大学生が自動車を製作?! 『全日本 学生フォーミュラ大会』2位の京都工芸繊維大「Grandelfino」インタビュー
『全日本 学生フォーミュラ大会』をご存じでしょうか? 学生自身で車を設計・製作して走らせる競技会で、そのため技術力をはじめ総合力が問われる難しい大会です。2015年の第13回大会では、オーストリアのグラーツ工科大学が総合優勝しましたが、第2位につけたのは京都工芸繊維大学のプロジェクトチームでした!
■優秀なエンジニアを育てるために開催される「Fomula SAE」!
2016年に第14回開催となる『全日本 学生フォーミュラ大会』という大会があります。これは、アメリカで1981年から開催されている「Fomula SAE」という自動車競技会の日本版です。
*……SAEは「Society of Automotive Engineers」(アメリカ自動車技術会)の略で、SAEインターナショナルは、世界中の航空機、自動車、商用車業界の関連技術の技術者・専門家が約13万人参加している団体です。
学校の教室で学ぶだけでは優秀なエンジニアを育てるのは難しいことです。この大会では、学生たちに実際に車を製作させ、その出来を競うことを通じて実践的な知識を獲得させることを目的としています。学生チームがレギュレーションに沿って製作した車は、車検の上、静的審査・動的審査の両面から評価されます。
学生が一企業のように車を製作し、実際に走らせて競う、設計力、製作力からドライビングテクニックまで、総合力が問われる競技会なのです。
■『Grandelfino(グランデルフィーノ)』は、京都工芸繊維大学のプロジェクトチーム!
京都工芸繊維大学には『全日本 学生フォーミュラ』に取り組む『Grandelfino』(以下グランデルフィーノと表記)というプロジェクトチームがあります。グランデルフィーノは、2015年の『全日本 学生フォーミュラ』で総合第2位という素晴らしい成績を修めました。
グランデルフィーノの代表である、京都工芸繊維大学 工芸科学部新3年生の中田侑甫さん、2015年の大会ではドライバーを務めた同学部新3年生の野渕頌平さんにお話を伺いました。
――『グランデルフィーノ』というチームについて教えてください。
中田代表 普通の大学サークルとは異なり、教員・学生を含めた『全日本 学生フォーミュラ大会』に出場するためのプロジェクトチームです。2006年度に京都工芸繊維大学の「学生と教員の共同プロジェクト」の第一号に採用され、活動を開始しました。大会では約80チームがエントリーしているなか、2012年度には総合優勝、その後、5位、5位、2位と上位をキープし続けています。
――自動車の製作は全部学生の手によって行っているのですか?
中田代表 購入するパーツ以外はすべて自分たちで設計していますが、製作までしているのは8割ほどです。自作が難しいパーツがあるので、それについてはスポンサーの企業様に製作していただいています。車の設計・製作はもちろんですが、部品調達やスポンサー集めも自分たちで行っています。
――現在何名所属しているのでしょうか?
中田代表 30人ほどです。主に実作業を担当するのは新2年生・3年生になります。4年生になると実作業からは引退してアドバイスをしたりといった活動です。
――新入生の皆さんはどんなことをするのですか?
中田代表 新入生はまず専門知識を身に付けないといけませんので、9月の大会までの期間は勉強会を開いてそこで学んでもらうようにしています。その後は、担当パーツを割り振ってその設計をやってもらっています。
――なるほど。車の製作にはどのくらいの時間がかかるものですか? また予算は?
中田代表 実際の製作にはだいたい2カ月ぐらいかかり、完成するのは4-5月といった感じです。予算は約300万円ですね。
――やはり車をゼロから作るのには、かなりお金がかかるのですね。
中田代表 うちはまだ少ない方ではないでしょうか。もっと予算を掛けている大学、チームはあると思います。
――スポンサードも受けているとのことですが……。
中田代表 はい。多くの企業から支援を受けています。金銭的な支援もありますが、パーツであったり、製作援助など、さまざまな援助があって、このプロジェクトは成立しています。例えば、エンジンは自動車メーカーのスズキ様から供給を受けています。