドマックスの世界に入った感じなんだなと思いながら見ました。ワイルドな中にもいい人なんだろうなというのが出ていて、すごいいいですね。

見どころが多すぎて、ネタが入ってきませんでした(笑)。


男性が破天荒かと思いつつ、ネタ中は女性のほうが頭おかしいキャラでしたよね。男女コンビ増えている中でも、各々のキャラが立ちつつ一緒になっている感じは新しいなと思いました。

なんて言ったらいいか難しいな~……最高!

2人とも世界観が確立しているので、素の姿が見たいなと思いました!
8組目:フィルダースチョイス
8組目は、K-PRO児島さん推薦の「フィルダースチョイス」。死刑制度という重いテーマでディベートのように漫才が進んだかと思うと、突然ショートコントが始まるなどスピード感とテンポ感のあるボケ、独特な言い回しのツッコミが特徴。

まともそうやなと思ったら全然まともじゃなかったですね。ほっとけないにフリぬけていないという点では、今日は一番評価されづらいかもしれませんけど、会場もウケてましたし、よかったですね!

僕がやりそうなネタがすごく多くて、見ていて楽しかったです。

たしかに今日この大会でいうと評価はされづらいかもしれませんけど、すごいきっちりとした漫才をしていて優秀だなと思いました。


「酸性雨」がすごく好きでした!

私が選んだコンビなんですが、おもしろそうだけど荒々しい感じがほっとけないという点でドンピシャでした。見続けたいなと思いました。

個人的に「哲学者はしゃべるな」というセリフなどキラーワードがあって、深みを感じましたね。考えさせられました。
9組目:てるてる娘
9組目は予選通過1位、すでに事務所にも所属している「てるてる娘」。注目度ナンバーワンの2人が披露したのは、女子大生とパパ活を題材とした漫才。

ほっといていいかなと思ってしまうほど完成された漫才でしたね。安心して見れました。

本人たち的には、思うほどはウケなかったかもしれませんが、それは完成度の高い漫才で「聞き入ってしまった」からだと思います。ぜひこのまま自信を持って進んでいってほしいです。


ツッコミもうまくて、おしゃべりもできて、テンポもよくて、強気な発言もあって……僕は苦手なタイプなので、ちょっとほっときたいですね。

女子大生らしい言葉の選び方もあって、女子大生のままのしゃべり方なのに聞き取りやすい話し方でおもしろかったです。年を取ってもずっと女子大生でいてほしいですね。

若手の女性芸人の方は、過剰なボケとツッコミの言い回しをされる方が多い中、等身大のキャラのままやりとりされていたのがすごくよかったですね。Aマッソとか、震えているんじゃないですかね?

唯一の女の子コンビだったので楽しみだったんですけど、引き出しがもっと増えていきそう!これからがめっちゃ楽しみだな~って思いました。
10組目:シャンシャン
トリを務めたのは、予選3位・幼馴染コンビ「シャンシャン」。人生で一番の思い出というテーマで、免許合宿での5日間を思い返すといった内容の漫才を披露しました。

今日のコンテストの集大成という感じで、プロでも通用するようないい漫才を見させていただきました。

車でそんなこと(ネタの内容)したらあかんと思うわ……。

情景がすごくリアルに浮かんできて、いろんな感覚にさせられた気がします。

お笑いが好きな学生芸人さんが、一生懸命お笑いをしている。初々しさや楽しさなど、僕たちが忘れがちなことを思い出させてくれて、応援したくなりました。


こんなに完璧な漫才だったのにスーツのサイズ感が合っていなかったり、足にミサンガがついているのを見つけて隙を感じて、ほっとけないなと思いました。

僕が身につけたくても絶対に身につけられない「器用」という強みを持っていて、めちゃくちゃよかったと思いました。
運命の結果発表。優勝を手にしたのは?
迎えた運命の結果発表。気になる結果は……
平子さん:僕とパパ/須田さん:シャンシャン/田中さん:せきんにくん/川瀬名人さん:せきんにくん/児島さん:せきんにくん/片山さん:シャンシャン
見事、優勝を勝ち取ったのは3票を集めた「せきんにくん」!
そして2票獲得した「シャンシャン」が2位という結果に。

