アカデミー賞各賞の日本人初ノミネートと初受賞を調べてみた

編集部:いとり
2019/02/21
学生トレンド
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2019年2月24日(日本時間25日)に行われた、第91回アカデミー賞の授賞式。今年度は外国語映画賞で是枝裕和監督の『万引き家族』、長編アニメ賞で細田守監督の『未来のミライ』がノミネートされましたが、惜しくも受賞を逃しました。日本勢のノミネートが話題になるアカデミー賞ですが、初めてアカデミー賞にノミネートされた日本人、初めて受賞した日本人は誰なのかご存じですか? 今回は、「アカデミー賞で日本人が関わった歴史」をひもときます。

アカデミー賞授賞式間近! 各賞の日本人初ノミネートと初受賞を調べてみた

※記事内の年数は開催年

最初にノミネートされた日本人は誰?

日本人で初めてアカデミー賞にノミネートされたのは、エディ・今津さん(1950年代にアメリカに帰化)です。今津さんは、日本からアメリカに渡り、大手配給会社『メトロ・ゴールドウィン・メイヤー』のアート部門で活躍。
1936年公開の『巨星ジーグフェルド』で美術を担当し、翌1937年に行われた第9回アカデミー賞では美術賞にノミネートされました。残念ながら受賞には至りませんでしたが、偉大な足跡を残したといえるでしょう。

次に日本人がノミネートされたのは第24回(1952年開催)。このときは黒澤明監督の『羅生門』が名誉賞(外国語映画賞)を受賞しています。名誉賞はいわゆる「特別賞」に当たるものですが、日本の作品が初めてアカデミー賞で表彰された瞬間でした。

第27回(1955年開催)で、初めて日本人が部門賞を受賞します。衣笠貞之助監督の『地獄門』で衣装デザインを担当した和田三造さんが、衣装デザイン賞(カラー部門)を受賞したのです。本作は、カンヌ国際映画祭で初めてパルム・ドールを獲得した日本映画としても有名です。

1958年の第30回で歴史的快挙を達成!

1958年に行われた第30回アカデミー賞では、『戦場にかける橋』に出演した早川雪洲さんが助演男優賞、『サヨナラ』に出演したナンシー梅木さんが助演女優賞にノミネートされるなど、日本人俳優の躍進が目立ちました。このうち、ナンシー梅木さんが助演女優賞を獲得。俳優個人が表彰される部門としてはこれが初めての受賞でした。

残念ながらナンシー梅木さん以降の受賞者が出ていませんが、そもそも主演男優・女優、助演男優・女優といった俳優の個人賞に日本人がノミネートされる機会がほとんどないのです。今年を含めて91回のアカデミー賞の歴史の中で、日本人俳優がノミネートされたのは5回しかありません。それだけに、ナンシー梅木さんの受賞は歴史的な快挙といえるのです。

また、同じように個人にスポットが当たる賞では、前述の和田三造さんのほかに、第58回(1986年開催)でワダエミさん(作品『乱』)、第65回(1993年開催)で石岡瑛子さん(作品『ドラキュラ』)が衣装デザイン賞を受賞。第60回(1988年開催)では、『ラストエンペラー』の音楽を手掛けた坂本龍一さんが「作曲賞」を受賞しています。
第90回(2018年開催)で、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でメークを担当した辻一弘さんが、「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」を受賞したのも記憶に新しいところですね。

初めて外国語映画賞を受賞したのは黒澤明監督作品

日本の作品がたびたびノミネートされている「外国語映画賞」ですが、初めてノミネートされたのは市川崑監督の『ビルマの竪琴』でした。これが第30回(1958年開催)のことで、それ以降は第34回(1962年開催)で木下惠介監督の『永遠の人』、第36回(1964年開催)で中村登監督の『古都』など、日本の作品は多数ノミネートされますが、しかしなかなか受賞することはできませんでした。

初めて受賞したのは、第48回(1976年開催)でノミネートされた、黒澤明監督の『デルス・ウザーラ』でした。本作は日本・ソ連(現:ロシア)の合作映画で、黒澤明監督は脚本も担当しました。

しかし、外国語映画賞もまた受賞するのが難しい部門。『デルス・ウザーラ』以降は、第81回(2009年開催)の滝田洋二郎監督の『おくりびと』まで、受賞作品は現れませんでした。それだけに、今年のアカデミー賞にノミネートされた『万引き家族』は10年ぶりの受賞が期待されるところです。

近年の躍進が目立つ長編アニメ賞

今回のアカデミー賞でも細田守監督の『未来のミライ』がノミネートされているように、「長編アニメ賞」では日本の作品の躍進が目立ちます。ただ、初めて日本の作品がノミネートされたのは、2003年に行われた第75回と最近の話(この部門自体が第74回から開設された新しい賞でもあるのですが……)。
このときノミネートされたのが、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』です。みなさんもご存じのように見事に受賞しました。

ジブリ作品は第78回(2006年開催)で『ハウルの動く城』、第86回(2014年開催)で『風立ちぬ』、第87回(2015年開催)で『かぐや姫の物語』、第88回(2016年開催)で『思い出のマーニー』、第89回(2017年開催)で『レッドタートル ある島の物語』と、計6作品がノミネートされました。

