ロマンがとまらない! 洞窟を探検・研究する『山口大学洞穴研究会』とは?

編集部:ゆう

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ロマンがとまらない! 洞窟を探検・研究する『山口大学洞穴研究会』とは?

みなさんは、山口県美祢市に広がる広大なカルスト台地『秋吉台』をご存じですか? 

社会科の授業では必ずといっていいほど出てくるので、名前は聞いたことがあるという人も多いでしょう。

この秋吉台には、特別天然記念物の鍾乳洞「秋芳洞」をはじめとする洞窟が450以上もあり、まだまだ未知の場所も多く残っています。

そんな秋吉台の洞窟を研究する部が山口大学の『山口大学洞穴研究会』です。

今回は、広大な洞窟を冒険・研究する『山口大学洞穴研究会』の活動に迫ります。

1955年から続く歴史ある研究会

『山口大学洞穴研究会』の会長・木寺航大(きでら こうだい)さんにお話を伺いました。

会長の木寺さん

会長の木寺さん

――『山口大学洞穴研究会』について教えてください。

木寺さん 私たち『山口大学洞穴研究会』は、山口大学公認の部活で、主に秋吉台の洞窟の探検、および研究を行っています。

その研究成果を社会に発信して地域文化に貢献することや、秋吉台カルストの保護・保全のために活動することを目的としています。

――どのような経緯で誕生した部なのでしょうか?

木寺さん 設立のきっかけは、1955年(昭和30年)に秋吉台が米軍の空爆演習地になろうとしたことです。その際に秋吉台の保護活動が行われたのですが、そこに秋吉台学術調査の一員として、洞穴研究会初代顧問となる河野道弘先生が参加されました。

先生は、洞窟調査を組織的に行うためのグループが必要だと感じ、当時の山口大学教育学部地学研究室の学生と数名の有志と共に、洞穴研究会の前身組織となる洞窟調査会を発足しました。その後、洞穴研究会へと改称し、現在まで約60年間続いています。

幾度となく歴史的な発見をしている

――現在の所属部員数や普段の活動内容を教えてください。

木寺さん 現在21名(3年生:2名、2年生:11名、1年生:8名)で活動しています。文化会に属している部活ですが、月・水・金曜日は筋力トレーニングやラダー(金属製の縄はしご)を使った昇降訓練を行っています。

また、学習会と呼ばれる洞窟に関しての知識を深める勉強会も不定期に開催しています。土日祝は秋吉台を中心に、洞窟内で探検技術の向上や洞窟の地図を作る測量などを行っています。

測量の様子

測量の様子

竪穴昇降の様子


竪穴昇降の様子

――活動の中で新しい発見をすることもありますか?

木寺さん 近年ですと、2014年に行われた調査で「大正洞」と「犬が森の穴」という2つの異なる洞窟間で人の通り抜けに成功し、連結していることを発見しました。

また、2017年には、秋芳洞で新たな空間を発見しました。これにより、秋芳洞の総延長距離が1万300mとなり、国内第3位の長さを誇る洞窟となりました。現在も測量中のため、さらに総延長は延びると思われます。

――まさに歴史的な発見ですね。これまでの活動の中で、特に面白かった活動、思い出深い活動はありますか?

木寺さん 個人的には、「寺山の穴」と呼ばれる洞窟での活動が印象的でした。この寺山の穴は、国内で3番目に広い地底湖を有しており、その水がとても青く神秘的です。

ただ、ここにたどり着くには、7mのロッククライミング、断崖絶壁を10mほど渡る、冷たい水が流れる狭い空間をほふく前進で進む……と、数々の難所をくぐり抜けないといけません。

恐らく一般の人ではたどり着けないでしょう。しかし、寺山の穴の地底湖では、見たこともないような絶景が広がっていて、苦労したかいがあったと思えた活動でした。

寺山の穴の地底湖

寺山の穴の地底湖(村瀬健志さん撮影)

非日常を体験したい人にお勧め

――部のモットーや心掛けていることを教えてください。

木寺さん この部は、活動の性質上「命の危険」と常に隣り合わせです。そのため、日々の限られた活動時間の中で、部員一人一人が安全に活動できるよう、訓練や安全意識の定着を心掛けています。

――木寺さん自身はどのようなことを心掛けていますか?

木寺さん 私は「部員一人一人と対話し、安全に楽しく活動すること」を理念に掲げ、部活動に取り組んでいます。

部員それぞれが違うことを考えているのは当たり前ですから、その考えをうまく活動に反映させ、全員が納得して部活動に取り組めるようにするのが、部長に求められているスキルだと考えています。

――安全に活動するためにも、コミュニケーションが重要なのですね。

木寺さん そうですね。そのため、学年問わずに積極的にコミュニケーションを取って意見を募り、部員たちにとってこの部活動が、大学生活の実りになるように日々努力しています!

――『山口大学洞穴研究会』は、どんな人におすすめの部ですか? また、どんな人に入部してもらいたいと思いますか?

木寺さん 洞窟という非日常を体験したい人、洞窟の地図を作ってみたい人、取りあえず他の人とは違うことをしたい人に来ていただけるとうれしいです。

とはいえ、部員の中には「なんとなく面白そうだから入った」という人もいますし、学部も文系から理系まで幅広くなっています。

また、現部員には一味も二味も違った「癖のある人」が多いので、面白い人と知り合いたいという人にもおすすめです。

――最後に、今後の目標や展望を教えてください。

木寺さん 安全に活動することは当然ですが、秋吉台の魅力をこれまで以上に発信し、洞穴研究会の知名度を向上させたいです。

また、直近の目標としては、61代(現3年生)が調査を行っている洞窟の調査完了ですね。

――大きな成果が得られることを期待しています。ありがとうございました

『山口大学洞穴研究会』は、60年以上の長い歴史を持ち、大学の部活とは思えないほど、本格的な洞窟研究を行っているサークルでした。

2014年や2018年の発見は、長い歴史の中で培ってきた洞窟探検のノウハウと、洞窟研究に真摯に向き合う姿勢によってもたらされた成果だといえるでしょう。

また今回紹介した以外にも、公式HPには研究会が探検したさまざまな洞窟の写真が公開されていますから、ぜひそちらもチェックしてみてください。神秘的な洞窟の景色に心奪われること請け合いですよ。

⇒『山口大学洞穴研究会』公式HP
https://douketu.wixsite.com/ya...

(中田ボンベ@dcp)

編集部:ゆう

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学生に「一歩踏み出す勇気」を持っていただけるような記事を届けたいです。

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