【連載】『あの人の学生時代。』#6:土屋太鳳「大学で一生の仲間に出会えた」 3ページ目
映画ではラストシーンにキュンキュンしてください!
ーーところで、6月30日公開の映画『兄に愛されすぎて困ってます』では女子高生・せとかを演じている土屋さんですが、役作りには苦労されましたか?
せとかちゃんは、外見も中身もホントに自分とは真逆だったので、こんなかわいい子を自分が演じたら失礼になってしまうのではないかと思って、少しドキドキしました。
ーー真逆なんですか? 意外です!
でも、共通しているところもあって、それは「自分で自分のことをわかっていない」ところだったり、本物の何かを探しているところ。せとかちゃんは告白で12連敗しているんですけど、それはただ「好きだから告白している」という軽さではなく、誰かに自分のことを受け止めてほしいという気持ちだったり、本能的に感じている「幸せなんだけど、なにか足りない」っていう不安みたいなものがあるのではないかと思っていて。そういうところは共通していると感じたので、しっかり心を込めて演じたいなと思いました。
ーー中でも一番キュンキュンしたシーンはどこでしたか?
私、本当に、演じているときは必死すぎてわからないんです(笑)。キュンキュンするところって、たぶん感情が激しく動いているときだったりするので……。でも、いちばんキュンとしてほしいなと思うのは、ラストシーンです。兄弟としてではなく、ひとりの男性と女性としてしっかり向き合った姿が描かれているので、伝わればいいなと思います。
ーー素の自分が作品に出てしまったかも?と思うシーンはありますか?
……お肉を食べてるところかな。気がついたら本気で食べていました(笑)。
ーー共演者の方々の印象はどうでしたか?
片寄(涼太)さんも千葉(雄大)さんも、まわりから求められている自分と、自分がまわりに表現したいもののバランスを取るのがうまい方だなと思いました。いい意味でみんなストイックで、まわりに気を遣われていて。現場は同世代同士みんなで会話して爆笑したり、変な写真を撮ったりと、すごくコミュニケーションの多い現場だったなって思いますね。片寄さんが初日に扇子で空気を送ってくれたり、日傘をさしてくれたり、すごく歩み寄ってくださったので、しっかり現場でも妹としていることができて、感謝しています。
ーー千葉さんはどうでしたか?
千葉さんは初めて共演させていただいたとき(ドラマ『桜蘭高校ホスト部』)は、結構ハイテンションな役だったんですね。私はドSなキャラだったんですけど、今回はお互い真逆な役を演じるおもしろさがありました。しかも終盤のシーンで、初めて共演させていただいたときに私が千葉さんにした「ほっぺたをつねる」というシーンをサプライズで入れてくださったんです! 過去の作品で出会ったこともしっかり今につなげてくださっていて、うれしかったです。
ーーちなみに、せとかには人生最大のモテ期が到来していましたが、土屋さん自身の最大のモテ期はいつでしたか?
まだきてないんです(笑)! モテ期……あるのかなぁ?
現在、仕事と学業を両立しながら頑張っている真っ最中の土屋さん。「大事な仲間が一足先に卒業してしまったのはさみしい?」と聞くと、「さみしかったですけど、私はまだまだ頑張らないといけません。みんなは社会人になって、今はいろんな世界で頑張っていて『太鳳も大学で頑張るからみんなも頑張って!』って、みんなを送りました。みんなからは『太鳳、絶対に卒業してね!』と言われてるんで、絶対卒業します!」と力強い言葉が返ってきました。
そんな土屋さんが同世代である現役大学生に向けて伝えたいことは「今を大事に味わって」。仕事で忙しい中も、なんとか大学に通う時間を作り、1日1日を大切に過ごしている土屋さんらしいメッセージでした。
<プロフィール>
つちや・たお
●1995年2月3日生まれ。東京都出身。O型。おもな出演作は映画『映画 鈴木先生』『青空エール』『PとJK』、ドラマ『連続テレビ小説 まれ』(NHK)『下町ロケット』(TBS系)『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系)など。主演映画『兄に愛されすぎて困ってます』が6月30日に公開される。その後も『トリガール!』(2017年9月1日全国公開)、『8年越しの花嫁』(2017年冬公開予定)、『となりの怪物くん』(2018年公開予定)と主演作が立て続けに公開され、また2017年8月12日公開のアニメーション映画『フェリシーと夢のトウシューズ』では初の吹き替えに挑戦するなど、幅広く活躍中。
文:落合由希
写真:為広麻里