アカデミー賞では、長編アニメ賞のほかに「短編アニメ賞」という部門もあります。こちらは1932年設立の歴史ある賞で、日本の作品は第75回(2003年開催)で山村浩二監督の『頭山』、第81回(2009年開催)で加藤久仁生監督の『つみきのいえ』の2作品がノミネートされています。
このうち、『つみきのいえ』が受賞を果たしています。初の快挙ということで大きく報じられ、話題になりましたね。

日本人が多く受賞している特別賞

黒澤明監督の『羅生門』が受賞した名誉賞などの特別賞は、映画文化に大きく貢献するなど、顕著な功績のあった人や作品に対して贈られる賞です。例えば、映画文化に大きく貢献したプロデューサーに贈られるアービング・G・タルバーグ賞や、映画に関して技術面で大きく貢献した人に贈られるゴードン・E・ソーヤー賞などがあります。

他に、「映画の発展に多大な影響を与えた科学技術を生み出した技術者」に贈られる「科学技術賞」という特別賞もあるのはご存じでしょうか? 実は多くの日本人技術者が、この科学技術賞を受賞しているのです。

例えば、1973年開催の第45回では、映画用マクロズームレンズを開発したとして、キヤノンの向井二郎さんと広瀬隆昌さんが受賞。第54回(1982年開催)では、「映画用ネガフィルム」を製造している富士写真フイルム(現:富士フイルムホールディングス)の大西實社長(当時)が表彰されています。
第87回(2015年開催)では、ソニーの技術チームが『業務用有機ELマスターモニター』を開発したとして表彰され、第89回(2017年開催)でも、映画撮影用デジタルビデオカメラ『CineAlta』を開発したとしてソニーの技術者チームが受賞しました。

まだ日本人が関わっていない賞は?

2019年現在、アカデミー賞の部門は全部で24部門あります。以下に、各部門と日本人の初ノミネート、初受賞歴をまとめてみました。

●作品賞
ノミネートなし

●監督賞
初ノミネート:第38回(1966年開催) 勅使河原宏(『砂の女』)

●主演男優賞
ノミネートなし

●主演女優賞
ノミネートなし

●助演男優賞
初ノミネート:第30回(1958年開催) 早川雪洲(『戦場にかける橋』)

●助演女優賞
初ノミネート:第30回(1958年開催) ナンシー梅木(『サヨナラ』)
初受賞:同上

●美術賞
初ノミネート:第9回(1937年開催) 『巨星ジーグフェルド』エディ・今津

●撮影賞
初ノミネート:第43回(1971年開催)『トラ・トラ・トラ!』佐藤昌道、姫田真左久、古谷伸

●脚色賞
ノミネートなし

●録音賞
ノミネートなし

●歌曲賞
ノミネートなし

●作曲賞
初ノミネート:第39回(1967年開催)『天地創造』黛敏郎
初受賞:第60回(1988年開催)『ラストエンペラー』坂本龍一
※デヴィッド・バーン、コン・スーとの共同受賞

●編集賞
初ノミネート:第43回(1971年開催)『トラ・トラ・トラ!』井上親弥

●視覚効果賞
ノミネートなし

●脚本賞
ノミネートなし

●外国語映画賞
初ノミネート:第30回(1958年開催) 『ビルマの竪琴』(市川崑監督)
初受賞:第48回(1976年開催)『デルス・ウザーラ』(黒澤明監督)

●衣裳デザイン賞
初ノミネート:第27回(1955年開催) 『地獄門』和田三造
初受賞:同上

●音響編集賞
ノミネートなし

●短編映画賞
ノミネートなし

●長編ドキュメンタリー賞
ノミネートなし

●短編ドキュメンタリー賞
初ノミネート:第71回(1999年開催) 『ザ・パーソナルズ 黄昏のロマンス』(伊比恵子監督)
初受賞:同上

●メイクアップ&ヘアスタイリング賞
初ノミネート:第79回(2007年開催) 『もしも昨日が選べたら』辻一弘
初受賞:第90回(2018年開催)『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』辻一弘

●長編アニメ賞
初ノミネート:第75回(2003年開催)『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督)
初受賞:同上

●短編アニメ賞
初ノミネート:第75回(2003年開催)『頭山』(山村浩二監督)
初受賞:第81回(2009年開催)『つみきのいえ』(加藤久仁生監督)

これまでにノミネートされたことがないのは11部門。ほぼ半分ですね。いずれもノミネート候補に挙がるまで高き壁が待ち受ける部門ですが、もしかしたら近い将来、日本人がノミネートされたことがない部門の方が少なくなるかもしれません。

アカデミー賞で日本人が関わった歴史をご紹介しました。アカデミー賞と聞くと日本人から縁遠い賞だと思いがちですが、これほど多くの日本人がノミネートされ、見事に受賞を果たしているのです。
また、「科学技術賞」という賞があり、日本人が多く表彰されていることを知らないという人は多いのではないでしょうか? こうした日本人とアカデミー賞の関わりを知っておけば、今後のアカデミー賞がより楽しめますよ!

(中田ボンベ@dcp)

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好きなものはチョコとビールと音楽と映画。ネトフリ廃人。ときどき絵を描きます。
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