【連載】『あの人の学生時代。』 ♯9:テレビ東京プロデューサー 伊藤隆行「何も無いことを恥じるな」
著名人の方々に大学時代のエピソードを伺うとともに、今の現役大学生に熱いエールを送ってもらおうという本連載。今回のゲストは、テレビ東京の人気プロデューサー・伊藤隆行さんです。『やりすぎコージー』『モヤモヤさまぁ~ず2』など、大学生にも人気のテレビ東京のバラエティ番組を数多く手掛けるテレビマンの学生時代はどのようなものだったのでしょうか? マスコミやテレビ業界に興味のある方は必見です。
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ただ「なんとなく」で流されるままに大学へ進む
――伊藤さんは早稲田大学政治経済学部出身ですが、なぜ早稲田大学を、そしてなぜこの学部を選ばれたのでしょうか?
「なんとなく」なんです。高校が早稲田大学高等学院で、勉強すればそのまま早稲田に進めたので、進める範囲で一番頭がよさそうな政治経済学部になんとなくで入ったんですよ。
――何かビジョンがあって、そこに向かって進むということではなかったのですね。
そう、当時はあまり自分の意思がなかったんです。早大学院も塾の先生に受験を薦められて、母親にも「受けてみたら?」と言われたので受けましたし、高校時代も野球はしていたものの、なんとなく過ごしていました。節目節目で目の前にある中から選択しているだけでした。親も何か言うタイプじゃなかったですからね。
――「なんとなく」で進まれた大学ですが、どのような大学生活を送られましたか?
それまでずっとやっていた野球をやめて「軸」がなくなったんです。それで「何にもなくなっちゃったなぁ……」と思っていたんですけど、タイミングよく母校から野球のコーチをしてくれって言われたんですよ。週に3、4日はコーチしていましたから、大学にはほとんど行ってなかったです。
――大学生活の中で一つの「軸」ができたのですね。
まあそれも自分で志願したのではなく向こうから来た話ですから、やっぱりそこに自分の意思はなかったですよね。大学でも目立つことなく「なんとなく」で生きていたと思います。
■自分にハマるものを探した大学生活
――「なんとなく」で大学生活を送る中で、「何かやらなきゃ」という焦りみたいなものはありませんでしたか?
ありましたよ。だから自分にハマる何かがないか、いろいろとやりました。野球のサークルに入ったり、留学生が多かったので留学生と交流するサークルに入ったり。でもびっくりするくらいどれもハマらないんですよね。どれも「おもしろいからまた行きたい!」とは思わなかったです。
――大学のサークルの中にはどれも得るものはなかったと……
ただ飲んで話していただけでしたからね。でもそのときの知り合いはいまだに会ったりしますから、得るものはあったのかもしれません。ただ授業もなんとなくおもしろそうなのは行って、それ以外は図書館で寝ていて……。本当に何もなかったですね。ポリシーも、強みも……。「探さなきゃ!」と渇望して探したりもしましたたけど、見事に見つかりませんでした。友達関係も深く付き合うことはなく、広く浅くで。
――ある意味では、自由な学生生活を謳歌していたのかもしれませんね。
そうですね。高田馬場でゴロゴロしていました。僕は何しに大学行ってたんでしょうね(笑)。