「一発屋」と言われた藤崎マーケットが、「結果」にこだわり続ける理由
こんにちは。ほっとけない学生芸人GP運営です。
社会人4年目の私は、「結果を出すこと」と「やりたいこと」の狭間で、悩むことがたくさんあります。もちろんやりたいこともやりつつ結果を出すのがベストでしょうが、そんなに都合よくいくことはあまりありません。
「本当にやりたいことはこれだけど、結果が出るのはこっち。じゃあどちらを先に取り組むべきか?」そんな、いち社会人の悩みを今回、関西を中心に活躍中のお笑いコンビ・藤崎マーケットさんに打ち明けてきました。
ラララライ体操で一世を風靡し、「一発屋」とまで揶揄されたお二人ですが、やりたいことを貫き、漫才で「結果」を出すまでに至った軌跡、そして今後の野望についてもお伺いしました。
文・編集:ほっとけない学生芸人GP運営
カメラマン:為広麻里
飽きられても焦りはなかった。ネタを作り続けてたから。
いまは関西を中心に漫才でご活躍されているかと思いますが、当時自分たちが「ラララライ体操」で注目されてるなと感じた、一番の瞬間は覚えていますか?
トキ:爆笑レッドカーペット(フジテレビ系列)です。番組ができたばかりのときにオーディションに受かって、レッドカーペット賞をいただいて、そこから仕事が入ってくるようになりました。
田崎:コンビ組んで2年くらいの時期だったので、すごく早くて売れてラッキーでしたね。
逆に、「ラララライ」を世間やメディアが飽きてるんじゃないか、と思い始めた瞬間ってありますか?
トキ:大阪でお笑いバトルがあったんですが、そこでのお客さんの反応が「藤崎はテレビ出てんねんから、もうええやん」という感じだったことはよくありました。
田崎:クイズ番組で、藤崎マーケットのララライ体操でクイズを出すというコーナーがあって、制作側から「このコーナーは、藤崎さんが毎週レギュラーでお願いします!」と言われていたんです。最初はすごい(ウケも)良かったんですけど、だんだん「あれ、なんか(収録に)呼ばれへんな?」となってきて、その次のO.A.ぐらいから違う芸人に変わってたんですよね。
わぁ……放送見て明らかになるってつらいですね。
トキ:あとは、スケジュールが「西、多ない?」って感じになりましたね。
というと……?
トキ:一週間のスケジュールが、最初は「東京→東京→東京→大阪→東京→東京→東京」だったのが、ちょっとしたら「大阪→大阪→東京→大阪→東京→大阪」ってなって。あれ、西多ない? って。後半になってくると「大阪→大阪→岡山→大阪→東京→福岡」。西多ないっ!? って(笑)。
どんどん西に(笑)。そのようにどんどん飽きられ始めたことに、焦りや不安はありましたか?
トキ:その頃も漫才やコントは変わらずに書いていたので、そんなに焦ることはなかった気がします。
田崎:「メディアに踊らされてる」というか。結局そこしかフューチャーしてくれなくて、イメージが一個しかない。ただ劇場では、他のネタもやっていたから。どんどんメディアが飽きてきたとき、世間的には「あ、新しいネタもやり始めたんだ」という認識になっただけです。だいぶ世間とのズレがあります。「一発屋」という言葉が生まれるのもそういう仕組みだと思うんです。
それでも、「ラララライから漫才に変えたんだ」と思われてしまうことに関してはどうですか?
トキ:当然そう思うだろうなとは思いました。世間の方からすれば。
田崎:こんだけネット社会とは言っても、テレビに出てなかったら「あれ、死んでんのか?」って。でも、ひとつ賞取ったら、はっきり周囲の評価も変わります(※)。分岐点じゃないですけど、「漫才でもタイトル取るんだ」ってなって、ほんまにちょっとずつ変わりました。ただ、やっぱりまだ全国の賞レースを取ってないから、「ラララライで最近見ないな」っていうイメージになってしまうんだと思いますね。
(※藤崎マーケットは、2014年にytv漫才新人賞で優勝した)
「むっちゃ好き」。だから続けられる
「結果がすべて」なことってお笑いの世界だけじゃなくて、学生でも、社会人でも、一般的にあることだと思うんですよね。自分がやりたいこと、おもしろいと思うことをしたいのに、結果が求められる。実際私もそういう経験をしてきていますし、それはどう乗り越えたらいいんでしょうか……?
