どうして国立が一校だけ? 東大が六大学に含まれる意外な理由とは
今年は東大野球部にとって、とても意味のある一年となりました。2015年5月23日に行なわれた東京六大学野球リーグ戦、東大x法政戦にて、東大が6 - 4で勝利し、2010年以来続いていた連敗記録を"94"でストップさせたのです。この試合には多くの野球ファンが熱狂したはずでしょう。六大学といえば、早稲田、慶應、明治、立教、法政、そして東大。なぜ東大が1校だけ六大学野球に入っているのか、ふと気になったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は大学野球の周辺知識と合わせて、その由来についてお話していきます。
■東京六大学野球の在り方
東京六大学野球は早稲田大学と慶應義塾大学の対抗戦が発端です。初の早慶戦は1903年で、東大が6校目参加校として加わったのが1925年。これが大学間の学生レベルの活動・交流の礎となり、今や六大学という観念は野球だけのものではなく、テニス、水泳、陸上競技など他のスポーツにも広がっています。では、なぜ東大が六大学野球に入っているのか、それは六大学野球の成り立ちにあります。今では六大学野球としてリーグ戦の形式をとっていますが、はじまりは、冒頭にも説明した早慶戦や、立教x明治、そして東大x法政といったように、近場の大学対大学の対抗戦だったのです。その名残として、六大学が定められるときに東大が国立大学で1校のみ加入しているのです。
■東都大学野球との違い
もう一つの大会である東都大学野球は戦いの構成が4部リーグ制になっています。どの大学も1部リーグでの戦いを目指して、激しい入れ替え戦を繰り返しているのです。たとえ1部にいたとしても、そこには厳しい競争と危機感を持って各大学の選手たちは練習をし、試合を重ねているのです。一方、六大学野球は1部のみ。落ちるリーグがないので、負けても勝っても居座ることができているのです。だから、東大がいくら弱くても、六大学から抜けるなんてことはありません。
■何勝何敗ではなく対抗戦での勝ち点
六大学野球の本当の「勝利の意義」は、勝利の数が多ければいいというものではありません。大学対大学の対抗戦の結果がとても重要になってきます。相手の大学に勝ち越して得ることのできる「勝ち点」によって伝統を守ることが、それぞれの大学にとって最重要事項なのです。
慶應、東大、法政、明治、立教、早稲田、それぞれに伝統の対戦を歴史的にも繰り返しています。早慶戦が最後に行われることも、東大x法政、立教x明治が勝ち越しを争うこともすべては長い歴史の中の伝統。六大学野球には、野球の強さや弱さというよりも、古い歴史と誇り高い伝統があり、それぞれの大学の伝統を守るために闘っている大会なのです。