「アイドル」を諦めない。韓国系YouTuberヒョクの花道<꽃길>の歩き方
韓国語には「꽃길만 걷자(花道だけを歩こう)」という言葉があります。これは、ただ単に花の道を歩く、という意味ではなく「いばらの道を歩かずに花道を歩こう」つまり、「これからはつらいことではなく、良いことだけが起こるように」という願いが込められています。そんな言葉をかけたくなる人がここに一人……韓国系YouTuberとして活躍中のHyuk(ヒョク)さんです。今回は、ヒョクさんの過去・現在・未来、そしてまさにいま、自分の夢へと突き進んでいる姿から、私たち自身の将来を考えるきっかけを探っていきます。
【INDEX】
1. 泣いて頼む母のため、諦めた夢
2. 自分の人生を生きる決意
3. YouTubeは、生活の一部
4.
日韓を翔けるアイドルに
5. 他人がやり遂げて羨む人生は後悔だけ
6. 編集後記
「普通の就職を」泣いて頼む
母のため、諦めた夢
――ヒョクさんは「アイドルになる」という夢を子どものころからずっと抱いているそうですが、その夢はなかなか実現できなかったんですよね?
僕が中学生のころ、家族で日本に引っ越してきたのですが、お母さんとお父さんが日本での生活に馴染めず苦労しているのを見て、自分の夢を一回諦めて普通に就職しようと決めました。高校生のころはダンス教室に通っていて、オーディションの話などもありましたが、それも受けず、国立大学を目指しました。
アイドルになりたいということは、一度親にも話したんですが、お母さんは泣きながら「頼むから普通の就職をしてくれ」と。当時は親のために自分の夢を諦めることも納得はしていました。親に苦労してほしくない、っていう気持ちのが強かったです。
――アイドルを目指すことに関して、親以外に周囲から反対されることも?
もちろんまわりから反対されることもあります。傷ついて、泣きながらシャワーを浴びたこともあります。でも、何年経っても諦めきれなかった。高校生のときも、大学生のときも、社会人になっても、やっぱりずっとどこかに「アイドルになりたい」というのがありました。周りに地下アイドルをやっている友達もいたんですが、そのころは生活が苦しいはずの地下アイドルでさえ羨ましいと思っていました。
運命かもしれない。
自分の人生を生きる決意
――現在は、その夢の実現に近づいているわけですが、どうやってここまで?
大学を卒業して一般の企業に就職した後も、趣味としてダンスは続けたくて、ダンススタジオに行きました。そこでレッスンを受けたら、先生から「ダンスコンテストに出てみない?」と声を掛けてもらって。それに出てみたら、今度はプロデューサーみたいな方から声をかけられて……そこで練習生のオーディションに合格し、約1年間練習生として活動しました。でもそのときはもう一般の企業で働いていましたから、お仕事と練習生を並行することで体調を崩してしまい、結局はどちらもやめてフリーで活動している中で、最終的に今の事務所に所属することになりました。
もともとは趣味のつもりで行ったダンススタジオですし、自分から進んで何かしていなくても、そういったお仕事が舞い込んできたとき「あ、これは運命なのかな」と、もう一度その道に進もうと思いました。大学も卒業して、社会人になって、あれこれ自分でできるようになってから、「あ、別に働くってひとつだけじゃないな」って思いはじめましたね。他の道で、自分の人生を歩みたいなって。
――つらい過去もたくさん経験されてきた中で、ヒョクさんが花道<꽃길>を歩くために、今まで大切にしてきたものは?
「ファン」ですね(即答)。KCON2016(※)に出演したとき、4~50人の方が来てくださって、そのとき初めて「わぁ、こんなにたくさんいらっしゃるんだ」と知って、そこから考え方が変わるようになりました。その方たちは、本当に僕に会いたくて来てくださった方だと思うので、そのときから実際に足を運んで下さるファンの方は、本当に大事にしようと思いはじめました。
(※KCONとは……韓国コスメや韓国フードを実際に体感できるブースやプログラムが多数あり、K-POPアーティスト出演のライブも同時に開催される、世界最大規模のK-カルチャーイベント。)
YouTubeは、
もはや生活の一部。
――そもそもヒョクさんがYouTuberをはじめたきっかけは?