トキ:僕は「賞(=結果)を取らんとプロじゃない」かなと。好きなことしてむちゃくちゃおもしろい芸人さんは、吉本にも山程います。誰もが面白いと思うことをやってるけど、なぜか飯食えてない人も。好きなことだけをするのであれば、期限が必要だと思います。芸人は今後何があたるかわからないので、けっこうシビアですね。
結果が出るかどうかは自分じゃ予想できないですもんね。
トキ:芸人同士の飲みとかでも永久にこの話をしてるんですよ。それこそ永野さん(※)とかは、四十何歳であたっているし。いつも「その人自身が楽しければいいだろうな」っていう結論になるんです。
(※グレープカンパニー所属の芸人。「ゴッホより、普通に、ラッセンが好き」というフレーズで有名。)
「結果」が出るかわからない中、芸人を続けて来られた理由ってなんですか?
田崎:僕も腹立つこととか、嫌なこととかありますけど、それでもずっと芸人を続けてるのは「むっちゃ好き」っていうのが、一番ベースにあるからやろうなって。嫌なことがあっても時々、めっちゃウケたとか、めっちゃスゴイ人に会えたとか、いいことあるから。そういうのがみなさんもお仕事の中で見つけられたら、続けられるのかな。
次はモノマネで。東京のメディアに仕返しを
いま現在の藤崎マーケットさんは、「やりたいお笑い」を貫けてるということなんでしょうか?
トキ:したいことはできていると思います。やっぱり舞台が楽しいので、いまはそこに注力してしまっている気はしますね。これからも今ぐらいできるように、また何か売れたりすることは必要かな、と考えてはいます。
例えば、漫才以外で「結果」を出すフィールドとして、次は何を考えているんですか?
トキ:モノマネかもしれないですね。ネタの数は死ぬほどあります。
田崎:モノマネは、舞台では毎回やってるんですよ。それを今度は発信していく感じですかね。あとは、自分たちに任せてもらえる番組で、どんどん出られるようになっていきたいなというのはあります。先輩ばかりがいるフィールドなので、そこを戦ってレベルアップしていかないと、ずっと今のままなんやろうなと。
ちなみに、次の活動範囲として東京は視野に入れていますか……?
両方:やっぱり東京もねぇ(笑)。
田崎:東京のメディアに仕返ししたいんで(笑)。
経験からしか「好き」は生まれない。
お二人は今やりたいことに熱中できていると思うのですが、「やりたいことがみつからない」という学生はどうしたらいいでしょう?
トキ:激烈遊ぶ!!! やっぱり経験しないことには好きなことってないと思うんですよね。スラムダンク見たらバスケしたなるじゃないですか。旅したら海外で働きたいとか、英語したいってなるんすよ。行動力が少ない人がそういうことになる気がするんです。
経験してみたことがきっかけとなって、好きな仕事になるってことですね。
トキ:正直仕事なんて、したいことあるわけないと思っています。20~30歳までは死ぬほど遊んで、いろんな本読んで、いろんな行動して、いろんな人と遊んでいたら、「こんなことしたい」とかなってくると思う。だから、無理に決める必要もないかと思います。
田崎さんは、もしいま大学生に戻ったら何をしたいですか?
田崎:僕が大学生やったら、海外行きまくるやろうなぁ。
海外!
学生のころからずっと英会話がしたかったんですけど、なんか……発音よく読むとかも、恥ずかしかった時代なんですよね。そんなしょうもない恥ずかしさで、今もほんまに単語でしか喋られへんし。すごい後悔してて。いまどきはLCCも飛んでるし、気軽にプチ留学できるじゃないですか。語学がプラスアルファでできたら、それだけでめっちゃ世界広がるやろうな。
たしかに!
田崎:やりたいことない人も、それはしゃーないと思うんですけど、騙されたと思って一回海外に行ってみたら、ちょっとでもプラスになることや感じることがあるんじゃないかな。激安でいけるし! バイトしたお金だけでも行けるくらいのやつ絶対あるから。
藤崎マーケットが貫く「信念」
最後に、お二人がお笑いという好きなことを続けていくための「信念」を教えてください!
文・編集:ほっとけない学生芸人GP運営(編集部・すい)
カメラマン:為広麻里