夜トイレに行けなくなる!? 心底怖いホラー漫画のおすすめ10選
人間には「怖いものを見たい」というヘンな欲求があります。怖い思いをするのに、それを見たいというのは矛盾するようですが、怖いと思うことで「生きている」ことを実感したいのかもしれません。今回は、読むと心底怖い思いをする恐怖漫画をピックアップしてご紹介します。
●『惨劇館』御茶漬海苔
「そもそも御茶漬海苔先生の描線が怖い」という人が多くいらっしゃいます。何か不安をかき立てるような神経に障る線なのです。物語は日常と地続きに感じられるリアリティーを備えた、でも残酷なもの。描画と物語が相まって、御茶漬海苔先生の作品は読者を心底震え上がらせるものとなっています。本作は先生の真骨頂ともいうべき作品です。
●『亡霊学級』つのだじろう
つのだじろう先生は『うしろの百太郎』『恐怖新聞』という長編恐怖漫画で有名です。先生は心霊現象にも詳しいオカルト研究家としても知られています。この『亡霊学級』は『恐怖新聞』の前に描かれた1話完結のオムニバス恐怖譚です。全5話ですが、どれも心底怖い作品です。特に第2話「虫」は「ギャーッ」と叫びたくなるほど気持ち悪い話です。
●『恐怖』楳図かずお
日本の恐怖漫画の第一人者といえば、やはり楳図かずお先生でしょう。楳図先生は『少女フレンド』で『へび少女』(昭和の少女にトラウマを与えた伝説の作品)などの作品を連載してヒットしました。先生の作品は「美しくて怖い」のが特徴です。この『恐怖』は恐怖譚のオムニバス。ぞっとするほど怖い物語が詰まっていてお薦めです。
●『うずまき』伊藤潤二
伊藤潤二先生は、楳図かずお先生、古賀新一先生の恐怖・怪奇漫画がお好きだったそうです。「楳図かずお賞」の第1回に投稿し『富江』が佳作入選しています。伊藤先生もまた描線の怖い作家です。独特の神経質な線が読者に不安を感じさせます。本作は、「うずまき」にまつわる怪奇を描いたもの。心が激しく揺さぶられる怖い作品なのです。
●『不安の種』中山昌亮
ネットの掲示板で「怖い画像」が話題になることがありますね。ダム穴や奇妙に加工された人間の顔など、見る者を不安にさせる画像はたくさんあります。中山先生の『不安の種』はそれらと同種の不安・恐怖を狙った作品です。実際、本作を読むと精神の均衡が崩れるような感じがするでしょう。恐怖は不安のすぐ横にあるのです。
●『蔵六の奇病』日野日出志
日野日出志先生はいわばカルト漫画家です。この『蔵六の奇病』は昭和に少年時代を送った世代にとってはトラウマ作品です。絵を描くことの好きな蔵六が奇病にかかって全身が腫瘍に覆われてしまいます。その腫瘍から流れる膿(うみ)で絵を描くのです。グロテスクな絵が多く、まずそこに戦慄(せんりつ)を覚える作品ですが、同時に悲しい人間の業が描かれています。
●『汐(しお)の声』山岸凉子
山岸凉子先生といえば『アラベスク』『日出処の天子』などの名作で有名ですが、実は怖い漫画もたくさん描かれています。そもそも山岸先生もまた描線が怖い作家の一人ではないでしょうか。『汐の声』は『わたしの人形は良い人形』(短編集)で読むことができます。インチキ霊感少女が遭遇する恐怖を描いていますが、衝撃のクライマックスで有名な作品です。
●『座敷女』望月峯太郎
望月峯太郎先生の代表作といえば『万祝』『ドラゴンヘッド』『バタアシ金魚』を挙げる人が多いでしょう。しかし、優れた心理描写にあふれた本作も見逃せません。主人公・森ひろしは、ロングヘアにロングコートの大きな女「サチコ」に付きまとわれるようになります。正体不明の人間に付きまとわれる恐怖を描いた傑作です。
●『サユリ』押切蓮介
押切蓮介先生はいろんなジャンルの漫画を描く作家として知られています。その作品の中にはギャグ漫画もありますが、本作は優れた恐怖漫画です。中学3年生の神木則雄一家は、マイホームを購入しそこに引っ越すのですが、その途端父親が急死。祖父も死に、弟、姉……と家族が順番に消えていくのです。家には「恐ろしいもの」がいたのです。
●『恐之本』高港基資
高港基資先生はあの『女優霊』をコミカライズしたことでも有名です。端正な線と確かな画力に裏打ちされたリアリティーある怖さが特徴です。本作は読者からの投稿を基に漫画化されたオムニバスですが、どれも生理的な不安・怖さを喚起する作品ばかりです。怖いけど読んでしまうという典型的な作品です。
今回紹介した作品はどれも心底怖い恐怖漫画です。読むと夜中に一人でトイレに行けなくなるかもしれません(笑)。その覚悟を持ってお読みください。あなたは、今回挙がった以外では、どんな漫画を読んで怖いと思いましたか?
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(高橋モータース@dcp)