不思議! 驚き! なんともすごいアナグラムまとめ「いろはにほへと」「東洲斎写楽」
「アナグラム」とは「言葉の綴りの順番を変えて別の語や文を作る遊び」(『広辞苑 第六版P.68より引用』)です。言葉遊びの一種ですが、日本にもアナグラムの傑作があります。今回は、面白いアナグラムの例をご紹介します。
■「いろは歌」がすでにアナグラム!
日本で最も有名なアナグラムの例、そして最高傑作といわれるのは「いろは歌」です。「いろはにほへと……」という日本語表記に使う平仮名・47文字を重複なく全て使って意味のある歌にしたもので、これは他の言語ではできないといわれます。例えば、アルファベットではできません(近いものはできます)。
いろはにほへと
ちりぬるを
わかよたれそ
つねならむ
うゐのおくやま
けふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせす
この「いろは歌」は10世紀末から11世紀初頭にできたといわれています。誰が作ったかは諸説あって不明ですが、見事な出来栄えですね。
*……アルファベット全音を用いて作る文章を「パングラム」といいます。
■「ん」を加えて48文字では……!?
ただ、いろは歌には「ん」が使われていません。明治時代になって、このいろは歌のように平仮名を全て使って新たな歌ができるか? という公募が行われたことがあります。1903年(明治36年)に万朝報という新聞紙上で作品を広く募りました。ただし、「ん」を加えた48文字で、という条件でした。一等に選ばれたのは坂本百次郎さんの作品です。
とりなくこゑす
ゆめさませ
みよあけわたる
ひんかしを
そらいろはえて
おきつへに
ほふねむれゐぬ
もやのうち
漢字書きするとこうなります。
鳥啼く声す
夢覚ませ
見よ明け渡る
東を
空色映えて
沖つ辺に
帆船群れゐぬ
靄の中
情緒もあって、なかなか味わい深い作品ではないでしょうか? 見事なアナグラム作品ですね。