「シャンシャン」のお2人の初々しいキャラクターが、このコンテストにふさわしい感じだったなと思い、投票しました。すごくよかったです。

僕はあいつに何か称号を与えなきゃという一心で「僕とパパ」を選んだんですけどね(笑)。
優勝を逃し悔し涙を流す「クレヨン」
「せきんにくん」は解散目前だった? 優勝者インタビュー
大会終了後、「ほっとけない学生芸人GP2019」本選の優勝者に選ばれた「せきんにくん」のお2人にインタビューを敢行。受賞の喜びを語っていただきました。
――まずは本日の感想を教えてください!
ヒノデさん:この大会、去年見たときから優勝したいなって思っていて、そのためにネタのチョイスを考えたりしたので、本当に思い通りになってよかったです。
せきんにくん:単純に普段テレビで見ている有名な審査員のみなさんとやり取りができたということが本当に楽しくてうれしくて、幸せな時間でした。

――今日のネタをチョイスした理由は?
ヒノデさん:予選はせきんにくんのキャラクターを生かして上がれたらいいなと思っていて、決勝に上がれたら自分たちの中で一番自信のあるネタをやりたいと思っていました。
せきんにくん:ほっとけない感ってなんだ? って考えたんですけど、ちょっと何かわからなかったので。ここは一番おもしろいやつでいこうって。
――お2人、サークルは一緒とのことですが大学は別々なんですよね? 結成したきっかけは?
ヒノデさん:僕たち、中学2・3年生のときに同じクラスで仲良くなったんですね。それで当時から二人が大好きなラブレターズさんの単独ライブに一緒に行ったりしていたんです。
せきんにくん:高校も大学も別々なんですけど、大学に入るときにヒノデが「早稲田にお笑いサークルがあるよ」って教えてくれて、一緒に新歓ライブを見に行ったんですね。そこの先輩方がおもしろすぎて、自分たちもやってみたいなと思ったんです。
――まさか7年後に一緒に舞台に出て優勝するなんて……感慨深い。
せきんにくん:僕たち(大学)1・2年のときは、スベリまくっていたんですよ。だから、今日こうやって2人で一緒に優勝を取れたのが、本当にうれしいです。
ヒノデさん:1年くらい前に、ちょうど辞めようかなって2人で悩んでいて。サークルの定期ライブに出なかった時期もありましたから。本当に好きなことを続けてよかったですし、エントリーしてよかったです。
――今日は「優勝できるかも」という手ごたえはありましたか?
ヒノデさん:やる前は自信があったんですけど、いざステージに立ったら、おもしろくてインパクトが強い方々が多すぎて、ちょっともう無理だなって思ってました。
せきんにくん:声の大きさだけは負けないって思っていたんですけど、回黙天さんとか声でかすぎて、圧倒されて「あーダメだ……」って。
――優勝賞金20万円の使い道は?
せきんにくん:正直、優勝した後のことをリアルに考えてはなかったんですけど、去年の優勝者・ヨシダ(in the sun)さんもやっていたように主催ライブはやりたいですかね。
ヒノデさん:そうだね。その資金に回したいです!
――最後に、マイナビ学窓芸人としても1年間活動できますが、どんなことをやりたいですか?
ヒノデさん:ちょっと勝手な希望なんですけど……僕は彼(せきんにくん)をYouTuberにしたいんですよね。これまで何度も言っているのに、全然やってくれないんですけど……。
せきんにくん:ちょっとちょっと……動画に残るのはイヤなんだって(笑)。やるとしても、みんなでやろう?
ヒノデさん:僕は一人でやってほしいけどなぁ……(笑)。
――おめでとうございました!
本大会で輝かしく、人を幸せにさせるようなネタを披露したお2人。インタビュー中、ずっと仲のよさが溢れていました。現時点では、大学卒業後プロのお笑い芸人になる予定はないものの、学生ラストイヤーとなる来年は本家M-1やキングオブコントにも挑戦したいと話してくれました。
誰一人手を抜くことなく、それぞれのお笑いで会場を魅了していた『ほっとけない学生芸人2019』。今後ともぜひ出演者、大会ともにご注目ください!
▼大喜利部門オフィシャルレポートはこちら
※記事内、一部お名前に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。申し訳ありませんでした。(2019.11.26 9:05)