今注目の現役大学生アーティスト、山下歩にとっての大学生活とは―「やりたいことを突き詰める時間」 2ページ目

学生の窓口編集部

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■音楽以外にもさまざまなことを学んだ大学生活



――高校時代の留学で学んだことは大学生活の中でどのように生かせましたか?

入学後はだらだらと遊んで過ごした時期があったのですが、そんな中でも「自分自身を客観的に見つめ直す」ことができたのは、留学によって自分を外からみつめる、内面から探るということを習慣付けることができたからだと思います。


――いま、ご自身の大学生活を振り返ってみていかがですか?

大学ではサークルなども入らず、先ほども話したように1年、2年時は遊んで過ごしていました。今振り返ると、あれだけ時間があって、ひまな時間もあったのだから、将来どうありたいかを考え、自分のやりたいことを見付け、さらに早く行動を起こしていれば、かなり違ったのだろうなと思います。

――なかなかその時は気付けないものです……。

もちろんその時期は楽しかったのですが、「もっと早く行動しておくべきだった」というのが、後悔していることですね。

――大学生活でアルバイトはされていましたか?

サークルには入っていませんでしたが、アルバイトはいろんなものを経験しました。飲食系から福祉系などさまざまです。その中で印象深く、また楽しかったのは福祉系で、障がいのある子供たちを預かる施設や、障がいのある人の自立支援をする施設、また特別老人養護ホームで認知症のフロアなどで働きました。


▲飲食店でのアルバイト時代

――どういったことが印象的でしたか?

母親が福祉系の施設で楽しそうに働いているのを見て、興味が湧きました。それで思い切って飛び込んでみたのですが、すごく面白かったんです。大変なことも多くありましたが、印象深い経験を多くすることができました。

■最も印象深いのは『赤とんぼ』!


――現在、SNSを中心に音楽活動をされていますが、音楽活動を始めたきっかけを教えてください。


もともと音楽が好きというのもありましたが、オーストラリア留学が一番のきっかけです。留学先が音楽が盛んな学校で、音楽の授業を取っている生徒は無料で個別レッスンを受けることができ、そこで歌とギターを教えてもらいました。最初は遊びで習っていたのですが、周りは「絶対にプロになる!」という明確な夢を持っている生徒たちばかりで、彼らに触発される形で「自分も真剣にやってみようかな」と思ったんです。


――それまでは音楽の道を進むことは意識されていなかったと……。

中学時代は「音楽では食べていくことはできないだろう」と思っていたくらいです。でも、留学での経験を機に、曲や詩を書いたりするようになりました。その後、音楽会社のオーディションに応募してファイナリストになったことが自信となり、音楽の道が具体的に見え始めました。

――音楽活動をする中で、SNSなどインターネットの世界を選ばれた理由はありますか?

大学3年のときに本格的に音楽活動を始めるに当たって自分のスタイルを考えたときに、「ネットでやる方が楽しそうだし一気に広がるのでは」と考えました。そこから友達と二人で動画を撮影して公開しました。するとその動画がいきなり数万回も再生されて、驚きと共に「これだ!」と確信しましたね。

――やはり動画に大きく手応えを感じられたのは「ドライブスルー」の動画だったのでしょうか?

●『I'm Loving It!!』

いえ、海外でもよく行われているものなので、自分としては話題になったのが意外でした。ただ、こういう路線もあるんだなと勉強になりましたね。

――他にも数々の作品を手掛けられていますがお気に入り・思い入れのあるものはありますか?

テイラー・スイフトの『We Are Never Ever Getting Back Together』の日本語カバーですね。あの動画は自分の中で最初にバズったと感じた作品なので、思い出深いです。

●『We Are Never Ever Getting Back Together - 山下 歩』

――確かに話題になりましたね。

もともと日本語カバーがあったのですが、「自分ならもっと良い形にできるのでは」と思いチャレンジしました。自分の中でも納得のできるデキでしたが、動画の紹介分(コピー)を挑発的な文章にしたことでさらに注目されたんです。それがきっかけでコピーも含めて一つの作品と考えるようになりました。だから印象が強い動画の一つですね。

――他にも、昨年(2015年)に公開の『田舎の唄』も反響がすごかったですね。

●『田舎の唄 - 山下 歩』

カバー曲だけでなく、やはりオリジナルでバズらせたいと考えていたのでこの曲が注目されたのはうれしかったですし、オリジナルでも行けるんだと実感できました。

――その他で、思い入れの強い作品はありますか?

一番好きなのは、2015年に全国各地を周って動画撮影をした『赤とんぼ』です。

●『【日本一周】全国47都道府県の夕景「赤とんぼ - 山下歩」』

やはり再生回数というのは自分の中で一つのポイントなので、再生回数が多い動画は「良い動画」と思いがちです。その点、「赤とんぼ」は他に比べると再生回数は低めなのですが、改めて見ても「やっぱりいいなあ」と感じるものでもあります。夕日の映像もきれいですし、夕日を撮るために日本一周したというチャレンジも、改めてすごいことをしたんだなと感じました。

――日本の美しい原風景を山下さんの歌声と共に楽しむことができるすごい動画ですが、再生数が伸びないのは謎ですね。


▲「赤とんぼ」撮影中

そうなんですよ……。この動画は一周する過程で病気になるなど、苦労した分思い入れも強いですね。ちなみに、長野県のシーンは一瞬しか映りませんが、半そでで雪山なのでものすごく震えていますよ(笑)。


■いつかは自然に囲まれてプロデュース業を……

――今後の展望を教えてください。

音楽活動でいえば、もっと山下歩の知名度を上げていきたいなと思っています。また、『We Are Never Ever Getting Back Together』の日本語カバーをやった際に、「広告的な楽しさ」を発見しました。ですので、将来的には音楽活動だけでなく、プロデュースの仕事をしてみたいという考えがあります。どういったことをすれば広がり、話題になるかといった部分を重視して考えていきたいですね。また、いつかは大好きな自然の多い「田舎」で暮らし、そこから世界に向けて自分の作品を発信していければと思います。

――ということは、田舎暮らしをしながらプロデュースの仕事ができれば最高ですね。

それが理想ですね。何かと東京ばかりがクローズアップされていますが、田舎からでもすごいことができるんだぞというのを形にしたいです。

――山下さんにとって「大学」「大学生」とは何でしたか?

自分にとって大学生活は「自分のやりたいことをとことん突き詰める時間」でしたね。大学は自由な時間が多いのですが、なんとなく生活をしてその時間を無駄にするのではなく、好きなことを見付け、それを突き詰めてほしいです。もしやりたいことが見付かっていないのなら、それを見付けるために行動することが大事だと思います。

――そのアプローチの一つとして海外留学もアリということですね。

それは本当におすすめです!

――ありがとうございました!

2月にはGATSBY学生CM大賞で賞を獲得するなど、2016年も精力的に活動されている山下さん。今後もさまざまな作品や企画などを形にしていきたいとのことですので、みなさん楽しみに待ってみてはいかがですか?
(中田ボンベ@dcp)

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