「ご一緒しませんか」はどう使う? ―年上の人を誘うときの正しい敬語の使い方
ランチや飲み会に誰かを誘うとき、「一緒に行こう!」と言えるのは気心の知れた同僚や友達。同じ同僚でもちょっと距離感があったり、先輩社員や上司、取引先の担当者を誘ったりする場合は、そういうわけにはいきません。何て言ったら一緒に行ってもらえるか、押しつけがましいと思われないかなど、いろいろ考えてしまう人も多いのではないでしょうか。
もしあなたが年上の人や立場が上の人を誘う立場になったら、どのように声をかけるでしょう。相手と自分の関係性を考えると、普通の言葉ではNG。当然敬語をまじえて話をする必要があります。その敬語には丁寧語のほか、尊敬語、謙譲語があることはご存知の通り。ただ、使い方に気をつけないと、間違って自分を尊敬する言い方をするとか、相手がへりくだるような言い方になることがあるので要注意です。そこで、年上の人を何かに誘うときの正しい敬語の使い方についてお話ししていきましょう。
よく使われる「ご一緒しませんか」というフレーズ
相手が年上、年下に限らず、「ご一緒しませんか」というのは一般的な誘い文句です。敬語としても間違っていない言葉ですが、ワンランクアップを考えているのなら、別のフレーズを使ってみてもいいでしょう。
例えば「ご一緒にいかがですか」、あるいは「よろしければご一緒にいかがですか」などです。「ご一緒しませんか」に「よろしければ」をつけるだけでも、印象はより丁寧に変わります。例文をご紹介すると、以下のようなものが挙げられます。
・「これからランチに行きますが、よろしければご一緒にいかがですか?」
・「来週、飲み会を企画しました。お忙しいとは思いますがご一緒にいかがですか?」
・「こちらの席が空いていますので、よろしければご一緒しませんか?」
・「○○さんの講演会があります。お時間がありましたらご一緒にいかがですか?」
「ご一緒しませんか」と言いたいときに、間違って使いやすいフレーズ
敬語の中でも丁寧語は、言葉の前に「お」や「ご」をつけたり、終わり方を「です」「ます」「ございます」にしたりすればいいので、比較的わかりやすいといえます。しかし、尊敬語と謙譲語になると難しいですね。「ご一緒しませんか」を別の言い方にしようと考えるあまり、「ご一緒いたしませんか」や「ご一緒にまいりませんか」などと言いがちですが、これはNG。「えっ?どこが間違っているの?」と思う人のために解説しておきましょう。
よく考えずに使ってしまいそうなこれらのフレーズ。「ご一緒いたしませんか」の「いたす」は、「する」の謙譲語、「ご一緒にまいりませんか」の「まいる」は「行く、来る」の謙譲語です。謙譲語は、ご存知のように自分や自分の行動をへりくだって言うことで、相手に対する尊敬の気持ちを表現するものです。この場合、「ご一緒する」かもしれないのは、あなたが誘う年上の誰かなので、その人の行動について「いたしませんか」や「まいりませんか」を使うのは間違いということになるのです。
まとめ
何かに人を誘うというのは、思いのほか勇気の要ることです。まして相手が年上の方や上司となるとなおさらですね。でも社会に出ると、さまざまな年齢層の人とコミュニケーションを図ることが必要不可欠になります。たしかに自分が年下のほうだと、誘うよりも相手が気を遣って誘ってくれることが多いでしょう。でも、それに甘んじていてはコミュニケーション能力のアップにはつながりません。機会をみつけて、年上の人に「よろしければご一緒にいかがですか?」と一歩踏み出してみましょう。
執筆:山岸りん
短大卒業後、自動車ディーラーをはじめ金融関係、介護関係、保育、学習塾と幅広い業種での経験があり、現在は学習塾で小学生の指導に携わる。趣味はインテリア雑貨のハンドメイド。