ケアマネージャーとはどんな仕事? なるにはどうすればいい?
ケアマネージャーを目指したいと考えている人もいるのではないでしょうか。
近年非常に注目されている仕事のひとつが「ケアマネージャー」は介護に関する相談に乗り、ケアプランを作成する専門職です。
高齢化社会に伴って介護を必要とする人が増えたことで非常にニーズが高まっていることから、大学生のみなさんの中にも将来のケアマネージャーになる道を考えているという人もいるでしょう。
そこで今回は、「ケアマネージャー」とはどんな仕事か、なるにはどうすればいいかについてご紹介します。
ケアマネージャーとはどんな仕事?
ケアマネージャーは「介護支援専門員」と呼び、介護者本人や家族からの相談・ヒアリングのうえケアプランの提案・作成・提出する相談のプロフェッショナル職です。
もし家族や自分が市区町村から「要介護認定」を受けた場合、介護保険サービスを利用することになるでしょう。
その際、ケアマネージャーたちはどのような介護サービスを受けるかという介護サービス計画「ケアプラン」を立て、市区町村に提出しなければいけません。
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ケアマネージャーになるには資格が必要!
ケアマネージャーになるには「介護支援専門員」の資格を得る必要があります。
介護支援専門員は、2000年の「介護保険制度」導入に伴い制定された資格です。
ケアマネージャーたちは介護に関する知識と経験だけでなく、誤ったサービスが行われていないかなど行政分野の知識も必要な仕事なので、誰でもできるわけではありません。
【2021年度版】ケアマネージャーの資格を得るにはどうすればいい?
ケアマネージャーの資格を得るには定められた受験資格を満たした上で、都道府県が毎年1回実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があります。
その後「介護支援専門員実務研修」を全て受講することで介護支援専門員として初めて登録できます。
また、2018年からは介護業務実務経験を問われる項目が受験資格として廃止となったことにより既定の国家資格と従事年数・実務経験日数さえ満たせば門戸が開けた資格です。
「介護支援専門員実務研修受講試験」の受験資格は以下の通りで、1+2あるいは3を満たせば受験資格が発生します。
1. 特定の国家資格保持者 2. 介護福祉士を含む国家資格(医師、看護士、薬剤師、社会福祉士など)を持ち5年以上かつ900日以上の実務経験がある 3. 5年以上かつ900日以上の相談援助業務の実務経験者であること |
条件1:特定の国家資格保持者が既定の実務経験を持つ
1番の「特定の国家資格保有者」というのは、以下の業務です。
・医師 ・歯科医師 ・薬剤師 ・保健師 ・助産師 ・看護師 ・准看護師 ・理学療法士 ・作業療法士 ・社会福祉士 ・介護福祉士 ・視能訓練士 ・義肢装具士 ・歯科衛生士 ・言語聴覚士 ・あん摩マッサージ指圧師 ・はり師 ・きゅう師 ・柔道整復師 ・栄養士 ・管理栄養士 ・精神保健福祉士 |
2番目の項目は介護福祉士を含む上記の国家資格を持っている人物が、国家資格の登録日以降通算5年以上経過しており、対人援助業務の実務経験が900日以上あることで、ケアマネージャーの試験受験資格が与えられるということになります。
中には、5年の実務経験があれば受けられると安易に考えているケースがあるようですので、自分の実務経験が受験資格に該当しているかどうかはきちんとチェックすることが大切です。
>>東京都福祉保健財団 ケアマネ試験の受験資格、国家資格等に基づく業務に従事する者
条件2:既定の経験を得た人が相談援助業務の実務経験者
以下の施設で相談員として 5年以上従事し、かつ900日以上の実務経験がある人が対象です。
・特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人福祉施設、介護予防特定施設入居者生活介護などの生活相談員 ・介護老人保健施設における支援相談員 ・計画相談支援、障害児相談支援における相談支援専門員 ・生活困窮者自立相談支援事業などにおける主任相談支援員 |
【参照:東京都福祉保健財団 受験資格対象業務 別表2 】
介護支援専門員実務研修受講試験を受けるための実務日数について
介護支援専門員実務研修受講試験を受けるための受験資格は、試験前日までに得れば問題ないと言えます。
・当該業務が通算して5年以上かどうか
・当該業務に900日以上従事したかどうか
がチェックポイントです。
もし、応募時点で日数が足りない場合は、「実務経験見込証明書」を提出することで受験可能となるため、試験前に準備を忘れないようにしましょう。
日数にカウントされない業務
実務経験日数にカウントされない業務も存在しますので、ケアマネージャーを目指す場合は長期的に計画を立て、自身の実務日数についてよく確認することをおすすめします。
カウントされない業務 |
・研究業務 ・教育業務 ・事務 ・営業 など |
無資格者が最短でケアマネージャーになろうとするためには?
無資格の状態から最短でケアマネージャーを目指したい方もいるかもしれません。
無資格者が最短でケアマネージャーになるためには介護福祉士になることが近道ですが、それでも最低8年はかかるでしょう。
ケアマネージャーを最短でなろうとする場合は、国家資格である介護福祉士資格を取得した後に実務経験を5年積む必要があります。
また、介護福祉士になるためには国家試験受験資格である「実務経験3年」を満たなければなりません。
【2021年度版】介護支援専門員実務研修受講試験の内容
ケアマネージャーになるための試験は「介護支援分野」と「保健医療福祉サービス分野」の2分野から選択形式で出題されます。
この試験に合格した後に実務研修を受けることになり、終わればケアマネージャーとして登録可能です。
受検する場所が決まっている
ケアマネージャー資格は各都道府県が管理している公的資格です。
試験申し込み現在の状況や所属する都道府県、あるいは住所地によって受検地が異なるため注意しましょう。
申し込み時の状況や受検地をよく確認したうえで、各都道府県のルールに沿って受験することが大切です。
科目免除制度が廃止!?
前述の通り「介護支援専門員実務研修受講試験」は過去の規定により国家資格を持っている場合は一部科目を免除されていました。
しかし、2018年以降、高齢者社会への変化に対応するためにケアマネージャーそのものの質や専門背を高めることとなった受験資格の見直しにより、国家資格の有無にかかわらず受検全員が同じ科目を受けるというルールになりました。
気になる介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は?
厚生労働省が公開している「第23回 介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」の統計データによると、2020年(令和2年)に行われた第23回は4万6,415人が受験し、合格者は8,200人、合格率は17.7%でした。
2018年からの受験資格変更により受験者は減ったものの、合格率は17.7%という点から合格者約1割の難関試験だといえます。
また、受験資格のうちのひとつ「国家資格取得」が難関ですよね。
ちなみに第23回の職種別合格者数も公開されており、一番多かったのは合格者全体の55.9%を占めた「介護福祉士」、ついで全体の16.9%だった看護師・准看護師でした。
ケアマネージャーは介護福祉士の仕事の幅をより広げる資格であることから、取得する人が多いと言えます。