【留学中のトラブル回避と安全対策】専門家に聞いた身を守るためにできること

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いざ留学が決まると、不安になるのが治安や安全に関する問題です。これまでに海外旅行や留学を経験したことがある人でも、盗難やスリ、強盗やテロ、病気や怪我など、さまざまな心配事があるはずです。そこで今回は、留学サポート機関である「トビタテ!留学JAPAN」に、留学中のトラブル対策法を伺いました。留学前の重要ステップとして、ぜひ参考にしてみてください。

「自分の身は自分で守る」ための心構え

海外留学中は盗難やスリ、事件、感染症などの病気や怪我など、さまざまなリスクが伴います。留学先で被害に遭わないためには、“トラブルを想定して事前に準備しておくこと”がもっとも重要です。渡航先の情報をしっかりと調べて情報収集しておくことで、トラブルを最小限にとどめることができます。

大学生の場合、特に海外では“ひとりの大人”として扱われます。高校生とは違い、周囲の大人が手厚くケアしてくれるわけではありませんので、「自分の身は自分で守る」「自己責任」という意識をしっかりと持ち、大人としての自覚を持って入念に対策しておきましょう。

文部科学省が定める「大学における海外留学に関する危機管理ガイドライン」や、外務省がまとめた「海外安全虎の巻~海外旅行のトラブル回避マニュアル」には、海外での危機管理について注意すべき点がまとめられています。ぜひ、目を通しておいてください。

渡航先の危険情報は必ず外務省のホームページで確認を

留学先の国・地域における治安情勢や危険情報は、必ず外務省の「海外安全ホームページ」で確認し、従うようにしてください。海外安全情報は、政府や観光局が示す公的な最新情報を確認することが基本中の基本です。

テロや紛争、災害などの「危険情報」と、新型コロナウイルスなどの「感染症危険情報」が、国・地域別の危険度がレベル1〜4で色分けされており、地図で簡単に確認することができます。留学先を選ぶ際は、「レベル2」以上に該当する国・地域は避けるようにしましょう。留学開始時点または留学中に「レベル2」以上となった場合、奨学金の支給対象外となることもあります。

また、海外のリアルな危険情報を得るためには、現地にいる人のSNSやブログをチェックすることもおすすめです。ただし、誤った情報が拡散されていることもあるので、惑わされないよう注意してください。

留学先の国の法律・文化・慣習を理解しておく

国・地域にはそれぞれの法律やルールがあり、日本では当たり前なことが現地では通用しないことも多々あります。「ここは日本ではない!」という意識を常に持ち、行動・発言するように心がけてください。

特に20歳未満の学生は、渡航先の国の法律をよく確認するようにしましょう。たとえば、日本では18歳で成人扱いになりますが、海外ではその年齢はさまざま。未成年のひとり歩きを禁じている国もあれば、18歳で飲酒が認められている国もあります。たとえ渡航先の国で認められていても、20歳未満の日本人の飲酒や喫煙は絶対に厳禁です! 20歳以上であっても、国によって飲酒や喫煙のルールが定められており、これに反すると罰金の対象となります。

アメリカなど銃の所有が認められている国では、銃によるトラブルにも注意しましょう。

また、宗教的な習慣や食文化、挨拶の仕方など、国によって異なるマナーを理解して行動することも大切です。現地の法律・文化・慣習を知らずに行動や発言をすると、トラブルの原因になってしまいます。現地の人たちと良い関係を築くためにも、渡航前に外務省や日本大使館のホームページ、旅行者用のルールブックなどを参考にし、正しい知識を得ておきましょう。

危険エリアや移動手段などの情報を把握しておく

留学中はトラブルが起きやすい場所を事前に把握し、危険な場所には近づかないことが鉄則です。特に、デモや集会が行われている場所、大きな宗教行事が行われている施設、狭い場所に大勢が集まっている場所、生物を売っている市場などには注意してください。

たとえ治安がいいと言われている国でも、スリや強盗などの犯罪が多発している危険なエリアも存在します。自分が滞在する場所の危険情報を把握したうえで、行動計画を立てるようにしましょう。「この道が危ない!」などといったピンポイントの最新情報は、現地のホストファミリーや、自分と同じ留学先から帰ってきたばかりの先輩に聞いてみるのもおすすめです。