最初は正直マルチタレント業のPR目的でした。頭のどこかで「お仕事」という意識があったのですが、ファンの方とコミュニケーションを取るようになってきてからは、いくら時間をかけてもなんとも思わなくなってきました。やればやった分だけ、ファンの方や視聴者の方から、レスポンスが返ってきているような気がしています。今はもう生活の一部です。
▲昔はカメラすら見られなかったようですが、今はむしろカメラを見て喋るというより、視聴者さんに喋っているつもりで撮るそう。だから大声にもなるとのこと。
――YouTuberとして、普段から意識していることは?
韓国系のYouTuberさんって今となってはたくさんいますが、僕のチャンネルは優しい世界観で、つらくなったときに来られるような場所になればいいなと思っています。僕の視聴者さんの層は学生さん、特に高校生が多いです。いちばん悩みの多い時期ですよね。そんな方たちが、気軽に相談できるチャンネルになればいいなと。
オンラインとオフライン、
韓国と日本を翔けるアイドルに
――今後もYouTubeは続けていきますか?
続けていく……うーん、そうですね……(悩み中)。ただ、今年は目標としているものが別であるので、本当にブログのような形になっちゃうかもしれないです。ある意味タイミングが悪くてですね……YouTubeもやっと人気になってきたところだったのに、という思いもあります。
他のお仕事のお話が来る直前までは、いろいろとYouTuberとしてのプランを練っていました。何月までにこれを達成して、とか具体的に。でもそのプランもすべて崩れてしまいました。自分の夢の実現に向かっていろいろ準備はしているけれど、今は何をとったらいいのか……その葛藤ですね。ただ続けたい気持ちはあります。
――最終的な目標は?
最終目標は「韓国でアイドル活動をすること」です。それは高校生くらいからずっと。ただ、最近は何をするにおいてもSNSが一番PRとして有効なんですよね。なので、YouTubeなどのオンラインとオフライン両方で活動できるアイドルになりたいです。あとは、僕にとって「日本は育った故郷」「韓国は生まれた故郷」。どちらも故郷なので、日本と韓国両方で活動したいなとも思っています。
他人がやり遂げて羨む、
そんな人生は後悔しかない
――結果的にヒョクさんは、本当に好きなことを仕事にしたわけですが、いまの大学生世代もそうしたほうがいいと思いますか?
好きなことを仕事にしたほうがいいよ、というのが50%。あとの50%は現実は甘くないよって(笑)。難しいのは好きなことを「見つける」というより、好きなことでも「維持する」ことだと思います。何事も続けるのは大変ですから。
――最後に、将来について悩みや葛藤を抱えている学生さんへメッセージを。
一般企業に就職することは、悪いことではないと思います。それも一つの選択肢ですし、その道もいいと思います。ただ、もし自分がやりたいことがない、もしくはやりたいことが別にあるんだったら、やってみたほうが僕はいいと思います。ありきたりな言葉ですが、一度きりの人生だし、自分の人生は自分しか生きられないから。自分がやりたいことをやらずに、他人がそれをやり遂げたのを見て「いいな」って思うのは、僕はもう散々経験してきました。経験談からいうとそれは後悔しか残らない。だから学生のみなさんには「諦めないで」と伝えたいです。
編集後記~いちファンの
編集担当が見るヒョクさん
座右の銘はなんですか?と聞くと、「正直は一生の宝」と答えたヒョクさん。撮影中、部屋の椅子や机の移動が必要なときも、積極的に手を貸してくれました。現場での姿も、まさに“優しい世界”を作り出す彼の「正直さ」そのもの。ファンにも周囲の人にも「正直でいる」ことが、彼が夢の実現に近づくことができた大きな要因のひとつではないでしょうか。
文:編集部 すい
写真:洞澤佐智子
プロフィール:Hyuk(ヒョク)
韓国出身。12歳から日本に在住し、ダンサー、モデル、イベントMCなどタレント活動をするかたわら、コスメやK-POPなど韓国系のネタを取り上げた動画がYouTubeで人気となる。チャンネル登録数は、現在約26万人。
YouTubeチャンネル:Hyukヒョク
Twitter:@Hyuk_0115
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<イベント概要>
Hyuk Valentine‘s Day スペシャルファンミーティング in TOKYO
開催日:2019年2月11日(月・祝)
時 間:16時開場/17時開演
会 場:TIAT SKY HALL(羽田空港国際線旅客ターミナル4F)
http://www.tiatskyhall.jp/access/
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後日マイナビ学生の窓口にて、この単独ファンミーティングの様子をレポートいたします!お楽しみに!