いつかなくなる!? 地球は毎年「減っている」ってほんと?
生物にとってかけがえのない存在である「地球」。その地球が毎年5万トンも軽くなっているのはご存じですか? 地球に空気があるのは「重力」のおかげで、宇宙のチリを引き寄せるのと同時に、軽い水素やヘリウムは宇宙に流れ出てしまい、差し引き年5万トンのペースで軽くなっています。地球の質量を考えればダイエットとも呼べない誤差の範囲ですが、大気の0.0005%ほどしかないヘリウムは今でも貴重な存在なので、これ以上減ると、吸い込んで遊んでいる場合じゃないほどの高額商品になってしまうのです。
■毎年10万トンも減る「空気」
「宇宙は無重力」と表現されがちだが、正確には「微少重力」で、本当に「無」重力な場所は存在しない。これは重力が、
・重力 = 距離の2乗に反比例
の式で表されることからもわかるように、近ければ強くなるのは確かですが、どんなに離れてもゼロにはなりません。地球が太陽の周りを公転し続けるのも、海外SFドラマのように月が宇宙をさまよわないのも重力があるからで、天体の重力をまったく受けない場所は存在しないからなのです。
地球に空気があるのも重力のおかげで、もしなければ地球に留まっている理由もなく、宇宙に霧散してしまいます。生物が安心して暮らせるのも重力あっての話ですが、上空では重力の影響が小さいため、毎年10万トン近くの空気が減っています。軽い水素やヘリウムが宇宙に流れ出てしまっているのです。
1リットルのおよその重さを比較すると、
・空気 … 1.2g
・水素 … 0.07g(空気の約0.06倍)
・ヘリウム … 0.17g(空気の約0.14倍)
と、水素とヘリウムは圧倒的に軽く、高い場所へと上昇していく。高高度になるほど地球の重力の影響を受けにくくなり、やがては宇宙へと旅立ってしまいます。地球は毎年7万台弱分「軽く」なっているのです。風船で「家」を飛ばす爺さんのアニメも決してウソではないので、次回はぜひ宇宙を目指してもらいたいものです。
■ヘリウムが高額商品に変わる?
隕石が落ちてくるのも重力のおかげで、ある意味で引き寄せていると表現できます。同様に宇宙のチリも毎年地球に引き寄せられ、地球のおよその重さは、
・水素 … マイナス9万5千トン
・ヘリウム … マイナス1,600トン
・宇宙からのチリなど … プラス4万トン
で、毎年約5万トンの「赤字」になっています。このままだと地球がなくなる! は算数としては正しいが、地球の質量は約6,000,000,000兆トンもあるので、5万トンなど誤差とも呼べない重さでしかありません。
ただしヘリウムが減るのは大問題。ヘリウムは「超伝導」の冷却剤に利用されているので、もしなくなれば、病気の検査にも使われるMRIなども動かなくなってしまいます。
毎年10万トン近くも減ってる水素のほうがヤバくね? と思ったひとはスルドい! 水素のほうが軽いので減る量が多いのはうなづけるが、重さが半分程度になったからと60倍も減るのはおかしい。これはもともと空気中にある量が違うからで、水素とヘリウムの割合(体積)は、
・水素 … 0.00005%
・ヘリウム … 0.0005%
なので、ヘリウムの10分の1しかない水素は、ものすごい勢いで「脱走」していることになるが、これは気体だけの話。水=H2Oのかたちでほぼ無尽蔵にある水素に対し、ヘリウムは自然界では気体でしか存在しないので、水素よりもはるかに貴重な存在なのです。
もしヘリウムがなくなったら、どうすればいいのでしょうか。水素かリチウムを「加工」すれば理論上作ることも可能ですが、原子1つ作るだけで莫大なエネルギーを要します。現実的に確保するなら、
・水素を核融合してヘリウムを作る「太陽」からもらってくる
・月のヘリウム3を加工する
でしょうか。黄色いタコ足の「先生」が破壊する前に、月を削ってくるのがいいかもしれませんね。
■まとめ
・水素とヘリウム合わせて、毎年約10万トンが宇宙に流れ出ている
・代わりに宇宙のチリが落ちてくるので、地球は差し引き5万トンずつ減っている
・水素は「水」から作れるが、ヘリウムは月や太陽からもらってくるしかない…