久保史緒里「緊張に蓋をせず自分を責めずに、緊張した上で何ができるのか考える」#春からの君に伝えたいこと

編集部:あこ

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乃木坂46・久保史緒里が<春からの君に伝えたいこと>

人生の先輩である著名人の方々から、春から新生活、新しい学年が始まる大学生のみなさんに、エールを送る「春からの君に伝えたいこと」。

今回は3月20日公開の映画『ネムルバカ』に出演する、乃木坂46の久保史緒里さんが登場。学生時代や新しい環境を迎えたときのことを振り返り、温かいエールをくれました。

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学生の君に伝えたい3つのこと

乃木坂46・久保史緒里が<春からの君に伝えたいこと>

1.友だちとの時間を大事にする

――学生のうちにやっておいたほうがいいと思うことはありますか?

いっぱいあるんですけど、友だちとの時間はもっと大事にすればよかったなと思っていて。中学生のときにバドミントン部だったんですけど、大会の前日が花火大会で地元の人がほとんど行っている中で、私は体育館で練習をしていたんです。しかもそのときに怪我をして、部長なのに大会に出られなかったんですよ(笑)。友だちと喧嘩したことも今となってはすごく愛おしいので、もっと思い出を作っておいたらよかったなと思います。

――真面目すぎるがゆえに、そんなことがあったとは……!

アホなんですよね、完全に(笑)。真面目な部分は今の活動に生きているなと思うときもあるんですけど、お祭りにも行ったことがないし、ジャージか制服以外は500円とかの服を着て、おしゃれとかもしてこなかったので、学生ならではの羽目を外すということもやってみたらよかったなと思います。

2. 未来への投資感覚で自分の中で「これを聞こう」という音楽を決めておく

――これから新生活を迎える学生が見たり、聞いておいたほうがいいものは?

私が上京したときは家族や大好きな宮城県から離れることがすっごく寂しくて、部屋で段ボールをテーブルにしてごはんを食べて、その頃ちょうどリリースされた乃木坂46の「サヨナラの意味」をひたすら流してひとりで泣いていたんですよ。それで気が紛れることはなかったけど、上京して8年経った今聞くともう涙を流すこともないし、大人になった実感が湧くんです。そうやって未来への投資みたいな感覚で自分の中で「これを聞こう」という音楽を決めておくと、そのときは何を聞いても寂しかったり、頑張らなきゃと思うんですけど、大人になってから振り返ると成長を感じられて面白いし、音楽の偉大さを感じられると思います。

3. 緊張に蓋をせず自分を責めずに、緊張した上で何ができるのか考える

――新生活、新しい環境をスタートするときにやっておいてよかったなと思うことや心構えはありますか?

私はめっちゃ緊張しいで、新しい現場に行ったり、新しいことに挑戦するのに怖気づいちゃうタイプなんですけど、2年くらい前から緊張を許容するようになって。今までは「緊張する。どうしようどうしよう」と思いながらそのまま現場に行って、「はあ、緊張した」で終わっちゃっていたのを、「そりゃ緊張するよね」と開き直るというか。例えば今回の『ネムルバカ』だったら、「はじめましてのみなさんに会うんだから緊張するのが当たり前」と自分の中で暗示をかけてから行くと、終わったあとに「緊張してダメだった」と思うよりも「緊張したけど、その中でやれることはやった」という気持ちになれるようになったんです。そうやって緊張に蓋をせず、緊張した自分を責めないで、その上で何ができるのかを考えるという心構えが自分のスタイルには一番合っていました。

「私が経験したかった青春ってこれだったのかもな」と自分の理想とリンクした

――3月20日には久保さんと平祐奈さんがW主演を務めた映画『ネムルバカ』が公開されます。原作や台本を読んで、どういったところに魅力を感じましたか?

この作品のお話をいただいて原作を読んだときに、(久保さん演じる)入巣と(平さん演じる)ルカのどこにでも存在していそうな空気感なのに、ここにしかいない特別な二人みたいな感じがすごくグッときちゃって。自分は中学生で乃木坂46に入って、いわゆる学生らしい青春みたいなことを一切せずに上京してきたので、大学生という本当に限られた時間をもがきながら生きている二人が眩しく見えたんです。「私が経験したかった青春ってこれだったのかもな」と自分の理想とリンクした感じがあって、すごく好きになっちゃいましたね。

――今回演じた入巣はこれまで久保さんが演じられた役柄とはまったく違う、新鮮さがありますよね。

確かに今までにやったことがない役柄だったので、監督とたいちゃん(平さん)と本読みをしているときはすごく不安で、役を掴みきれない感じがあったんです。この原作を好きになりすぎてしまって、この作品の中でしか存在しない二人という感覚があったので、もともと原作にあるエキスを減らしたくないなという悩みもあったんですけど、現場に入ってたいちゃんに会ったら「あ、先輩だ」と思って。そこからは入巣になるために頑張るというよりも、入巣として生きていたという感覚でした。

――役作りのために、地元のお友だちに会いに行かれたそうですね。

そうなんですよ。私がこの作品に入るタイミングが同級生が大学を卒業する直前で。私が大学生の生活について知っているのは入巣が呑んだくれている姿とか、『ネムルバカ』で読んだ世界がすべてだったから、実際はどんな生活なんだろうと知るためにこの作品が決まってから地元に頻繁に帰っていたんです。今まで地元の友だちとの交流を持ってなかったんですけど、朝までカラオケに付き合ってもらったりしました。カラオケを出たら外が明るくなっていて、寒い中、家までの遠い距離を歩いて帰ったりして(笑)、「あ、これだ!青春だ!」と感じることができました。

――演じる上でその経験が生きたなと感じますか?

