『ターミネーター4』の舞台は2018年! 物議を醸した問題作を今考察
『ターミネーター』シリーズの4作目として、2009年に公開された『ターミネーター4』。シリーズを通してのキーマンであるジョン・コナーが所属するレジスタンスと、スカイネット率いる機械軍との戦いを描いた作品です。実は本作の舞台となるのが2018年。昨年なのです。今回は、実際とは異なる2018年の世界を描いた『ターミネーター4』。そして、2019年に公開が予定されている、キャメロン監督の復帰作『ターミネーター:ダーク・フェイト(原題)』など、『ターミネーター』シリーズをまとめてご紹介します。
『ターミネーター』の歴史を振り返る。
『ターミネーター4』は、シリーズ1作目の『ターミネーター』(1984年米公開)につながる(予定だった)ストーリーを描いています。そのため、シリーズ通してのキーマンや用語が数多く登場するので、いきなり『ターミネーター4』を見るよりは、第1作から順番に見たほうがより深く楽しめます。まずは『ターミネーター』『ターミネーター2』『ターミネーター3』のストーリーをご紹介します。
※以下、ネタバレを含みます
『ターミネーター』(1984年米公開)
1作目では、サラ・コナーという女性を抹殺するために、2029年の近未来からターミネーター「T-800」が送り込まれます。サラは、機械軍の脅威となるジョン・コナーの母親となる人物なので、ジョンを産む前に抹殺しようとするのです。サラは、同じく未来から来た人類抵抗軍のカイルと協力してT-800と戦います。最終決戦でカイルが犠牲になりますが、何とかT-800を撃退。それから数カ月後、共に戦う中で絆を育んだカイルとの子供を身ごもっていたサラは、スカイネットとの戦いを決意するのでした。
『ターミネーター2』(1991年米公開)
1作目から10年後を描いた本作。精神病患者として警察病院へ収監されているサラは、カイルとの間に生まれた息子のジョンを、養父母のもとに預けていました。しかし、またもや未来から「T-1000」という最新モデルのターミネーターが送り込まれます。彼の目的はジョンの抹殺でした。それを食い止めるため、未来のジョンが「過去の自分を守るよう」にプログラムを書き換えたT-800を送り込みます。T-800の奮闘により、なんとかT-1000を退けることに成功しますが、T-800は溶鉱炉に沈んでしまうのでした。この戦いにより、スカイネットの反乱による核攻撃「審判の日」は回避され、サラとジョンは未来に対し希望の光を見出すのでした。
『ターミネーター3』(2003年米公開)
3作目はジョンが大人になってからの物語。今回は、ジョンと将来彼の妻となるケイトを抹殺するために、T-1000の性能を遙かに凌ぐ、強力なターミネーター「T-X」が未来から送り込まれます。一方、人類抵抗軍はジョンたちを保護するためにT-800の改良版T-850を送り込み、これに対抗。T-850は破壊されながらもT-Xを退け、無事にジョンたちを守り抜き、核シェルターに閉じ込めます。そこで目にした驚愕の光景、そして隠されていたT-850の本当の使命とは……
『ターミネーター4』の気になる内容は?
4作目である『ターミネーター4』は、「スカイネット」による核攻撃を受けた「審判の日(ジャッジメント・デイ)」後の荒廃した世界が舞台。「審判の日」を生き延び、レジスタンスの部隊長となったジョン・コナーが、未来でどんな戦いを繰り広げているのか。そして1作目で過去に送り込まれた「T-800」は、どのようにして開発されたのかを描いています。
ただ本作は「ターミネーター」シリーズだと思って見ると、かなり肩透かしを食らう作品でもあります。これまでのシリーズには「未来から送り込まれた強力なターミネーターを撃退する」という、一貫したコンセプトがありました。そのため、ターミネーターに襲われるスリルが味わえたり、淡々と任務を遂行しようとする冷酷さに恐怖を覚えたりなど、パニックアクション的な面白さがあったのです。
しかし、本作は基本的に武装勢力同士のぶつかり合い。スカイネットの基地を高性能ミサイルで爆撃したり、武装した兵士たちをヘリで送り込んでロボットたちを破壊していくなど、とても世界が壊滅した「審判の日」を乗り越えてきたとは思えないほど、豪華な装備で戦えているのです。
もちろん、大迫力の戦闘シーンは見応えがありますし、SFアクションとしては十分に満足のいく内容にはなっています。ただ、ターミネーターとして見ると、ストーリー展開や、キャラクターの掘り下げが不十分で、どうしても物足りなく感じてしまうでしょう。そのため、シリーズのファンはもちろん、一般の映画ファンからも「面白くない」との評価を受けました。実際、興行収入も製作費が回収できないほど少なく、製作会社は倒産してしまいます。
キャメロン監督復帰の「ターミネーター」シリーズ最新作タイトルが発表
ファンからも見放されてしまった『ターミネーター4』は、実は新シリーズ3部作の序章という位置付けでした。つまり「ここから新たなターミネーターが始まる!」というものだったのです。しかし、前述のようにファンから見放され、製作会社も倒産してしまったため、予定されていた続編はお蔵入りとなりました。
ちなみに本作の後「これこそが新3部作の第1弾!」として、ターミネーターシリーズのリブート『ターミネーター:新起動/ジェニシス』が製作されました。こちらは世界興行収入4億4千万ドル(約527億円)を突破。シリーズ第2位の成績を記録し大ヒットをしましたが、批評家の見解は否定的なものが多く、北米での興行収入は予想を下回る結果となりました。
こうした結果に、ついにはシリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロンから厳しい判断が下されます。なんと『ターミネーター3』『ターミネーター4』『ターミネーター:新起動/ジェニシス』、およびテレビシリーズの「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」を、関連作品として認めないと明言したのです。つまり「なかったこと」にされてしまいました。
ただ、それで終わるキャメロン監督ではありません。監督自身がプロデューサーと原案を担当した『ターミネーター:ダーク・フェイト(原題)』の、全米公開(2019年11月1日予定)が決定したのです!!
こちらは『ターミネーター2』の直接の続編となる作品なのですが、メインのストーリーは未だ謎のまま。また、シリーズに欠かせない存在の「ジョン・コナー」の不在など、さまざまなうわさがささやかれています。ただ、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトンや、T-800役のアーノルド・シュワルツェネッガーの再登場は確定しているので、続報を期待して待ちましょう!
まとめ
「新3部作」の序章となる作品として期待されたものの残念ながらヒットせず、シリーズの生みの親からもなかったことにされるなど、悲劇の作品となってしまった『ターミネーター4』。ただ、ここまで辛辣な評価だと逆に見てみたくもなりませんか? また『ターミネーター:ダーク・フェイト(原題)』の公開前に、『ターミネーター』シリーズをおさらいしてみるのも、おすすめですよ!!
(中田ボンベ@dcp)