「計画通りに行かない」ことこそチャンス⁉ ハプニングを“学び”や“成長”に変えた先輩留学生たち…「トビタテ!留学JAPAN 第6回 留学成果報告会」で大学生が感じたこと

ガクラボ学生ライターで現在大学2年生の久保敷真唯です。みなさんは「トビタテ!留学JAPAN」を知っていますか?
「留学」と聞くと何を思い浮かべますか?以前の私は「留学中に何か大きなことを成し遂げないといけない」と漠然と感じていました。ですが、2025年2月16日に文部科学省で開催されたトビタテ!留学JAPAN 第6回 留学成果報告会を取材して、そのの概念が大きく変わりました。
留学にハードルを感じていた私から、今回の取材を通して感じたことをレポートしたいと思います。
トビタテ!留学JAPANとは?
文部科学省が2013年に開始し、官民協働で取り組んでいる留学促進キャンペーン。現在はコロナ禍で落ち込んだ留学生の数をコロナ前の水準に回復させることを目指して、2023年度~2027年度の第2ステージを実施しているそうです。※詳細についてはこちらをご覧ください。
これまで260以上の企業・団体・個人の方の寄附をいただき、返済不要の奨学金による留学を支援することを実現するプロジェクトです。選考基準は、学業成績や語学力ではなく、熱意、好奇心、独自性を重視して選考され、これまでに約1万名以上を選抜し、100か国以上に留学しています。
2023年より第2ステージが始動し、「新・日本代表プログラム」「留学プラットフォーム」「価値イノベーション人材ネットワーク」の3事業により、新たなグローバルリーダー社会に対してインパクトを生む人材を輩出することを目的としています。
留学して終わり、ではない!留学での経験を整理し、みんなにお披露目する場
文部科学省の講堂にて行われた開会オリエンテーション。留学体験談を発表する高校生・大学生、留学に興味のある学生、保護者・関係者、支援企業の方々などが一堂に集まり、これから始まる報告会にわくわくしている様子でした。
その後、高校生等部門と大学生等部門に部屋が分かれ、留学体験の発表が行われました。一人あたり7分間で、多様な留学体験からの学び・気づきや、それらに基づいた未来へのビジョンを発表し、支援企業代表の方々による講評と審査、オーディエンス賞の投票も行われました。
私は大学生等部門15名の発表を聞いてきました。どの学生も自分の興味にまっすぐで、やってみたいこと・学びたいことに対して、できることから少しずつ取り組んでいる姿が印象的でした。
計画通りにいかないことや、わからないことだらけ。そんな中で学んだ“もがきかた”や、自分なりの答えとは?
今回の発表の中から、最優秀賞に選ばれた吉川さんと優秀賞に選ばれた高野さんの発表内容についてご紹介したいと思います。
吉川さんは、コロナによる1年半の留学延期を得て、スウェーデンへ留学しました。現地では、ものづくりの指導法や評価方法を学んだほか、日本の大学生に向けて留学の魅力を発信するなど、留学“中”だからこそできる活動を行っていたそうです。
留学当初は、「現地での学校視察」を留学計画のメインにしていたがなかなか実行できず焦りを感じていたそう…。そんな中、小さい頃からやっていた水泳教室に行ってみようと思い、現地のマスターズ水泳チームに参加。そのメンバーの一人が学校の数学の先生だったことをきっかけに学校視察の計画実現がとんとん拍子に進んだとお話されていました。
現在は、大阪市内で技術科の先生をしながら博士課程で研究しているそうで、「グローバルな視野で、日本の技術教育を牽引したい」「実践と理論を合わせて、実践知を持つ研究者になりたい」と語っていました。
続いて、宇宙開発への興味からポーランドへ留学した高野さん。留学中は、ポーランドの火星探査車コンテスト1位の大学で研究をしていたそうです。
初日からハプニングに見舞われたものの、それをポジティブに乗り越えた姿が印象的でした。留学期間中、プレゼン途中にゼミの教授が途中退室をしたり、何が分からないのかすら分からない状況でも「しんどい中での“もがきかた”を学べた」と話していたのが心に残っています。
また、なぜ宇宙開発をするのか?と現地の学生にインタビューしたところ、予想していた「社会貢献」という答えではなく、「宇宙が好きだから」という答えが多かったことにも驚いたそうです。そこから、宇宙開発にあたって「宇宙が好きだから」という熱意をより大切にしてもいいのかもしれないと感じたそうです。
帰国後、一度就職で失敗したが、留学で得た経験から再挑戦し、2025年4月からは種子島で宇宙開発に関わっていくそうです。高野さんのこれからの活躍に目が離せません!
留学を何度も経験した キンタロー。さんが思う、若い頃に留学を経験することで得られるものとは?
成果報告会のあと、カナダ、ニュージーランド、アメリカへの留学経験があるキンタロー。さんによる留学応援トークショーが開催されました。
キンタロー。さんが初めて留学をしようと思ったきっかけは、中学生の時に仲間外れにされ、それまで明るかった性格が180度変わってしまったことだったそうです。思い切って留学に行き、環境をガラッと変えたことで自分らしくいられるようになったそうです。
そんなキンタロー。さんのお話の中で、特に2つ印象に残っていることをレポートします。
1.「若い時の苦労は買ってでもせよ」
留学に行ったことで、環境が違えば、考え方も違うということに気づき、視野が広がったとお話しされていました。ー「若い脳で受けるインプレションは大きく、早いうちに行った方がいい」とおっしゃっていました。
2.「留学いつ行くの?今でしょ!(林修先生風に)」
コンフォートゾーン(ストレスのない居心地の良い環境や精神状態)を抜け出して環境を変えることはとても勇気がいることですが、キンタロー。さん自身、留学の経験が今の自分につながっているとお話しされていたのがとても印象的でした。
最後は、留学をフライングゲットしてほしいと、学生たちにエールを送っていました。
取材を終えて…
今回の取材を終えて、自分の興味のあるものにまっすぐ取り組んでいる同世代の方々の姿にとても勇気づけられました。
コロナ禍で留学が延期されたり、留学中に予定通りうまくいかないことがあったり、想定していない出来事が起きたりしたときでも、自分に何ができるか考えて少しずつ行動したからこそ、成長をすることができたのだなと感じることができた報告会でした。
私は留学に行くのは、大きな何かを成し遂げるためではなく、小さい成長を積み重ねていくためなのではないかと思います。キンタロー。さんがお話しされていたように、若いときから、一つの考えだけではなく多様な考えに触れることが、その後の人生を豊かにしてくれるのではないかと感じました。
留学に少しでも興味がある方は、ぜひトビタテ!留学JAPANのページをチェックしてみてください!
情報提供:トビタテ!留学JAPAN
ライター:久保敷真唯(ガクラボメンバー)
編集:ろみ(学窓編集部)