「電波少年はもう無理!」放送作家に聞いた、今のテレビ業界で何が大変?
「テレビはオワコン」「若者のテレビ離れ」なんていわれてだいぶたちますが、確かにテレビ番組で良い視聴率を取るのはとても難しくなっているようです。テレビ業界は大変なんていわれますが、実際どのような点が大変なのでしょうか。
あちこちのテレビ局に出入りしている中堅放送作家にお話を伺いました。
■「負のスパイラル」から抜け出せない!
――「テレビ局が大変」なんて話をよく聞きますが、どんな点が大変なのでしょうか?
そうですね、まあいろいろいわれますが、
1.番組制作予算が少ない。お金が掛けられない
2.コンプライアンスが厳しい
大きくこの2点に集約されるのではないでしょうか。
――番組制作予算は減っているのですか。
大きく減っている番組、小さく減っている番組、めりはりはありますが、ここ数年ずっと縮小傾向にあることは確かです。
予算が減る → 予算を掛けた面白い企画が減る → 視聴率が下がる → スポンサーが減る → 予算が減る
の「負のスパイラル」に入ってしまうのですね。これは「コンプライアンスが厳しい」の方にもいえて、
コンプライアンスが厳しい → やれることに制約ができる → 思い切った面白いことができなくなる → 視聴率が下がる → 予算が減る
みたいなことになるわけです。
――コンプライアンスが厳しい、というのは具体的にどういうことでしょうか?
「この後スタッフがおいしく頂きました」みたいなテロップを入れなければならない、みたいなことです。
――そんなに厳しいんでしょうか?
厳しいですね。P(プロデューサー)やD(ディレクター)はやはりかなり気を使っています。ただ、放送作家はそういう枠の中で企画を考え、台本書くのが仕事ですから、そこまで苦しいとは思いませんが、それでも「やりにくい」とは思います。PやDはかなり息苦しい感じはあると思います。いや、放送作家もしんどいですかね(笑)。
■番組は20年前とはずいぶん違っている!
――面白い企画がやりにくいと思いますか?
そうですね、テレビの視聴率が良くなかったり、コンプライアンスが厳しいというのは今に始まったことではありません。ここ数年は同じような状況がずっと続いているともいえます。ですから、例えば10年前と5年前の番組を比べてみてもそれほど変わったという感じはしないんじゃないでしょうか。5年前と現在の番組を比べてもそんなに変わらない。
――そうかもしれませんね。
でもですね、20年前の番組と比べると、今のテレビ番組は全然違っていると思います。
――例えば、どのような点でしょうか?
例えば、20年前には『進め!電波少年』はまだやっていたし、『ガチンコ!』(1999年放送開始なので正確には16年前)なんて番組がありましたでしょう。このような番組は今では絶対にできないですね。
コンプライアンス上「無茶」なことは完全にご法度みたいになっていますので、企画段階でまずできません。その中で、予算も昔ほどは掛けられず面白いものを作っていかないといけないので、そりゃ厳しいですよね。
――この先はどうなるのでしょうか?
コンプライアンスが緩くなったり、なんてことがこの先あるとは思えないので、やっぱり何か道を探しながら続けていくしかないんでしょう。ネットとかでいろいろ言われますので局の人たちも気にしています。テレビがまた面白くなるには何か新しい突破口を見つけないといけないんでしょうね。その過渡期なのかもしれません。
――ありがとうございました。
予算の減少、またコンプライアンスの強化といったものがテレビ番組の制作現場では大きな問題だそうです。高い視聴率を獲得するのが困難な時代ですが、制作現場の苦闘はまだまだ続きそうですね。
(高橋モータース@dcp)