安全なルートを確保し、道迷いのトラブルをなくすためには、公共交通機関を使った移動手段を確認しておくことも大切です。万が一のときのために、日本大使館や病院、警察署の場所も把握しておきましょう。

犯罪発生場所を記した地図サイトも活用してみてください。 

SpotCrime

Community Crime Map

“もしも”のときに備えて渡航前に必ずやっておきたいこと

事前に危険情報を把握して注意して行動していても、トラブルや被害に遭ってしまうことはあります。万が一のときのために、申込や手続きをしておくと安心な安全対策をご紹介します。

「在留届」または「たびレジ」に登録する

旅券法第16条により、海外に3ヶ月以上滞在する日本人は、渡航先の日本大使館または総領事館(在外公館)に「在留届」を提出することが義務付けられています。留学先で緊急事態等が発生した場合に、在外公館から安否確認や支援を受けられるよう、必ず届出をしておいてください。事件や事故の情報、注意喚起、教科書配布など、現地での生活に役立つ最新情報をメールで受け取ることもできます。

外務省「オンライン在留届」

また、滞在期間が3ヶ月未満の場合は、外務省旅行登録「たびレジ」に登録してください。在留届と同様に、緊急情報の提供や安否確認などを行ってくれます。

外務省「たびレジ」

海外旅行保険への加入は必須!

海外は医療費が高額になることは有名な話です。たとえば、病気や大怪我で救急搬送され手術・入院することになると、家族が駆けつけるための渡航費なども含めて数千万円が請求されるということもあります。こうした負担を少しでも減らすために、留学する際は、たとえ短期間であっても必ず海外旅行保険に加入しておくようにしましょう。

保険を選ぶ際は、カバーされる補償額だけでなく、補償内容やサービス内容もよく確認しましょう。医療費補償のほか、緊急時の移送費、盗難、賠償責任などに対応してくれるもの、緊急時に日本語サポートがあるもの、留学生活に特化した補償内容を含むものがおすすめです。 大学が保険会社と契約をしている場合もあるので、まずは在籍大学の留学センターや国際センターに相談してみるのもいいでしょう。

クレジットカード付帯の海外旅行保険だと、十分な補償額やサービスが受けられないこともありますので、内容をよく確認してください。

渡航前に予防接種と健康診断を受ける

留学先の国によっては、日本ではあまりなじみのない特有の感染症が存在します。特に、開発途上国など衛生環境の悪い場所に渡航する際は注意が必要です。

まずは渡航先の感染症リスクを確認し、必ず日本を出発する前に推奨される予防接種やワクチンを受けるようにしてください。入国の際に予防接種証明書の提示を求める国もあります。 予防接種の種類によっては、数回接種しなければならないものもあります。トラベルクリニックや渡航外来等の医療機関へ早めに問い合わせましょう。

厚生労働省検疫所「海外渡航のためのワクチン(予防接種)」

また、健康診断を受けておけば、留学中に風邪をひいたり病気を発症する可能性を減らすことができます。薬を服用中の人は、英語で記載された診断書や処方箋を用意しておくと安心です。

トラブルを回避するための細かな対策も忘れずに

保険や予防接種以外に、安全対策のためにやっておくことは他にも多数あります。現地に着いてから慌てることのないよう、出発前に準備しておくようにしましょう。

スマホや通信環境を整えておく

わからないことが多い海外ではスマートフォンは必需品です。小さなトラブルであれば、大抵のことはスマホがあれば解決できます。

移動手段や行き先の情報、言語やワードを検索できるだけでなく、家族や学校とのやりとり、緊急時の連絡手段としても欠かせません。いつでも通信できるよう、通信状況や滞在先のWi-Fi環境を確認しておきましょう。

最近の留学では、SIMフリーにしたスマホに、渡航先のSIMカードを購入して入れ替えて使うことが一般的です。長期留学の際はスマホを現地で購入する人もいます。短期留学であれば、携帯電話会社の海外プランを利用したり、モバイルWi-Fiをレンタルするという手段もあります。

