友情・努力・勝利じゃない?! 少年ジャンプで連載された異端な漫画7選
●『暗黒神話』諸星大二郎
『生物都市』で手塚賞を受賞した天才・諸星大二郎先生が、『週刊少年ジャンプ』1976年20-25号で連載した作品。ヤマトタケルの冒険説話をベースに、古代日本の遺跡、神話などを大胆につなぎ合わせた、ミステリーのような味わいのある壮大なストーリーです。前作『妖怪ハンター』にはこの世ならざるものとの「戦い」といった要素があり、そこがまだしもジャンプっぽかったのですが、本作にはそのようなものはありません。本作と対になる『孔子暗黒伝』と共に『週刊少年ジャンプ』で連載されたことが奇跡のようです。
●『コスモス・エンド』笠原俊夫
『週刊少年ジャンプ』1982年20-32号で連載された漫画です。太陽の1億倍の質量を持つ超巨大ブラックホ-ル「ギンヌンガ・ガップ」が銀河の中心で発見されます。ギンヌンガ・ガップは銀河系の多数の恒星をのみ込み、その影響が広がりつつありました。観測船「イグドラジール」が観測のために旅立つのですが……。宇宙の消滅を防ぐために奮闘する人類の物語ですが、あまりにもハードSFな内容であったため、読者からの支持を広く集めることはできなかったようです。しかし、その一方で強烈な印象を残した作品です。
●『海人ゴンズイ』ジョージ秋山
『週刊少年ジャンプ』1984年40-50号で連載された漫画です。1854年、時化(しけ)に遭って難破した西洋船から、黒人奴隷の子供が一人脱出し、日本の流人の島「神無神島」に流れ着きます。彼・ゴンズイはその島で生きていくことになるのですが……。秋山先生の描写があまりにも強烈であったため、読者にショックを与えた問題作です。残念ながら11週で終了となってしまったため、今でもカルト作として語られます。また本作は秋山先生がジャンプに描いた最後の作品となりました。
●『キックオフ』ちば拓
『週刊少年ジャンプ』1982年5号-1983年50号で連載された漫画です。高校でサッカー部に入った主人公・永井太陽と、同部マネジャー・川村由美の日常を描いたラブコメ作品。永井太陽と川村由美が見つめ合いながら、「永井くん」「由美ちゃん」と心の中でつぶやく数コマが決めカット。今の言葉でいえば「リア充」な二人の、うらやまけしからん見つめ合いは読者をぼうぜんとさせました。ちば拓先生の描線も『週刊少年サンデー』にこそぴったりと思わせるかわいくきれいなもので、同作は少年ジャンプ史の中でも異端な作品といえましょう。