すごく。自分は中学生で進路みたいなものが決まっていたので、大学生特有の将来への悩みがあんまり分からない側の人間だったんです。けど、唯一の地元の親友が本当に入巣なんですよ。「私、何がしたいんだろうな」とぐるぐるしていて、履歴書に書く自分の長所も「私のいいところってなんだと思う?」と聞いてきたりして。この作品が決まってから親友に会う回数が増えたのは、入巣を演じるのにすごく助けになりました。

黙々とふつふつと自分の中で夢を大きく膨らませていくタイプ

――入巣とルカとの関係性はどうご覧になっていましたか?

本当に唯一無二ですよね。友だちでもないし、恋人でもないし、ただの先輩後輩でもない。この世にある関係値を表す言葉じゃ足りない、型にハマっていない二人だなと思っていて。それは原作を読んだときに感じたことだったんですけど、撮影が終わったときの私にとってのたいちゃんがそういう存在になっていたので不思議な感覚でした。私がクランクアップしたときにたいちゃんに抱いた感覚は、原作で先輩がいなくなったあとの入巣の気持ちにちょっと近しかった気がして。「もう会えなくなっちゃうんだ」と、一瞬何もなくなった感覚になったんですよ。ただ私たちは「先輩がたいちゃんでよかった」と現場で泣きながらハグした2時間後くらいに「寂しい」と連絡を取って二人で会いました(笑)。

――実際の関係性も作中の関係に近いですか?

たいちゃんとはこの作品ではじめましてだったので、「平さんって本当にルカみたいな人なんだ」と思っていたんですよ。でもクランクアップして時間が経てば経つほど、本当はたいちゃんがすごくほわほわっとしているのを知って、ルカとは全然違う人間だったことに気づいて。たいちゃんも同じように撮影中は私のことを「入巣だ」と思っていたみたいで、でも会えば会うほど役と違うという感想を持っていたので、性格的な意味では全然違う二人だけど、関係値はすごく近いと思います。本当に特別な関係性だなと思いますね。大好きです(笑)。

――それだけ大切な思い出や熱量がある作品がこれから公開されて、よりたくさんの人に観られることにはどんな思いがあるのでしょうか。

すっごく楽しみで、でもすっごくおなかが痛いです(笑)。今日は完成披露上映会で初めて一般の方に観ていただくんですけど、昨日はめずらしく眠れなくて。公開までは二人だけの、このチームだけのものだったから、それが外に出ることは自分たちの生活を覗き見されるような感じで、嬉しさもすごく大きいけど、寂しさもありますね。不思議なんですけど。先輩が世に知られたときの入巣の気持ちに近いかもしれないです。

――作中ではやりたいことや夢が見つからない入巣たち、夢をひたすらに追い続けるルカのそれぞれの思いが描かれていますが、久保さんは夢や目標をあるときには周りに話したり、積極的に動くタイプですか?

小学生くらいからこの世界にすごく興味があったんですけど、実際にオーディションを受けたりすることは恥ずかしくて周りには言ってなくて、黙々とふつふつと自分の中で夢を大きく膨らませていくタイプでした。この世界に入ってからは言霊ってあるなと思うようになって、でも、もともと人に言えなくても鏡の中の自分に向かって言っていたんですよ。乃木坂46のオーディション期間中も毎日家の鏡に向かって「オーディション、合格しますように」とお風呂に入る前に言っていて、それも言霊だと思うから、今も人に言えなくても自分に向かって口に出したり、「これができますように」とノートに書くようにしています。

――入巣とルカにとって、二人でただ話すことも大切な時間だったと思うのですが、久保さんにとって日々の中での些細な幸せはありますか?

家で何かすることがすごく好きなんですけど……うちの冷凍庫が狭いんですね。アイスとか、冷凍したごはんや餃子ですぐいっぱいになっちゃうから、定期的に配置を変えるんですよ。それがうまくいって、パッと閉められたときはすごく幸せです(笑)。

久保史緒里さんから学生のみなさんに手書きのメッセージ!

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PROFILE

久保史緒里

2001年7月14日生まれ。宮城県出身。「乃木坂46」の3期生としてデビューし、「乃木坂46のオールナイトニッポン」のメインパーソナリティーを務める。ドラマ『クロシンリ 彼女が教える禁断の心理術』(21)で連続ドラマ初主演。映画『左様なら今晩は』(22)映画初主演。主な出演作に、大河ドラマ「どうする家康」(23)、劇団☆新感線の舞台「天號星」(23)ドラマ「未来の私にブッかまされる!?」(24)、『誰よりもつよく抱きしめて』(25)などがある。

映画『ネムルバカ』3月20日(木・祝)全国公開

大学の女子寮で同じ部屋に住む後輩・入巣柚実(久保史緒里)と先輩・鯨井ルカ(平祐奈)。
入巣はこれといって打ち込むものがなく、何となく古本屋でバイトする日々を送っている。 一方ルカはいつも金欠状態だがインディーズバンド「ピートモス」のギター・ヴォーカルとして、自らの夢を追いかけている。
2人は安い居酒屋でダラダラ飲んだり、暇つぶしに古い海外ドラマを観たり…緩くもどこか心地よい日々を過ごしていた。
そんなある時、ルカは大手音楽レコード会社から連絡を受け、2人の日常に大きな変化が訪れる…。

https://nemurubaka-movie.com/

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取材・文/東海林その子
撮影/三橋優美子

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食べることと寝ることが大好き。休みの日は家にこもって、ひたすら映画やドラマを見たり、漫画や雑誌を読むのが幸せ。

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