充電切れにならないよう、モバイルバッテリーや変換プラグも忘れずに準備しておいてください。

地図アプリや翻訳アプリを入れておく

自分の位置情報や移動手段が確認できる地図アプリや、現地の人との会話に使える翻訳アプリは、必ずスマートフォンに入れておくようにしてください。通常の留学生活だけでなく、緊急時にも大いに役立ちます。もしものときに備え、家族や学校、留学エージェントと位置情報を共有できるアプリを入れておくのもおすすめです。

外務省の「海外安全アプリ」では、スマートフォンのGPS機能を利用して、現在地や周辺の国・地域の海外安全情報を通知してくれます。各国・地域の緊急連絡先を確認することもできるので、安全対策のために活用しましょう。

重要書類のコピーや緊急連絡先を控えておく

パスポートやビザなどの重要書類は、盗難・紛失があったときのために、必ずコピーをとっておくことが重要です。カバンごと盗まれることも考え、原本とコピーは複数箇所に分けて保管するようにしてください。

また、トラブルや緊急時に素早く必要な連絡ができるよう、主要な連絡先を控えておくことも必須です。

  • ・日本の家族や大学
  • ・留学先の学校、機関
  • ・現地の宿泊場所
  • ・現地の日本大使館、領事館
  • ・海外旅行保険、クレジットカード、携帯電話などの契約会社
  • ・現地の警察や病院

これらの担当者などの名前、電話番号は必ずメモにまとめ、コピーも用意しておきましょう。

留学の安全対策:先輩たちはどんなことをした?

高校生の時に留学を経験した先輩たちの、リアルなエピソードをご紹介します。「この対策をしておいてよかった」「もっとこんなことをしておけばよかった」など、リアルな体験談を安全対策の参考にしてみてください。

留学会社やエージェントの資料を取り寄せて比較して行きました。サポートの過不足や金額、行きたい場所に留学できるかを特に気にしました。また、どんな天候や季節に対して対応できるように、夏・冬服を1着ずつくらい多めにあるといいです。

カイさん(オーストラリア・ブリスベン/期間:1ヶ月)


AFSを利用しての高校留学だったため、AFS側から送られてきた滞在先を参考に、Google mapなどで多少場所の都会度などは見ましたが、下手に先入観を持ちたくなかったため、ほとんど調べなかったです! ちなみに自分は留学と言語力はあまり関係ないと思います。もちろん高い分には損はしないですが、言語力がなくてもコミュ力で友達をたくさん作っている人はいました。なので、友達を作りたいのなら、言語力以前に『何を伝えたいのか』を明確にすればジェスチャーでもなんでも伝わると思います。あと、他の国の人は自分が考えているよりもっと日本の細かいことを聞きたがるので、歴史や文化など事前にしておくといい文化交流になると思います。

たいきさん(イタリア/期間:10ヶ月)


検索エンジンで翻訳を駆使しながら英語や現地語で検索を行ったり、対話型AIに質問をしました。当時はAIの回答の精度も現在ほど高くなく、エージェントを介さずに留学させていただいた私は滞在先とのやり取りを直接メールで行っていたため、誤情報などの失礼のないように情報がまとめられたサイトやAIの回答を鵜吞みにするのではなく、最終的には公式HPで確認が取れた情報のみを頼りに滞在先を見つけることが出来ました。また、18歳未満での留学を考えている方は、留学及び渡航に対する同意書を作って親にサインしてもらい、いつでも提示出来る状態にしておくことが大切であると思います。私はこのことがすっかり抜けていたせいで、出国や船への乗船を拒否される羽目になってしまうところでした。

グッチさん(エストニア共和国/期間:約1ヶ月)

まとめ

留学生活を安全に過ごすためには、トラブルにできるだけ遭わないための対策と、万が一遭ってしまったときの対策。この両方を考えて準備を進めていくことが大切です。海外に慣れている人や留学経験者の人も、決して油断せず、万全な対策を心がけてください。

情報提供

トビタテ!留学JAPAN

文部科学省が展開する、日本の若者の海外留学への機運を醸成する官民協働の留学促進キャンペーン。意欲と能力ある全ての日本の大学生や高校生が、海外留学に自ら一歩を踏み出すためのサポートを行う。
https://tobitate-mext.jasso.go.jp

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