射撃の十傑にも選出! 明治大学体育会射撃部の一流スナイパーに競技の魅力について聞いてみた!
みなさんは、「射撃競技」というものをご存じですか? 射撃競技はライフル(エアーライフル)などを用いて標的を撃ち、その正確さを競うもの。オリンピックの正式種目にもなっているので、見たことのある人も多いでしょう。今回は、強豪・明治大学体育会射撃部に所属し、2015年度の「十傑」に選ばれた嘉山豪さんにその魅力を伺いました。
■射撃競技に運動経験は関係ない!
――「射撃」に興味を持ったきっかけはどんなことだったのでしょうか。
嘉山さん 「射撃競技」というものを知ったのは高校受験のときでした。たまたま進路希望調査書の第三希望の高校に自分の母校となる海老名高校が書かれていたのを見つけました。同じ偏差値の別の高校を受験する予定だったので興味はありませんでしたが、とりあえず学校のホームページを検索して眺めていたところ、「ライフル射撃部」という部活を見つけました。
――そこで初めて「射撃部」というものを目にされたのですね。
嘉山さん もともとライフルとかミリタリーに興味があったので、射撃にもすぐに興味を持ち、学校説明会に行って体験射撃をさせてもらいました。そこで初めてライフル射撃を体験してとても楽しかったので、射撃をするために海老名高校に入学しました。
――それまではどんな部活動をされていたのですか?
嘉山さん もともと中学校では美術部でした。射撃競技は運動経験の有無は関係なくできるスポーツです。また、ほとんどの人が高校から始める競技でもあるのでとてもやりやすかったです。
――射撃部というと一般の人はあまりなじみがありませんが、普段どういった練習をされているのですか?
嘉山さん ノートに課題や目標を書いて据銃、空撃ち、実射が大まかな練習の流れです。その中でも「SCATT」(※1)という射撃分析装置を使って練習することが多いです。これを使ってコーチに見てもらいアドバイスを受け、また他の部員にも使わせてアドバイスをすることがよくあります。
センサー付きの銃
SCATT
※1「SCATT」は、銃口の先端に付けたセンサーによってパソコン上に銃口の軌跡と撃発時の揺れや着弾、時間を表示し分析する装置。トップレベルの射手は必ず使うというほどの重要なもので、自分の射撃を客観的に見ることができ、射撃技術の向上が図れる。
――特にどんな点に気をつけて練習をされていますか?
嘉山さん 練習では点数よりも姿勢や銃のセッティングを合わせることのほうが多いです。重心、頬付け、肩の脱力の仕方、目線などが少しでもずれていると、思ったとおりの着弾にはなりません。いつもと同じようにやっているつもりでも違ったりするので、その原因を探りながら自分の理想の撃ち方に近づけていきます。ねじが緩んでいて、銃のセッティングがずれることもあるので、定期的にトルクレンチを使って締め直したり、別のパーツを試して練習、また複数人で決勝戦の練習をしたり、練習ゲームを組んで行うこともあります。
大学の合宿での、決勝戦の練習写真 右から4人目が嘉山さん
――射撃以外ではどんなことを行っているのでしょうか?
嘉山さん 射撃以外では筋トレ、ランニング等の体力づくりやメンタルトレーニングの本を読んでの勉強、世界のトップ射手の姿勢や道具の観察、部員と射撃談議をしています。動きのない競技ですが、銃を構える据銃力や1~3時間競技をし続ける体力をつくらないと体が持たないので、筋トレは欠かせません。体力づくりの一環でランニングはもちろん、ロードバイクで走ったり、水泳をしたりしています。
――メンタルでは?
嘉山さん メンタルはアスリートの永遠の課題でもありますので、たくさんの本を読み、話を聞き、自分に合ったトレーニングを見つけて実践しています。ネットには射撃のワールドカップの動画が載っていて、その動画をよく観察して世界の一流選手の姿勢や使っている道具などを試したりします。
他には、自分がワールドカップなどの世界選手権の決勝で撃っている姿を想像してモチベーションの向上を図ったりしています。部員との射撃談議では自分の知っている知識を教えつつ、自分の知らない知識を教えてもらうなど先輩後輩関係なく情報共有をしました。