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“素材を使ったら、返す” 「循環」にこだわったオークヴィレッジのモノ造り
創業当時は高度経済成長の真っ只中。大量生産の時代に「ひと風吹かせたい」と、循環型の素材である木に着目しました。木は使ってもまた植えて育てることができますよね。それを生かすツールとして、木を使った家具を造りはじめました。創業してしばらくは、ほかにも羊を飼って洋服を編んだり、米を育てたりして、自給自足のような暮らしをしていましたが、次第に木製の家具造りだけに専念するようになったんです。
オークヴィレッジの製品はすべて国産の木でつくっています。「国産の家具なら普通国産の木を使っているはず」と思われている方も多いのですが、実際はほとんどが外国産なんです。
なぜかというと、流通が安定していて安く手に入るから。実は、飛騨高山にあるほかの家具メーカーも基本的には外国の木を使っています。ですが私たちは、日本の森林資源の循環促進の観点から、材料費が少し高くなっても、創業時から国産材にこだわって使い続けています。
1つ目の理念は、「100年かかって育った木は100年使えるものに」。これには、木はとても成長に時間がかかるということが関係しています。たとえば私たちがテーブルの天板に使っているのは、主に平均80年くらいの樹齢のナラの木。それなのに、作った家具が5年で壊れてはサイクルが合わなくなってしまうため、100年使える物をつくって循環を合わせようという考え方が根幹にあります。
私どもは、生活の中で木の文化を伝えていくことを意識しています。生活に取り入れてもらうのにいきなり家具だと少しハードルが高いので、小物もつくりますし、逆に建築も手掛けています。またそうすることで、材料を無駄にせずすべて使えるんです。3つ目は、「子供一人、ドングリ一粒」。木を1本使ったら、将来同じ大きさの木に育つ種を一粒植えようという考えで、NPO法人を立ち上げて継続的な植樹活動をしています。
日々の暮らしをワンランク底上げしてくれる、一人暮らし向けアイテムをご紹介
リピーター続出! 日本人の体にフィットする“人にやさしい椅子”
日本人の動作と体型を2年間研究してつくり上げました。一番のポイントは背板の高さと形。人が椅子に座るとき、背中には支えなくてはいけない箇所(支持点)があるのですが、その高さを日本人の平均値を出して決めました。形は背筋がカーブに沿って伸びるように計算されています。
飛騨高山には曲木という技術があって、背板は大きな木からくりぬいたのではなく、真っすぐな板を曲げているんですその方が木が無駄にならないですし、強度も増しますから。
幅広い世代の方が愛用してくださっています。最近多いのは、テレワークで自分用に一脚……というお客様ですね。40代くらいで新居を買われた方や、子どもが育ちあがってゆとりができたので家具を見直したいという60代の方もいらっしゃいます。
コロンとした形とすべすべの手触りに恋するマグカップ
素材の「トチノキ」は、もとは真っ白で “絹肌”といわれるほどすべすべなんです。それをくりぬいて、工房の漆職人が漆を塗って仕上げています。漆というと少し古いイメージがあるかもしれませんが、独自の工法でマットな風合いにしました。20代の方にも好評をいただいています。
“無垢”の魅力を存分に楽しめる、幅広いシーンで使いたい座卓
この机は金具を使わず、木の組み合わせ方で折りたためるようにしています。素材は無垢の木で、丁寧に扱えば本当に何十年でも使えます。無垢の木には空気の出入りがあって、なにもしないとねじれていってしまう。そこで、見えないところに昔ながらの工法を施し、変形しないようにしました。無垢の手触りや香りをぜひ楽しんでいただきたいです。
勉強にも仕事にも! 伝統技術が詰まった「折りたたみデスク」
こちらはテレワークが広まったことで人気を呼び、実は4月頃からずっと品切れ状態が続いていました。手軽に折りたためるようにするため、かなり複雑な設計を伝統技術とオリジナルの工法を組み合わせて形にしています。
角部分を念入りに処理する一番の理由は手触りがよくなることですね。よく“美は細部に宿る”といわれますが、私たちもディティールにはとても気を遣っています。
親しみをもてるラインナップとディスプレイで、気軽に立ち寄れるお店づくり
ラインナップとディスプレイは親しみをもっていただけることを心がけています。雑貨目的でも入りやすいよう、時季によっては他メーカーのアイテムを置くことも。特に多いのは岐阜県の藍染のストールやガラス製品などですね。ほかにも丁寧に手作りされた品物など、なにかしらシンパシーを感じるものを選ぶようにしています。
「MOKURIN(もくりん)」は私が最初に出合ったオークヴィレッジの商品なのですが、それまでこういう手触りの物に触れたことがなかったんです。これがきっかけで木の製品の心地よさに気づき、当時働いていた金融の会社からオークヴィレッジへの転職を決めました。お店に来られたときには、ぜひみなさんも触れてみてください。
オーダーメイドの魅力は、やはり自分の夢が形になっていくところ。そういう意味では家に近いかもしれません。実際、依頼をしてくださるお客様で「こんなデザインにしたい」と決まっている方は少ないんです。ですので、要望をいただいてから設計担当者と提案をして、調整をして……というのを1カ月くらいかけて繰り返してから作ります。その分お客様もでき上がったときの愛着はひとしおのようです。
「まずは感覚の変化を楽しんで」暮らしに木を取り入れて、心地よい空間への第一歩を
それほど難しく考えることはなく、「木」という素材を生活に何か一つでも取り入れるところからはじめてみてください。赤ちゃんは無意識に触れていて気持ちのいいものがわかるので、自然と木のおもちゃを触りたがる。そういった潜在意識は大人になっても残っているものです。木を身近に感じていれば森を大事にしようというふうに意識も変わります。ですから、まずは普段使っている物を木にしてみて、感覚の変化を楽しんでください。それで木がいいと思っていただけたら、次は少し大きな家具……と段階を踏んでいかれるのがいいのではないかと思います。
まとめ
取材協力
オークヴィレッジ自由が丘
【住所】東京都目黒区自由が丘2-15-22
【営業日】11:00~19:00営業、年末年始休業
【電話番号】03-5731-3107
※商品は数に限りあり、完売する場合もあります
※この記事は12月時点の内容です
※営業日や営業時間は変更となる場合があるため、 お出かけ前に公式サイトにてご確認ください